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2022年09月26日

業界紙コラムに掲載された7回目の執筆文を紹介します

9月23日付「物流ニッポン」紙の4面「ちょっといっぷく」コーナーに「多様性&独創性 育む」と題して掲載されました。右側の画像では記事の文字が小さいので以下に転記しておきます。

米国は移民により成り立った多民族国家だ。「人種のるつぼ」と称され、全人口約3.3億人のほぼ6割が白人、ヒスパニックが2割弱、黒人が1割強。アジア系は約5%。日系人は0.2%を切る。東西南北でこの構成比率や、気候風土、州民性、政治信条、それになまりも日常用語も様々だ。この多様性が米国の最大の特色であり、米国流民主主義の原点だ。

米国在任中、子育てを経験した。学校では幼少時から先生と生徒が双方向で意見をぶつけ合う。そして弱点を無理に直すより長所を伸ばす。これが発想の多様性に加え独創性を育む。一方、統合の象徴として国旗・国歌を尊び愛国心を高める。我が国では先生の話をひたすら聞く一方通行だった。その名残りか講演会でもほとんど質問が出ない。この学び方は一定レベルの金太郎飴的な人材の育成には向くが没個性的になりがちだ。

我が国ではなぜマイクロソフトやグーグル、アップルのような独創的な企業が出ないのか。因みに物流・流通システムに限ってもコンテナ輸送や宅配便、それにデジタル分野のインターネットやスマートフォンも、元をたどれば米国発だ。どこからこの違いが生じるのか。我が国産業界はグローバル化に伴い国際競争力向上を目指し、護送船団型からかなり再編・淘汰が進んだ。しかしサイバー空間の先端技術開発は後れを取る。世界に伍していくには、人材育成についても多様性と独創性を重視した教育や、ギフテッドプログラム(異能・異才の特待制度)の導入、それに海外留学など国際交流を促進すべきだ。