ブログ

2023年06月02日

4年ぶりの米国訪問 その②(93)

今年の春闘の平均の賃上げ率は、連合の集計によると5月8日現在、正社員が3.67%、前年から1.57ポイント増と大きく伸びました。3%台後半になるのは1993年(最終集で3.90%)以来、30年ぶりのことです。非正規労働者も時給ベースで5.55%と、前年の2倍を超える水準となっています。
日本の賃金の低迷ぶりは他の先進国と比べ際立っており、OECDの調査では1990年から2021年にかけての日本の平均賃金の伸び率は6.3%に止まったのに対し、米国は53.2%、英国の50.4%に大きく引き離されています。
今後の焦点は賃上げの流れの持続性と、全就業者の70%を占める中小企業や非正規労働者の待遇改善です。
■次期大統領選挙(2024年11月)について:
今回出会った友人・知り合いは共和党支持者がほとんどでしたが、今話題になっているトランプ氏(76歳)の大統領選挙への再出馬に向けての動きについての見方を聞きました。その結果、「共和党は支持するがトランプ氏は支持しない」という声が殆どでした。何が何でもトランプ氏を支持する共和党員の比率は、以前の40%から今は15%程度まで下落しており、このグループは今や共和党というより「トランプ党」と呼ぶのがふさわしいとのことでした。また、トランプ氏がたとえ共和党内で大統領候補に選出されても、民主党から再選を表明しているバイデン氏(80歳)には勝てないだろう。ただ、共和党からトランプ氏以外の、例えば今取り沙汰されているデサンティス・現フロリダ州知事(44歳)が共和党の大統領候補に選出されればバイデン氏は勝てない。理由としては①高齢であることと、②大統領の身に何かあれば自動的に職務を引き継ぐハリス副大統領(黒人女性として初)の不人気に加え、③しつこいインフレ抑制に伴う不況が避けられないこと等、を理由として聞きました。一方、トランプ氏も起訴を免れるには大統領選を勝ち抜くしかないのですから必死でしょう。
■先日、大統領選に出馬を表明したデサンティス氏について:
同氏は元・海軍軍人で政治経験も豊富です。政治理念は保守強硬派とされており、ウクライナ支援については現政権ほど寛容ではなく、移民問題には厳しく、環境問題については積極的ではないようです。我が国にとっては同氏の政策が不透明であることをリスク要因と捉えるべきでしょう。現在同氏が知事を務めているフロリダ州は目立った日本企業の進出がなく馴染みが薄いことから、政府のみならず民間レベルでもコミュニケーションを進め、相互理解を深めることが喫緊の課題です。私は2年前まで11年間、在大阪ブータン王国の名誉領事を務めた経験から、対象国・地域を問わず、「草の根的な民間外交」が果たす役割が非常に大きいと考えています。同時に我が国としては米国に頼り切るのではなく主体性を持つべきです。そのためには国力の強化が必要です。国力の源は経済力であり、これといった資源のない我が国が生き抜くには、国民の「意識改革」を図り、「制度改革」、「構造改革」を進め、「先端技術開発力の強化」と、それを支える「人材育成」が何より必要です。
■米国におけるインフレの動向:
現在、米国で最大の懸念材料となっているインフレは、主として労働力不足から生じています。それだけに抑え込むのは容易ではありません。私はコロナ問題発生以前は毎年1~2回は米国を訪れていました。そしてロサンゼルスではいつもガソリン価格とハンバーガーの値段に注目してきました。車社会に生きる米国人に最大の関心事であるガソリン価格は、原油市場の動向で次第で変動します。ところが米国人にとって最も馴染みがあり、身近な存在であるハンバーガーは正に米国の物価上昇、つまりインフレの現状を端的に表します。私はずっと以前から現地を訪れると必ず同じ店に行き、価格の推移を定点観測してきました。
それを見ると、2014年3.30ドル→2018年3.90ドル(4年間で+18.2%)→2019年4.35ドル(前年比+12%)→2023年5.15ドル(4年間で+18.4%)。ところがミルクの値段は過去10年間横ばいです。政府による補助金があるのかも知れません。いろいろ分析すると興味深い点があります。
なお、今回、店を訪れた際、ドアに時給19ドル(140円換算で2660円)の求人広告のステッカーが貼ってありました。人手不足で人件費はどんどん上がっています。
■米国のチップ制度について:
米国では駐在員は状況に応じてチップの払い方が分かるようになると一人前とされています。以前、ある日本人から「日本はチップの風習がないからいい」という声を聞きました。果たしてそうでしょうか。確かに我が国ではほとんどのサービスに対してチップを払うしきたりはありません。ところが米国ではタクシーやドア・マン、レストラン等でチップが必須です。以前は車を降りる時、或いは席を立つ時に、大体10%を目途に現金で支払いました。米国では先に述べた職種では基本給というか固定給は低く抑えられています。こういった職業で働く人たちはチップをもらう機会を与えられたと解釈できます。従って一生懸命奉仕(サービス)に努め印象をよくして、出来るだけ沢山チップをもらおうと頑張るのです。つまりサービスに対する評価を客がするのです。ところが我が国では殆どの場合サービスがよくても、悪くても評価の差は出ません。日本ではサービスはタダというか、料金に含まれていると考えるのに対し、米国では「サービスは有料」という思想です。我が国では人手不足が深刻化する中で、サービス産業の生産性の低さが問題にされますが、米国流に学び「よいサービスを求めるには対価が必要」という考え方に転換すべきではないでしょうか。

なお、米国ではタクシーを下車する際、料金と同時にチップの欄に10%、20%、30%という数字が表示され客が選びます。そうするとトータルの金額が表示され、クレジットカードを差し込んだ後、暗誦番号に相当するピン・コード(PIN Code-Personal Identification Number)をインプットし、グリーンのボタンをプッシュして決済終了。我が国でもGoPayが急速に伸びていますが、デジタル化は日米とも同じで、違うのはチップの項目の有無です。 以上

その他のブログ