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2021年12月03日

国際化と国際人の育成(2)(23)

「国際化」、「国際人」を語る場合に不可欠なのは語学力です。今の時代は常識的には国際語は英語です。その英語力を国際比較した我が国の現状は、英語能力指数ランキング(EF EPI-2020年)によると、非英語圏112カ国中78位です。因みにアジアの国々では、シンガポール4位、フィリピン8位、マレーシア28位、香港32位、韓国37位、インド48位、中国49位、ベトナム66位です。これらの国より低い評価です。
我が国では私のような70代でも高等学校まで進学すれば、少なくとも中学校から6年間は英語教育を受けました。にも拘わらずこの「低い」評価はなぜなのか。
ひとつには英語教育のあり方に問題があったように思います。また、ほとんどの日本人が日常生活上、必要性を感じなかったこともあります。その上、「人前で恥をかくな」という日本人特有の「恥の文化」が、特に英会話力向上の妨げになっています。

 一方、ヒト・モノ・カネが自由に出入りするグローバル化時代においては、英語力の弱さは官民を問わず大きなハンディとなっており、我が国の国際的地位の低下をもたらしています。一方、韓国政府は1997年に発生したアジア通貨危機からグローバル化の必要性を感知し、幼少時から英語教育を採り入れました。日本政府もこれに遅れること20年超、従来、一部導入されていた小学生からの英語教育を、2020年に実践的な形に大幅改定し、小・中・高で順次義務化することになりました。 

 語学力はSpeaking(話す)、Hearing(聞く)、Reading(読む)、Writing(書く)という4つの機能で構成されます。私は動物学者ではありませんが、最初の二つは自然界の動物も具えているようです。孫が徐々に言葉を身に付けていく過程を見ましたが、最初は自己流の「しゃべり」で、意味不明ですが何かを伝えようとします。それが日に日に明確な言葉となっていきます。すなわち親や身辺の人たち発する音(言葉)を聞き分ける(Hearing)能力と、それを自分の声として発する能力(Speaking)を徐々に身につける、つまり音を「まねる」(真似る)ことでCommunication能力を身に付けていくわけです。
ところが私たちが中・高生時代に英語教育で最初に学んだのは、「話す」ことではなく「文法」でした。そのため未だに英語をしゃべるときは、頭の中で文法的に正しいかどうか考えてしまいます。大事なことは文法的に正しい英文より、ともかく「話す」ことです。最近は優れた翻訳機も開発されているようですが、下手であってもやはり「生の会話」です。そのためには Native Speakerの先生の数を増やすことです。
また、日本人には「人前で恥をかくな」という国民性(恥の文化)があります。そのため自分よりうまくしゃべる人がいると、途端に黙ってしまいます。この壁を乗り越えることが必要です。外国語の会話力アップには「しゃべるは一時の恥、しゃべらぬは一生の恥」というくらいの気持ちが必要です。これからの時代は日本語であれ外国語であれ、必要な場合には自分の主義・主張を自分の言葉で表現することが求められるからです。

なお、ニューヨークでもロサンゼルスでも、駐在員が5~6年勤務の後、いよいよ帰国する段になって、「さぞかし英語がうまくなったでしょうね」と言われるのが辛いところです。米国で勤務したからといって英語をうまくなるかどうかは別です。日本にいても上達する人は上達します。要は心掛け次第です。「語学力向上に王道なし」であり、たとえ数分でも毎日続けること、ここでも「継続は力なり」です。

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