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2021年09月17日

大阪・夢洲の活用策について

先の横浜市長選挙で菅首相が支援した候補が大差で敗北を喫しました。敗因として新型コロナ感染問題への市民の鬱積した不満が指摘されています。確かにその通りだと思います。しかしながら、カジノ誘致に対する世論調査の結果(反対が過半数)が、投票行動に反映されたことも否定できないと思われます。他方、大阪府・市は引き続き大阪・夢洲へのカジノの誘致活動を進めています。

もとよりカジノを含む観光事業は、いわゆる平和産業とされ、景気動向に大きく左右されることに加え、地震等自然災害、疫病、テロ、紛争、戦争といった要因に対してきわめて脆弱です。風評被害も尾を引きます。この点は神戸淡路大地震や東日本大震災と福島原発事故、そしてこの度のコロナ感染拡大でも実証済みです。今も生産とモノの動き「物流」は比較的早く回復しましたが、「人流」は止まったままです。このように観光産業は極めて重要ですが、依存度が高くなるにつれ地域経済へのリスクも増大します。因みにコロナの影響がなかった2019年の訪日客は全体で約3188万人、うち中国、韓国、台湾の3カ国で62%占めました。中国だけで959万人、全体の3割に達しました。今は一昨年の1%以下です。 

ここ数年、ツーリズムは世界経済の発展とグローバル化の進展により、世界的に大きく伸びました。ところがこのところ世界情勢は大きく変化しています。特にアジアでは長引くコロナ問題が各国財政に及ぼす影響に加え、中国の覇権主義的な海洋進出による摩擦や、米中冷戦構造の先鋭化による影響で、地政学的リスクが増大しています。長期化も懸念されます。台湾は今や対中臨戦体制にある一方、中国政府は台湾訪問を厳しく制限しています。韓国も以前、THAADミサイル配備に中国が反発し、済州島では閑古鳥が鳴き、中国国内では韓国製品の不買運動が起こりました。我が国も例外たりえず、日本の領海付近で衝突が起これば、たちまち中国からの訪日客は止まるでしょう。つまり中国からの訪日客は景気や災害に加え、政治情勢に大きく左右されるリスクがあります。

 ここから本論に入りますが、今、自動車産業はCASEの4文字に象徴されるように、大変革期にあります。そして世界の潮流はガソリン車からEV(電気)に移行しつつあります。

一方、関西全体に目を拡げると、新産業というべきEV生産に必要なもの、即ち電池やワイヤーハーネス、モーター、半導体等、必要な材料・技術がすべて揃っています。また、交通・物流面では鉄道・道路・空港はもとより、輸出用の港湾等インフラも完備しています。

その上、東大阪には「自分達の手で宇宙へロケットを飛ばそう」という、優秀な中小企業が存在します。後はEVメーカーに夢洲進出を決断させる好条件を提示できるかどうかです。

もし夢洲でEV生産が実現すれば安定した雇用につながり、そして大阪のみならず関西全体の潜在力を引き出し、地域経済・社会の活性化につながることが期待出来ます。私はEV誘致に向け、少なくともチャレンジする価値はあると思いますが、荒唐無稽な話でしょうか。

 

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