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2021年07月30日

東京五輪に想う(2)

いよいよ東京五輪も中盤戦に入り、連日、様々な競技で熱戦が繰り拡げられています。そしてひいき目もあり日本人選手の活躍が目立ち、「よく頑張っているなあ」と応援しています。

今回は、57年前の五輪開催時との世情の違いについて、思いつくままに触れてみたいと思います。当時、私は大学3年生でした。学校に近い甲州街道をオレンジ色の聖火が走り抜けていった光景が今でもはっきりと目に浮かびます。

まず、当時の我が国の人口は約9700万人でしたが今は1億2300万人強です。出生数は約172万人が80万人前後へと少子化が止まらず、日本の人口は2008年から減少に転じています。平均寿命は男女とも14~15歳伸びています。GDP成長率は14%という伸び盛りでしたが、今はコロナの影響によるマイナス成長です。潜在成長率も1%未満という低成長時代に入っています。為替レートは360円の固定相場が今は110円前後。訪日外国人数は五輪開催前年の1963年は36万人強でしたが、コロナの影響が無かった2019年には3200万人弱(約90倍)に達しました。一方、出国日本人数も13万人弱が2000万人強(約160倍)へと増加しています。
当時はもちろんパソコンはなく、コンピューターも業務用に限られ、テレビは白黒、エアコンやインターネット、スマホはもとより電子ゲームもありませんでした。今は子供たちも学校以外に塾通いや習い事、ゲーム、それにコロナ感染など様々な危険があり外で遊ぶのもままならないようです。

以上のように、これまでの57年間を振り返ると、当時との違いはまだまだ枚挙にいとまがなく、現在の日本の社会はまさに全くの別世界です。
我が国は「人生100年」と言われるように長寿化が進み、国際化とIT化・情報化、それに交通機関の発展も目覚ましく、確かに私たちの暮らしははるかに便利・快適になりました。

しかしその一方で、経済成長にともない環境破壊は進み、身の回りから小動物は姿を消しました。災害も多発し、格差は拡大、それに都市化により核家族化が進み、「孤独死」に象徴されるように家族の絆も希薄化しています。そして今やクラウド頼りで人間が生来持っている「暗記力」が退化していると思います。
もちろん「何かを得れば何かを失う」のは世の常と言えますが、当時の生活環境にノスタルジアを感じるとともに、「幸せの国」と称されるブータン王国名誉領事を務めた体験から、「幸せとは何か」を考えさせられるところです。

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