10月25日付「物流ニッポン」紙の4面「ちょっといっぷく」コーナーに『「逆転の発想」と捉え』と題して掲載されました。右側の画像では記事の文字が小さいので以下に転記しておきます。
「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言がある。私は相場師ではないが、企業経営者としてこれを「逆張り」、「逆転の発想」として捉え、事業戦略上の要諦とした。前職時代、「他社のマネはするな」、「オリジナリティ(独自性)を持て」、「他に先駆けよ」と説いた。日本企業は「前例と他社事例主義」になりがちだ。経営トップは現状に甘んじず、常に危機感を持ち、「意識改革・制度改革・構造改革」を進めることが大事だ。最も容易でないのが「意識改革」。古い体質の企業や、業績が概ね順調に推移している状況下ではなおさらだ。「意識改革」が浸透すれば他は大体うまく行く。
社長就任と同時に、特定分野への過度な依存を是正すべく、「陸・海・空」「国内・国際」の縦・横で構成する、「総合物流企業」を目指した。もちろん有限である経営資源(ヒト・モノ・カネ)の最適化が大前提だ。新規事業への進出はいわば戦(いくさ)を始めるようなもの。社員にはその「大義」を説くことが不可欠だ。人は納得すれば動く。そして起承転結をはっきりさせること。失敗を責めるのではなく活かすためだ。
特に思い出に残る案件として、他に先駆けたベトナム進出、米国のブルーオーシャン市場に着目した事業、需要拡大が見込まれる空港関連業務、高齢化時代に向け医療物流への参入など。いずれも起業以来30年が経ち、軌道に乗っている。まいた種を太い幹に育てるには時間とエネルギーと忍耐、それに覚悟が必要。経営者に求められるのは将来ビジョンと、改革に向けたブレない信念と実行力だ。