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2024年04月26日

ちょっと気になる記事・話題(134)

今週、4月23日(火)、14時~、天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれ、各界から約1400名が招かれました。私もトラック貨物輸送業界(全日本トラック協会)からの招待者として参列いたしました。今週は全国的に天候不順で、東京も開催当日の午前中まで雨模様で心配しましたが、幸いなことに会が催されている間はピタッと雨は止みました。大都会の真ん中と思えない深い緑に囲まれた庭園の歩道を、天皇陛下ご夫妻を先頭に皇族の方々が目の前をゆっくりと歩まれ、ところどころで参列者と言葉を交わされました。「殿下から声を掛けられない限り、こちらからは話しかけてはいけない」という決りになっていますが、光栄なことに、この日初めて参加された愛子様から声をかけていただき、二言三言、言葉を交わさせていただきました。大変愛くるしく素晴らしいお人柄という印象が強く残っています。

■■最近想ったこと・注目したこと:
■「内部通報制度」の有効活用には経営トップの認識を高める必要:
この制度は、食品偽装表示や自動車のリコール隠しなど相次いだ企業の不正を受け、労働省が内部通報をしやすい環境を整えるため、2006年施行の「公益通報者保護法」で、一定規模以上の事業者に義務付けられた制度です。通報を理由とした解雇や降格、減給といった不利益な取り扱いは禁止されています。2022年6月施行の改正案では、従業員301人以上の事業所に、①内部通報に対応する窓口の設置、②内部規定の策定等を義務付けました。最近における著名な大企業の不正も、社内から外部機関への通報(内部告発)が不祥事判明のきっかけとなりました。現在300人超の従業員を抱える企業の約9割がこの制度を導入しています。ところが有効活用されていない実態も明らかになっています。背景にあるのが、「内部告発を行っても隠ぺいされるか犯人捜しが始まるだけ」という不信感が根強いからです。調査では経営陣の認識不足が指摘されており、まだ「やらされ感」の域を出ていないようです。
私は前職時代、制度が制定された直後の2007年に「ヘルプライン」という名称でこの制度を採り入れました。窓口を社内組織に置くと制度の負の側面が生じるので、守秘義務のある弁護士事務所としました。この制度の目的は不正を発見し是正することにありますが、本来は「抜かずの宝刀」として不正・不祥事の未然防止にあるのです。もし組織内の自浄機能が効かず外部に流出すると、最近のネット時代では瞬く間に拡散し、組織の存続すら危ぶまれる事態に追い込まれるケースもあります。
一般的に経済犯罪について我が国は、米国と比ペナルティが軽いとされてきました。ところが我が国でも米国の企業犯罪防止策に倣い、業界内の「談合」の告発を推奨するため、独占禁止法上の「リニエンシー制度(Leniency、課徴金減免制度)」が18年前に制定されました。日本の風土にはなじまないのではないかと思われましたが、実例が増え効果を発揮しつつあります。また、刑事手続きにおいても捜査或いは公判手続きの促進のため、いわば自白を促す「司法取引」が5年前から導入されています。

■多発する地震と、「南海トラフ地震臨時情報」:
最近、台湾や沖縄、四国地方をはじめ、国内外で地震が多発しています。中でも警戒を要するのが南海トラフ地震です。発生すると32万人の死者が予想されています。そのため震源域で一定規模(マグニチュード6.8以上)の地震を観測した場合などに、より大きな地震への警戒を促すための情報発信が「南海トラフ地震臨時情報」です。臨時情報の後、有識者で構成する検討会が巨大地震が起こる可能性を評価し、危険が迫っていると判断すればその程度に応じ、「巨大地震警戒」、「巨大地震注意」を出します。そして危険度に応じて政府や自治体が避難や防災対応を呼びかけることになっています。ところが内閣府の調査によると、この情報発信に対する認識度は3割に止まっており、まだまだ定着していません。
私は東日本大震災の後、関西経済連合会の復興支援対策委員会の副委員長として津波で壊滅状態になった陸前高田や気仙沼、そして多数の生徒と先生が亡くなった石巻市の大川小学校も訪れました。そこで学んだことは「津波てんでんこ」という標語・相言葉です。これは津波被害が多い三陸地方で「津波が来たら家族が一緒でなくても気にせず、てんでんばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れ」という意味です。この防災教育が徹底していたことにより、釜石市では児童・生徒約3000人が津波から逃げ切り「奇跡の釜石」と称賛されました。何といっても大事なことは国民一人一人が「お上頼み」や「何とかなる」といった「根拠のない楽観論」を捨て、「自分の命は自分で守る」という防災意識を持つことです。

■日本語習得と独特の慣用句の難しさ:
日本語の文章は漢字とひらがな、カタカナ、数字が入り交じり、更に最近はアルファベットも加わっています。その上、漢字は表意文字で読み方も字によっては何種類もあり、習得するのは日本人にとっても大変です。ましてやアルファベット26文字+数字の欧米人にとって日本語は極めて難しい言語です。例えば「分」という漢字をとっても、「分ける(わける)」、「分かる(わかる)」、「1分(ぷん)、2分(ふん)」、「武士の一分(ぶん)」、「分別(ふんべつ―常識的な判断力)」、「分別(ぶんべつー別々に分ける)」、「大分(いた)」、等々。
その上、日本独特の慣用句(言い回し)があります。4月20日付の日経新聞に、私たちが日常何気なく使う慣用表現の語源で、正解率が低い順に10傑が掲載されていました。それによると、①「五臓六腑」に含まれない臓器は何か(正解は膵臓)、②「檄を飛ばす」で飛ばしたのは何か(考えを訴える文書)、③「どんぶり勘定」のどんぶりとは(物入れ)、④「こけら落とし」とは何を落とすのか(木くず)、⑤「ろくでもない」のろく(漢字では陸)は何を表すのか(平らな様子)、以下省略。
そして更に格言があります。例えば「三度目の正直」、「背に腹は代えられぬ」、「猿も木から落ちる」、「目からうろこ」等々。こういった表現は日本人同士なら、適切な状況で引用すると極めて効果的で、「なるほど」と思います。ところがこれを欧米人に対して使い、「さあ訳せ」となると簡単ではありません。もちろんそのまま訳すと意味が伝わらず、通訳泣かせとなります。私の実体験として、在米中、ある議員先生がスピーチで「日本も米国も同じコメ(米)の国だから」と言われ、どう訳すか困ったことがありました。

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