表記の件、3月24日付「物流ニッポン」紙の4面「ちょっといっぷく」コーナーに『物流についての思い』と題して掲載されました。右側の画像では記事の文字が小さいので以下に転記しておきます。なお、本寄稿で最終となります。ご愛読ありがとうございました。
昨年4月から月1回、1年間を前提にお請けした寄稿も本稿が最終。長年携わった物流業界への私見を述べたい。戦国時代の戦は槍と刀のみ携え、食糧は道すがら調達したようだ。根強い補給(ロジスティクス)軽視が太平洋戦争中、戦没した軍人の6割強(約140万人)が餓死という結果を招いたのではないか。最近までSCM(サプライチェーンマネジメント)の重点は在庫削減だった。ところが東日本大震災や、ロシアのウクライナ侵攻で物流が寸断され、世界的に生産や食糧流通に支障を来した。そのためBCP(事業継続計画)の観点から物流が見直され、今や「物流を制する者は商流を制する」とまで言われる。物流の主な手段は陸・海・空運だ。中でもトラック貨物運送は全ての輸送に関わり、「くらしと経済を守るライフ・ライン」、つまり基礎インフラの役割を担っている。
しかし実態は事業者の99%以上が中小・零細で経営基盤は脆弱、しかも多層下請け構造。業界は経営者の高齢化と事業承継、コスト上昇分の運賃転嫁難、人手不足と高齢化、労働条件改善(2024年問題)などの課題を内包する。今後もDX、AI化や、コンプライアンス(法令順守)・SDGs対策、人材確保、物流アセットなどへの投資が必要だ。生き残るには「小異を捨て大同につく」精神で再編を進め、事業規模拡大で対応力を強化し、積載効率・生産性を向上させることが必要と考える。それには事業者の決断と実行が肝だ。一方、行政には「構造改革」を促す施策を期待したい。一年間のご愛読に感謝!