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2021年12月24日

本年を振り返って(26)

今年も残すところ1週間、いよいよ年の瀬を感じる頃になりました。
今回のブログを以て本年最後の配信とさせていただきます(新年は1月7日に再開予定)。
この一年を振り返りますと、昨年と同様にコロナで始まり、コロナで終わることになりそうです。2回目のワクチン接種も終わり、もう「これで安心か」と思っていたところ、今度はオミクロン変異ウイルスのブレークスルーという新たな問題が発生し、第6波の来襲に対する備えが必要となっています。一方、世界的にも米欧など先進国での感染再拡大とワクチン接種が普及していない国・地域でも感染が拡がっています。救いは飲み薬を含め新薬が次々と認可される等、対症療法が進歩しており、重症化のリスクが下がってきていることです。結論としては「After コロナ」はまだまだ見通せず、当分の間「Withコロナ」の状況が続く、つまり長期戦を覚悟せざるを得ないと思われます。 

さて、今年を象徴する一文字に「金」が選ばれました。「金」が選ばれたのは今年で4回目ですが、オリンピック・イヤーは金メダルを象徴して「キン」が選ばれる傾向があるようです。しかし現在の日常生活では「金」は「キン」より「カネ」という意味で使われる頻度が圧倒的に多いように思います。例えば現金、預金、借金、資金、雇調金、給付金、補助金、税金、等々、たくさんあります。これは、かつて貨幣の発行に金(GOLD)の裏付けがあった「金本位制」の名残りでしょうか。なお、今年は米国がドルと金(GOLD)との兌換を一時停止した、いわゆる「ニクソン・ショック」から50年の節目の年です。その年の8月、私は研修生として派遣されていた貿易研修センターの卒業旅行で、米国と欧州を回ったのですが、各地で通貨システムの混乱を体験しました。そして、金(GOLD)の呪縛から解かれた通貨は「管理通貨」となり、極論すれば基軸通貨である米ドルへの「信認・信頼」だけが頼りの「紙切れ」に変わりました。 

今、世界ではコロナ感染拡大に伴う不況対策として発行された大量のドルと低金利が米国の株価を押し上げる一方、原材料や製品のサプライチェーンの混乱による供給不足、それに労働力不足に伴う人件費の上昇が加わり、世界的にインフレの様相を呈しており、主要国政府は政策を転換し始めています。ところが我が国では原油を始め原材料価格(企業物価)は、円安の影響もあり約10%上昇しているのですが、小売り価格つまり消費者物価(CPI)の上昇は1%未満です。一方、米国のCPIは約7%、欧州でも6%近い上昇率です。つまり欧米では原油や鉄鉱石といった原材料価格のような、企業努力では如何ともし難いコストの上昇については、比較的スムーズに小売り価格に転嫁されます。伝統的にそういった商習慣が根付いていると言えます。 

それではなぜ、我が国ではこの市場メカニズムが機能しないのか。その理由は小売り段階で「過当競争」があり、なかなか値上げに踏み切れないのです。そのため企業の利益率は欧米に比べ低く、副作用として労働生産性は先進7カ国中で最下位、それにこれからの時代に不可欠なDX活用ランキングも世界で28位という低い評価です。日本独特の多層構造と、ひしめく企業数にメスを入れ構造改革を進めないと、生産性の向上や適正利潤の確保は難しく、「貧しさを分かち合う」ような状況が続くことになります。 

さて、弊事務所がスタートして6カ月が経ちました。まだまだ試行錯誤の段階ですが、お陰様で様々な機会に講師を務めさせていただいたり、ブログの更新等、自分なりに充実した半年でした。来年も引き続き頑張ってまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。皆様方には大変お世話になったことに厚くお礼を申し上げますとともに、楽しい年の瀬と輝かしい新年をお迎えになりますよう、心より祈念申し上げます。

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