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2021年08月27日

パラリンピックについて(1)(49)

新型コロナウイルスが依然として猛威を振るう厳しい状況下、2021東京五輪の後半戦となるパラリンピックが、8月24日から13日間の日程で始まりました。この大会は「多様性と調和」を掲げ、161カ国・地域と難民選手団で、史上最多の4403人の選手が参加しています。東京都のほか埼玉、千葉、静岡の会場で、22競技539種目で日頃の練習の成果が競われます。

 開催2日目の競泳で、最年少14歳で銀メダルを獲得した山田美幸さんをはじめ、出場選手の健闘ぶりはまさに感動的です。それぞれ身体的な障害を抱えながら、知恵と創意と工夫、そして鍛錬により限界を克服し、結果を問わず「ベストを尽くした」という、晴れ晴れとした表情が印象的です。そして「自分たちでもここまでやってるんだから、健常者はもっと頑張れ」と暗黙裡に言われているようにも感じます。

我が国では2016年に「障害者差別解消法」が施行されました。最近では、道路での黄色の点字ブロックも珍しくなくなっています。市民の暮らしの場でのバリアフリー化も進められています。それでもまだ障害者の転落や、交通事故被災が目につきます。

 振り返りますと、1978年に宇部興産のニューヨーク駐在員として赴任した当初、現地の乗用車のハンドルやブレーキが油圧式のため日本車と比べ非常に軽いのに驚きました。これは高齢者というか、いわば弱者に優しい運転術を提供すると同時に、購買層を広げるビジネスの一例です。もちろんエレベーターの乗り降りはレディーファーストでした。また、1980年代末に鴻池運輸でロサンゼルスの港湾地域に於ける冷凍冷蔵倉庫事業を進めましたが、そのころでも米国では既に、2階建ての建物でもエレベーターの設置が義務化されていました。米国では弱者を扶助することは当然とされていますが、これは「騎士道精神」に由来すると聞きました。

 さて、かく申す私も、実は外面的には何の障害はありませんが、法律上は「身障者一級」なのです。その理由は今から16年前、ウイルスが原因で心臓の弁膜を人工弁に置換する手術を受けたことです。それにより県から「身体障害者手帳」が交付されました。幸い私の場合は手術による日常生活への影響は全くありません。この体験談についてはいずれ触れたいと思います。

 内閣府によると、我が国では国民の7%が何らかの障害を有しているとのことです。その一方でOECDによると、障害者への公的支出のGDPに対する比率は、日本は1.1%と(2017年)とOECD平均(2.0%)に届いていません。法定雇用率でみてもドイツは5%、フランスは6%に対し、日本は2.3%と低いのが現実です。まだまだ我が国の「共生社会」への道は遠いと言わざるを得ません。

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