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2023年05月26日

4年ぶりの米国訪問 その①(92)

今月19日(金)~21日(日)、G7広島サミットが開催され、ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃的な参加もあり世界的に注目されました。今回のサミットを通じ、G7を中心とする自由主義諸国と、中国・ロシア等、専制主義国家との分断というか、対決姿勢が一段と明白になりました。グローバル・サウス諸国の立ち位置も不透明で、世界は地政学的な緊張と複雑化が避けられず、今後の経済発展やグローバル化への影響が懸念されます。

■私は前号で記したように5月11日(木)~21日(日)、4年ぶりに米国を訪問しました。そのため先週のブログは休ませていただきました。今回はニューヨークで4泊、ネブラスカ州オマハで2泊、ロサンゼルス3泊、機中で2泊という行程で、米国を東から西に横断したことになります。東海岸と西海岸とは3時間の時差があり、そのため東から西に向かって移動する方が、1日を1時間とか2時間、或いは3時間長く使えることになります。因みにニューヨークからロサンゼルス間の大陸横断には直行便でも約6時間ちょっと掛かり、日本とシンガポールとほぼ同じ所要時間です。
■今回は全行程で天候に恵まれ、若かりし頃の米国生活が蘇るとともに新たな思い出が加わりました。私にとってニューヨークは7年ぶりでしたが、滞在中、45年前から5年半にわたって生活したアパート(日本流ではマンションと称しますが)を始め、懐かしいところを訪れました。数十年ぶりにエンパイヤステートビルの86階展望台(321m)から夜景も眺めました。駐在していたころはダウンタウンの方向に超高層のワールド・トレードセンタービル(411m、110階)2棟のスマートな姿が見えましたが、残念ながら2001年9月11日のテロにより消滅したことはご記憶の通りです。
■夜景と言えばマンハッタンからブルックリン・ブリッジを渡ったところにある、リバーサイド・カフェからの夜景もこれまた素晴らしい眺望でした。機会があれば是非ともお勧めの観光スポットです。ほかにも近代美術館(MOMA-The Museum of Modern Artの略)やメトロポリタン美術館の充実した展示品には圧倒されました。世界的に著名な画家の作品がさりげなく目の前にあり、写真撮影も自由で我が国とのお国柄の違いを感じさせられました。そのほかにもアメリカ自然史博物館の展示品もスケールの大きさを感じました。チャイナタウンの飲茶・点心も楽しい時間でした。自由の女神も数年ぶりに眺めたほか、毎年世界一のXマスツリーが飾られるロックフェラーセンターも訪れるなど、久しぶりのニューヨークを満喫しました。
■ニューヨークの後、約3時間20分のフライトでネブラスカ州オマハを訪れ、前職時代にロサンゼルス近郊で立ち上げた冷凍冷蔵倉庫事業の社長を8年間務め、事業基盤を軌道に乗せてくれた米国人のお宅に泊り、旧交を温めました。周辺は日本でいえば軽井沢のような環境で、散歩道では時には野生の七面鳥やシカ、ウサギ、リスに遭遇するそうです。オマハは人口約50万人程度の普段は静かな地方都市ですが、今や日本でも有名になった世界的な投資家・ウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社の今月6日開催された株主総会には、世界40ヵ国以上から約4万人が押し寄せ、同氏の話に聞き入ったそうです。今回の発言内容は米国経済・産業に対する警告にも近い厳しい見方だったようです。同氏は最近、日本株、特に商社株に関心を示している(保有株式時価総額は約2兆円)ようですが、背景にインフレによる資源価格の上昇期待があるように感じます。因みに同社の上場株式投資の95%は米国企業が占めています。同氏が日本株に関心を示したことが日本株の上昇の一因になったとすれば「さすが大物」という思いです。
■米国は「人種のるつぼ」と称されるだけあって、日本では考えられないくらい多様性に富み、それが差別とか格差を生じている一方、活力の源にもなっていることも事実です。また、米国人は極めて気さくで、ジョークを好み家族と友人を大切にする国民性です。欧州と違い今年で建国247年と歴史が浅く、名所旧跡はあまりないことから自然を相手にいろいろ工夫して楽しさを創り出すお国柄です。
■コロナ対策についても日米で大きな違いがあります。日本では5月8日に2類から5類(インフルエンザ並み)へ移行した後も、出発前の段階ではほぼ100%近くが相変わらずマスクを着用し続けているように思いました。ところが米国ではずっと以前からマスクをしている人が少ないと聞いてはいましたが、実際に今回もマスクを着用している人を全く見掛けませんでした。米国ではコロナ感染による死者が100万人を突破したのに対し、日本では7万人強に止まったという点では行政の施策が功を奏したと言えます。それでも米国民は政府が「ああしろ、こうしろ」といちいち口出しするのを好まず、個人の選択(自由)というか自己責任を尊ぶ国民性があるように思います。これだけの死者が出ていても政府の失政という声は余り聞かれません。逆に日本は昔から「泣く子と地頭には勝てぬ」といわれるように、「お上(政府)のいうことには逆らわない方がいい」とされてきました。その裏には「言われる通り従っていれば何とかしてくれる」という、「お上頼み」というか甘えがあるのではないでしょうか。
■この点は国の産業政策とも重なります。米国では不況になると簡単にレイオフ(解雇)します。もちろん失業保険制度はあります。しかし労働者はより給料が高く待遇の良い会社を目指し、学び直し(リスキリング)や資格を取得したりで、自らのグレード・アップを目指します。結果として衰退産業・企業から新たな市場・企業への労働者の移動が促進されます。ところが日本では余剰人員を解雇することなく企業で抱え、それを政府が財政面から補助(雇調金等支援策)します。それにより表面的には失業率は低く抑えられます。しかし合理化(リストラ)・効率化は二の次になります。米国が外科手術型に対し、日本は内科・漢方療法的です。そのため日本ではゾンビ企業※の比率が20%近くに達していると聞きます。
我が国の経済体質は資本主義的社会主義型と揶揄される所以です。近年で唯一例外だったのは小泉純一郎内閣(2001/4/26~2006/9/26)が、バブル経済崩壊後の混乱期にとった不良債権処理政策でした。小泉首相は「政府は関与しない」といった意向を表明したことから、過剰とされた都市銀行の再編・淘汰が一挙に進みました。批判も評価もありましたが郵政民営化への道筋を立てるなど、「聖域なき構造改革」を進めたことは、日本の産業界・社会に活を入れた点で評価されるべきではないでしょうか。
※:経営が破綻しているにも関わらず、金融機関や政府機関の支援によって存続しいている企業

以下、次号。

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