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2022年09月02日

防災の日にちなんで ~自分の身は自分で守る~(58)

昨日9月1日は「防災の日」でした。今から99年前の1923年の同じ日の正午前に関東大震災(マグニチュード7.9)が発生し、死者・行方不明が推定10万5000人という甚大な被害をもたらしました。この苛酷な経験に基づき、広く国民が台風、高潮、津波、地震等についての認識を深め、災害に対処する心構えを準備することを目的として制定されました。そして毎年、この日は大規模災害を想定した防災訓練が全国各地で行われます。政府も首都直下型や南海トラフ地震が発生したとの想定で総合防災訓練を実施しました。 

政府の作業部会によると東海沖から九州沖まで延びる南海トラフで、マグニチュード8~9級の巨大地震が今後30年以内に、70~80%の確率で起きると予測しています。そして最悪の場合、死者約32万人、全壊建物は約240万戸に上るとの想定がなされています。
また、東京都はこのほどマグニチュード7.3規模の首都直下型地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。それによると都内は最大震度7の揺れに襲われ、最大で約19.4万棟の建物が全壊・焼失し、約6千100人が犠牲になるとしています。官民における様々な対策により、10年前の予測と比べ4割減少を見込んでいます。
そして長らく静穏な状態が続いている富士山(3776m)についても、過去3200年間に100回以上の大きな噴火を繰り返してきています。もっとも新しい宝永大噴火(1707年)と同規模の噴火が起きた場合、東京都には10cmの火山灰の降下が予想されています。先日、テレビで西暦79年にイタリアのヴェスビオス火山が突然噴火し、麓のローマ帝国の町ポンペイが約8mの火山灰により埋没した、ドキュメンタリー番組を観ました。改めて自然のすさまじい力を感じました。

私たちが生きてきた時代に限っても、27年前の阪神・淡路大震災で約6千400人が亡くなり、11年前の東日本大震災では地震と津波で1万8000人を超える方々が生命を奪われました。このように我が国は世界有数の自然災害多発国です。毎日のようにどこかで規模の大小はともかく地震が報じられます。また、火山の噴火や警報も発令されます。専門家の話では富士山の噴火や南海トラフ大地震は必ず起こります。問題はそれがいつ起こるかということで、人類の歴史からすると、我々に猶予されているのは瞬きするくらいの切迫した状況といった警告が出されています。

以上のように自然災害を未然に防ぐのは困難です。従って「防災」もさることながら、「減災」、つまり発生後の対応が大事です。ところが災害記録や予測が公表されているにもかかわらず、調査によると「備えをしている」のは17%に止まっています。「備えをしていない」理由として「何をしてよいのか分からない」が4割強を占めています。省みても「被災者になる」という危機意識が薄い自分に気が付きます。災害は必ずやってきます。それは忘れたころやってくるのです。日本に在住する限り自然災害に巻き込まれるリスクから逃れることは出来ません。

なお、災害時や事故が発生すると、「マニュアルは作成されていたか」とか、「マニュアル通りやったか」が問題になります。確かにマニュアルは大事だし、用意しておくことは必要です。ところが災害、特に地震はいつなん時、どういう形でやってくるか全く分かりません。正に不意打ちであり、発生状況も千差万別です。決してマニュアル通りには行きません。マニュアルを策定して「これで安心」とはいかないのです。現場の状況は刻々と変わります。従って最後はその場に居合わせた人たちの咄嗟の判断です。時にはマニュアルが妨げにもなります。私たちは毎日「災害と隣り合わせで生きている」ている」という意識を常に持ち、様々な事態を想定(シミュレーション)しながら判断力を磨き、「自分の命は自分で守る」という心構えが何より大事と考えます。 

≪追記≫男性の育休取得率は年々高まっており、厚労省の調査では2021年度には14.0%に達しました。ただ、女性の取得率85.1%と比べるとまだ低いのが実態のようです。政府は2025年までに男性の育休取得率を30%にする目標を掲げています。昨年6月に育児・介護休業法が改正され、本年4月から段階的に施行されています。その趣旨は仕事を辞めず、希望に沿って育児などと両立させることです。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2018年度の調査では、正社員の男性で育休を取りたくてもとれなかったのが4割という結果でした。先ずは取得しやすい環境づくりが必要です。2023年4月から男性の育休取得状況を毎年公表する義務が課せられます。男性・女性が育児や家計に関わる時間を日米比較しますと、日本の女性が1日当たり平均7時間34分に対し米国女性は5時間48分、男性は日本1時間29分に対し米国3時間7分と大きく違います。この点も少子化の要因の一つです。
直感が鋭く、物事の本質を見抜く力に長けているとされるテスラのマスクCEOは、日本の少子化は危機的状況であるとして「このままの状態が続くと、日本はいずれ消滅する」とコメントしています。確かに今のままでは計算上は3300年に日本列島は無人になります。少子化に歯止めをかけるため、あらゆる方策を総動員すべきです。

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