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2022年01月28日

暦と風習に見る国別事情(30)

新しい年となりまもなく1カ月が過ぎ来週から2月です。そして2月3日(木)は「節分」。インターネットで検索してみると、太陽暦では立春(今年は2月4日)に最も近い新月を元日とし新年が始まることから、立春の前日に「節分」が行われるようになったとされています。
元々の発祥は中国で、大陸文化が広く取り入れられた平安時代、大みそかに宮中行事として陰陽師が、厄や災難を祓い清めるため行った儀式とのことです。それがいつの間にか宮中行事ではなくなり、庶民の間で豆をまいて無病息災を願う「節分」として広がりました。その後、江戸時代から大阪で商売繁盛を祈って「太巻きずし」を食べたことから、現在の「恵方巻」を食べる風習につながったとされています。 

我が国では正月やお盆という二大年中行事や様々な祭りに加え、海外からもバレンタインデーやハロウィン、クリスマス等の異文化のイベントが加わり、本来の宗教上の趣旨とはかかわりなく、チョコレートやケーキをはじめ様々な商品の、特売の手段として定着しています。イスラーム諸国の敬虔な宗教心やアラブ諸国-イスラエル間の根深い歴史的対立等を考えますと、日本人の宗教心の在り方や、何事も抵抗なく取り入れ日本流にアレンジする国民性が窺えます。 

なお、我が国の正月は1872年以降、新暦(太陽暦・グレオリオ暦)に基づきますが、中国のほか全世界の華人(約6000万人とされる)のほとんどは、中国旧暦の正月を春節(Chinese New Year)と呼んで新年を祝います。毎年春節の日にちは異なり、今年は2月1日(火)です。アジアでは中国、シンガポール、韓国など9カ国・地域では数日間の祝日を設定しています。中国では今年は1月31日(月)~2月6日(日)の7連休となります。休み中の2月4日(金)には北京オリンピックの開会式が行われます。例年この期間には延べ約30億人が移動するとされていますが、今年はコロナの感染問題やオリンピック開催がどう影響するか注目されています。 

ところで、アジアには約3000万人の華僑(Overseas Chinese)が在住し、地元経済に強い影響力を持っており、春節期間中はビジネス活動がほぼ止まります。また物流にも大きな影響が生じます。ちなみに、我が国では一般的には年末年始の約1週間が休みですが、米国は通常1月1日のみです。そして日本ではお盆と年末年始が大移動のシーズンですが、米国ではイースター(復活祭)、サンクスギビングデー(感謝祭)とクリスマスの前後がそれに当たり、交通機関は非常に込み合います。イースターはその年によって日が異なり、今年は4月17日です。サンクスギビングデーは11月最終木曜日、今年は11月24日です。米国駐在時代のこの時期、移動に苦労した記憶があります。なお、ハロウィンは10月31日、クリスマスは12月25日に固定されています。 

このほか世界では西暦以外に歴史や宗教によって固有の暦があります。イスラームでは教祖ムハンマド(マホメット)による、メッカからメジナへの移住を起点とするヒジュラ暦があります。ただ、ほとんどのイスラーム国では公式の暦としては西暦を使用しています。またインドではヒンドゥー暦があります。我が国でも戦前には、神武天皇が即位した年(西暦前660年)を元年とする「皇紀」が存在しました。
こういった国や地域、宗教の違いによる固有の歴史や慣習を知っておくことは、ビジネスや旅行をする上で極めて大事です。

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