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2023年10月27日

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先月の9月8日深夜(日本時間)、フランスで開幕したラグビーワールドカップ2023もいよいよ10月29日早朝(同)、ニュージランドと南アフリカで決勝戦が行われることになりました。日本は10月8日の対アルゼンチンで敗れ、残念ながらベスト8進出はなりませんでした。日本が負けた後は私もその一人ですが、大会の事は殆んど頭から離れていました。しかし断片的に観戦していると、やはり世界の壁は厚いという印象です。
一方、国内ではプロ野球日本選手権シリーズが、セ・パでクライマックスシリーズを勝ち抜いた阪神タイガースと、オリックス・バファローズとの間で争われます。59年ぶりの関西チーム同士の対決で関西は盛り上がりそうです。第1戦、第2戦は京セラドームで行われます。
両方観戦すると寝不足になりそうです。 

■■国内政治・経済情勢について想うこと:
10月20日、臨時国会が召集されました。本来ならその日に首相の所信表明が行われるところ、22日の高知、長崎での衆参補欠選挙への影響を巡り、与野党間で日程調整の結果、23日に行われました。その中で岸田首相は「経済、経済、経済」と連呼し、「税収増の国民への還元」を表明しました。そして自民、公明両党の幹部に対し、所得税の減税を含む具体策の検討を指示しました。しかしその後の流れは減税と給付を巡って迷走状態になっています。また、年末に期限を迎えるガソリン代や電気料金などの補助を来春まで継続する等、小手先の対応の繰り返しです。そしていろいろ政策が打ち出されていますが、肝心の防衛費や子育て支援等、キーポイントとなる案件の財源については封印されたまま。大丈夫かと心配になります。

そういった状況下、このほどIMF(国際通貨基金)は本年の日本の名目GDPが、ドルベースで前年比0.2%減の4兆2308ドル(約633兆円)となり、人口が我が国の約2/3のドイツ(予測4兆4298億ドル)に抜かれ、4位に転落するとの予測を公表しました。日本は2010年に中国に抜かれ、今や4倍以上の差がついています。さらに2027年にはインドにも抜かれるという予測も出ています。そして日本円は50年来の安値で日本はドンドン外国に買われています。もはや我が国は経済大国とは言えない状態に陥っています。 

なぜ、こんな情けない国になったのか。振り返りますと我が国は戦後から今日まで53回の国政選挙(衆議院27回、参議院26回)がありました。その度に選挙に影響する問題の先送りと、補助金・支援金等、ポピュリズムの繰り返しでした。今も「年収の壁」への特別支援や、米作への補助金等保護策、租税特別措置法(租特)等々です。また労働法制でも厳しい解雇条件が、人材の高度化と産業間移動を妨げています。
その結果が先進国で最悪の財政赤字を抱えながら、潜在成長率は1%を切るような低経済成長から抜け切れず、しかも実質賃金も増えずといった状態です。つまり巨額の財政支出が「国力の基盤強化」や、「産業の構造改革」、「デジタル化」、「時代にマッチする人づくり」に結び付かなかったのです。 

我が国は先の大戦で敗けた後、国の再建のため重化学工業を中心に生産力増強を優先する政策を続けました。そして戦後ずっと続いた55年体制の下で、与党と業界団体との強固な関係、いわば「もたれ合い」が築かれました。そこに官が入り、政・官・財のトライアングルが我が国の政治・経済を動かしてきたと言えます。そして大企業の下請けとしての中小企業が99%を占めるという産業構造が出来上がりました。これは我が国に戦後50年間は高度成長と発展をもたらしましたが、今では他の先進国と比べ生産性が低いことが指摘されています。 

そして中国を始め新興国の勃興や、経済・産業のグローバル化により、製造業が生産拠点を海外へ移転したことが国内の産業空洞化をもたらしました。さらには少子高齢化により国内市場の縮小と地方の疲弊を生じました。その一方で「モノづくり」、「ハコ(道路・港湾等)づくり」に偏重し、「ヒトづくり」への投資を怠ったため、IT化・ハイテク化・ソフト化への時代の変化(産業の転換)について行けなかったと言えます。 

私が、生まれた時は別にして、初めて中国(広東省広州市)を訪れたのは1976年10月でした。今から約50年前のことです。その当時の中国は毛沢東・元国家主席の一派が復権を狙った、「文化大革命」(1966~1976年)という「暗黒の時代」が終結した直後でした。その当時の中国は貧しいというより極貧で、終戦間もない我が国の状態に近かったように思います。その中国が「中興の祖」と称される鄧小平国家主席の思い切った改革・開放政策により徐々に力をつけ、50年後の今日では世界2位の経済・軍事大国に成長したのは周知のとおりです。 

中国と我が国は政治体制や国情が異なりますので一概に論ずるわけにはいかないでしょう。また、政治家は常に選挙を意識せざるを得ないことも承知しています。しかし我が国でもリーダーシップ如何で、動脈硬化を病む老人のような国から、再び躍動感溢れる国に戻せる筈です。是非、若い人たちが明るい未来像を描けるような国を目指していただきたいものです。そのためには我が国は内科療法ではなく、ウミを絞り出す外科手術が必要です。そして原点に戻って「国家百年の計」といった長期ビジョンを国民に説き、それに向かっての「人づくり」、「国づくり」を考えるべきではないでしょうか。

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