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2022年03月04日

米国でのくらしとビジネスを振り返って(2)(34)

米国の面積は約983万平方km(日本の26倍)で、ロシア、カナダに次いで世界3位の広さです。カリフォルニア州だけで日本の総面積の1.12倍あります。2021年4月現在の人口は約3.32億人で、日本の約2.6倍。GDPは4倍強です。そして米国はハイテクを中心とした先進工業国であると同時に、実は高い生産性と競争力に支えられた世界一の農業国でもあります。

目下、ウクライナに侵攻して、世界から非難されているロシアは、面積は米国の約1.7倍ですが、GDPは米国の約1/13、人口は約1.46億人(米国の44%)です。軍事費は米国の1/12程度の規模(世界4位)ですが、GDP(2020年)に占める比率は4.26%(米国は3.74%)に達しており、その分、国民生活部門にしわ寄せが及んでいるようです。このように軍事力と経済力では米国が圧倒的に上回っています。

なお、私は今から45年前、東西冷戦構造下にあったソ連の首都モスクワを商用で訪れ、約1週間滞在しました。その時の印象としては、2月ごろで外はマイナス15度と非常に寒かったことと、政府の中枢機関が入るクレムリンに面した「赤の広場」が、北京の天安門広場とは比べものにならないほど狭いこと、それに食事がお粗末で、これが米国と覇権を争っている国かと思いました。現地ではウォッカを飲んで盛大にやろうと期待して行きましたが、とてもそんな気分になれませんでした。

この度、ロシアはウクライナに侵攻しましたが、プーチン大統領は天然ガス(生産量:世界2位)、石油(同3位)の供給ストップという手段で、欧州諸国の結束を乱せると考えていたようです。ところが期待に反し、最も立場の弱いドイツまで足並みを揃えたのは想定外だったように感じます。そのため核保有国であることをちらつかせ、虚勢を張るというか、恫喝する意図があるように私には思えます。プーチン大統領の暴挙は世界中から非難されていますが、今後、エネルギー価格の高騰がインフレを加速させ、各国は金融引き締策に転じざるを得ず、国内外の経済への影響が懸念されます。

話を米国に戻しますが、私はニューヨークで勤務した5年4カ月の間に、日本からの数多くの訪問客へのアテンドをしました。時には一緒に全米各地を訪れました。そしていよいよ日本へ帰国という時に、初めて訪米された方々のほぼ100%が異口同音に、「日本はなぜこんな国(米国)と戦争をしたのですかねえ」と感想を述べられました。

因みに当時、駐在員の心得として諭されたのは、「駐在員は時にはドライバー、或いは通訳、接待係。そして仕事がうまくいけば本社の手柄、失敗すれば現地の責任」。これを「ぐっとこらえて」は、正に太平洋戦争で名を馳せた山本五十六・元帥海軍大将の名言、「男の修行」に通ずるものでした。私も前職時代、海外赴任する若手社員にそう言い含めると同時に、国内の関係者に駐在員への配慮を怠らぬよう指示しました。

その山本元帥は日本の軍人の中で唯一の知米派として、対米開戦に反対の立場でした。なぜなら元帥はハーバード大学に留学(2年)し、後に駐米日本大使館付・武官(2年)として米国をつぶさに見分し、米国の底力を知り尽くしていたからでしょう。しかし抗しきれず、「それならば」と連合艦隊司令長官として考えた作戦が、米国民の戦意喪失を狙った「真珠湾攻撃」でした。ところが「宣戦布告」が遅れた状態での奇襲となり、逆に米国民の戦意を高め、「トラの尻尾を踏む」結果になったとされています。

今も米国の国防の根底にあるのは「Never Forget Pearl Harbor!」(奇襲に備えよ!)です。私の駐米時代には、12月7日(現地時間)に陸・海・空の兵士によるセレモニーや、テレビでは日米戦争の映画や記録映像が放映され、在米日本人は何となく「うつむき加減」になったことを記憶しています。

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