ニュース

News
2022年07月27日

業界紙コラムに掲載された5回目の執筆文を紹介します

7月26日付「物流ニッポン」紙の4面「ちょっといっぷく」コーナーに「ブータンからの学び」と題して掲載されました。画面では記事の文字が小さいので以下に転記しておきます。

昨年6月末まで10年間、ブータン王国在大阪名誉領事を務めた。きっかけは同国の在韓国名誉総領事職に就く友人の引き合わせだった。名誉領事とは国、または地方都市に公館のない委託国から任命され、日本国政府の承認を経て領事業務を代行する官職である。

同国はヒマラヤの麓、インドと中国に挟まれ面積はほぼ九州と同じ。約8割が森林。人口は約77万人でチベツト系が8割、ネパール系が2割だ。仏教を国教に制定し、国民の信仰心は極めて強い。公用語はゾンカ語だが英語教育に非常に熱心だ。首都はティンプーで標高約2400m。

11年前、東日本大震災の後、国王ご夫妻が国賓として初来日された際は、まるで「さわやかな一陣の風」が日本中を吹き抜けたようで、傷ついた日本人の心は癒された。「世界一幸せの国」と称されるが、数値で測るGDP(国民総生産)では未だ貧しい。代わりに同国はGNH(国民総幸福量)を基本理念とし、精神的な豊かさと自然環境保護を追求する。

在任中現地を7度訪れた。清貧の中で「凛」として生きる人々の姿に接し、これまで訪れた国々とは全く異質の国と感じた。翻って我が国は経済的豊かさと引き換えに、「家族の絆」や、古来受け継がれてきた「美徳・倫理観」など、失ったものも多い。

尽きるところ幸せかどうかは地位や名誉やカネといった見かけではなく、「満ち、足るを知る」かどうか、それは「心の中」にあるのだ。「人間の真の幸せとは何か」、ブータンから多くのことを学んだ。