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2022年01月14日

主たる資源を有しない日本に必要なこと(28)

新しい年が明け、瞬く間に成人の日も過ぎました。今年の新成人は1月1日現在で120万人と過去最少となりました。因みに昨年の出生数は80万人を切ったようです。これは「団塊の世代」(1947~1950年生れ)の約1/3の水準です。新成人の数は今後とも減り続け、結果として高齢化が一段と進むことになります。なお、「成人」となる法的年齢は今は20歳ですが、世界の潮流に合わせ本年4月1日に18歳に引き下げられます。「18歳か、20歳か」は目下混在しており、例えば選挙権は2016年6月22日に18歳に改定されました。しかし飲酒や喫煙、競馬・競輪等公営競技の年齢制限は20歳以上のままです。年齢による区分は義務教育の開始年齢を始め、年金制度・介護保険といった社会保障や運転免許等多くの分野で設定されています。

諸制度のうち、社会保障が前提としている「標準世帯」は、1960年代(高度成長期)は夫婦・子供二人でした。当時は専業主婦がほぼ7割を占めていましたが、2019年時点では専業主婦世帯が約30%に減少し、逆に共働き世帯が約7割近くとなり逆転しています。また、学校の卒業・入学は日本は3月・4月ですが、世界では9月が主流です。これが我が国からの留学と、逆に海外からの受け入れについての阻害要因となっています。そして最近は、「男性」か「女性」という区分についても議論を呼んでいます。機内放送も「Ladies and Gentlemen」から「All Passengers」に変更したとか。

一方、米国では目下政治的に混乱し、民主主義の在り方に危機感が高まっています。しかし米国は経済的には自給自足が可能な国です。豊かな国土と資源に恵まれ、全土を耕作すれば今の人口(約3.3億人)の10倍まで養えるそうです。従って、たとえ孤立化してもやっていけます。ところが我が国は人材以外にこれといった資源はなく、周囲をブロックされるとたちまち干上がってしまいます。米国とは異なり日本はグローバル化の中で、「無」から「有」(付加価値)を生み出す方策を見出すしか生きる道はないのです。そのためには世界的に通用する一騎当千の人材育成が不可欠です。

そういった点で我が国はシンガポールから学ぶべき点が多々あると思います。面積は東京都の1.15倍、自国民344万人と永住権を保有する外国人が53万人、それに中長期滞在の外国人が167万人、人口は合計約560万人(東京都は1360万人)です。同国は一党独裁に近く民主主義国家とは言い難いのですが、よき指導者を輩出していることがキーポイントです。それにより右肩上がりで発展し、国民一人当たりのGDPは世界7位で日本(24位)を上回っています。そして同国は国際金融都市として香港から脱出する企業の受け皿になっています。一人当たりGDPは民間企業でいえば株式市場での株価のようなものです。そう考えると日本株式会社の株価は低迷しています。

また、私は10年前に北欧(スウェーデン、フィンランド)とドイツを訪れ、高負担・高福祉や女性の社会進出の現状を視察しました。そして日本の現状がいかに遅れているかということと、その背景にある政府と国民の信頼関係の違いを痛感しました。

シンガポールにせよ北欧諸国にせよ、国の規模が小さいから可能だとする向きもあります。しかし今の日本はそんな言い逃れで済むような状況ではありません。このままでは政治も経済も三流となり、国自体がどんどん劣化します。例え小国であっても成功事例から学ぶべきです。そして世界の潮流とグローバル・スタンダードを見極めるとともに、我が国の国勢の変化に対応し、法律や諸制度のアップデートと自己変革が是非とも必要です。

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