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2022年04月08日

米国でのくらしとビジネスを振り返って(7)(39)

OECD(経済協力開発機構)が世界38カ国を対象にした、2020年の長時間労働ランキングによると、給与所得者、自営事業者を含む全就業者の一人当たり平均労働時間は、日本は1598時間で第24位にランクされています。因みに1位はコロンビア(2172時間)、米国は11位(1767時間)、そしてお隣の韓国が3位(1908時間)となっています。ちょっと意外に思いますが、我が国では短時間就労や非正規雇用が多いことが、この数字に表れていると指摘されています。ただ男性社員に限ると今も世界トップクラスです。

日本人は「働きすぎ」とか「長時間労働」といったイメージが定着していますが、米国でも上昇志向の強いビジネス・パーソンや、弁護士のようないわゆるフリーランサーは仕事でもプライベート・ライフでも非常にタフです。東海岸のニューヨークとロサンゼルスやサンフランシスコ、或いはシアトルといった西海岸の都市とは3時間の時差があり、飛行時間は約6時間です。この時差を利用して仕事をこなすのです。西から東へ向かう時は1日が3時間長く得した気分になりますが、逆の場合は3時間繰り上がります。ロサンゼルスで夕食後、翌朝のニューヨーク時間朝9時からの会議に間に合わせるには深夜便に乗ることになりますが、これを通称「レッド・アイ・フライト」と呼びます。目が真っ赤に充血して夢遊病者のような状態になるからです。

米国での生活や仕事には飛行機の利用が欠かせません。私もニューヨーク在任中、1年間に120回くらいフライトしました。時には4~5人乗りのセスナのような飛行機をチャーターしました。米国では殆どの都市に中・小型機が離着陸できるMunicipal Airport(公営空港)があるので、地方都市へ行く時には通常の飛行便を乗り継ぐより時間を節約出来るし、人数によっては料金的に割安にもなります。

ある日、シアトルから対岸のバンクーバーアイランドの地方の工場へ行った際は、カタパルトが付いた水上飛行機を利用しました。エリオット湾の海面を水しぶきを上げ滑走したのち舞い上がり、訪問地の近くの海上に着水すると、パイロットが床からオールを取り出し、岸壁に飛行機を漕ぎ寄せました。通常なら半日くらいかかるところを1時間程度で到着し、会議の間飛行機を待機させ、再びシアトルに戻ったのでした。

日本では社有機(Corporate Jet)を持っているとか、Private Jetを持っているというと、それだけで驚きですが、米国ではちょっとした会社や、富裕層ではごく普通です。因みに小型飛行機と並んで、ヨットは日本にはない大きな市場です。ヨットは海や湖に近いところに住む人たちにとっては、日本における自家用車のような感覚です。

ともかく、米国人はプライベート・ライフでは家族との時間を大切にします。米国は独立して今年で246年、わが国や欧州と比べはるかに若い国です。従って歴史的な観光地や建造物といっても数多くありません。そのため米国人は家族で楽しみ方を創り出しているように思います。自然に包まれた郊外や自宅の庭先でのバーベキュー、そして冬はスキーとか。ともかく家族でたわいのないことで一日中楽しんでいるように感じました。ゴルフも日本のように、父親だけが接待がらみで丸一日ということはなく、朝からセルフ・カートで3時間くらいラウンドし、その後はテニスや、水泳、ヨット、或いは乗馬等を楽しんでいるようです。米国ではライフスタイルについて多くを学びました。

追記:どうやら世界は中・露を柱とする全体主義・共産主義国と、自由主義・民主主義陣営との分断・対立がより鮮明になりつつあります。国連総会のロシア非難決議は、193の国連加盟国のうち賛成141カ、反対5カ国(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、シリア)、棄権35カ国という、賛成の圧倒的多数で可決されました。ただ、問題は今後の新興国の動向です。それに大きな影響を及ぼすのが経済的な繋がりです。現在中国を最大の貿易相手国とする国は64カ国に達し、既に米国の38カ国を上回っています。中国のGDPは2028年に米国を抜くとされており、巨大な購買力をバックに新興国を引き寄せようとしています。そういった点からも民主主義国サイドは、先ずは国力の基礎である経済力を強化し、新興国の経済発展に手を差し伸べることが重要です。

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