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2022年07月01日

この一年を振り返って(50)

私が前職(鴻池運輸㈱取締役会長)を退任・退社し、新たなチャレンジとして「辻 事業サポート事務所」を開設して以来、本日でちょうど一年になります。瞬く間に過ぎ去りましたが、この一年大過なくやってこられたのは偏に、皆様のご支援・ご協力の賜物であり、心から厚くお礼を申し上げます。
私は今年10月に満80歳となりますが、お陰様で体調は極めて良好で、現在は2社から社外取締役をお請けし、時折講演を引き受けたり、ホームページの更新、そして業界紙への寄稿などで、それなりに充実した日々を過ごしています。
ホームページに掲載しておりますブログは、原則週1回(金曜日)更新を守り、本号はちょうど50号の節目に当たります。今後とも出来る限り続ける所存ですので、いろいろご意見、ご叱声を賜れば幸甚です。

それにしても暑いですね。6月28日には近畿地方などで観測史上初となる6月の梅雨明けが発表され、記録的に早い夏本番を迎えました。そして電力不足や水不足、それに農作物への影響が懸念されています。この暑さが今後8月中旬のお盆明けまで約1カ月半続くと考えると、コロナ感染予防のマスク着用が解禁されぬまま熱中症対策をせねばならず、全くウンザリといったところです。なお、熱波と干ばつは西欧と米国の広範囲を襲っており、史上最高の日中気温が世界各地で記録されています。

さて、この一年を振り返りますと、賛否両論が渦巻いた東京2020オリンピック競技大会は、一年遅れの開催となりましたが無事終わりました。そして今年に入って2月には中国政府の厳しいゼロコロナ政策や人権問題への批判の中、北京2022冬季オリンピックが開催され、いずれの大会でも日本人選手が大活躍しました。戦いを終えた後のアスリートのすがすがしい姿や、感謝のコメントを聞いていると、「開催してよかったのではないか」というのが私の率直な感想です。

そして2月20日の北京オリンピック閉会を待っていたかのように、2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。それ以前からロシア軍は周辺で軍事演習を行い、米国は侵攻の可能性を警告していましたが、それでも「まさかそこまでやるか」というのが一般的な見方でした。それから4カ月経ちましたが、戦局は一進一退の消耗戦の様相を呈しています。

先日、ある政治評論家が主宰する月例の昼食セミナーに出席しました。100人くらいの参加者で、毎回ゲストスピーカーを招き、約30分の講演の後意見交換を行います。今回のゲストはミハイル・ガルージン・駐日ロシア連邦特命全権大使でした。大使は時々、テレビにも出演していますが、日本駐在は通算で約20年に及び、日本語は驚くほど堪能です。実は、同大使の登壇は2019年3月以来2度目です。前回の私の印象は「ロシアは北方領土を日本に返還するつもりは全くない」ということでした。今回も講演内容から、全体主義・専制主義国家の実像を改めて思い知らされました。

世界は今や3つの分極状態に突入しています。それは、①米国やEU、それに日韓豪といった西側陣営、②中国・ロシア・イラン・北朝鮮などの専制主義国家群、③インドのようにどちらにも属さない中立グループです。1989年の東西冷戦構造の消滅後、世界経済のグローバル化は順調に発展してきました。しかし、今や人・モノ・カネ・情報の流れは寸断されています。例えば穀物は干ばつに加え、戦争の影響でサプライチェーンが目詰まりを生じ、産地から消費地に届きません。新興国では飢餓が政情不安に発展します。また中ロに対する制裁関税も発動されています。欧米では猛烈なインフレを抑えるため急速な金利引き上げが進められています。中国経済の動向もゼロコロナ政策の影響が気掛かりです。このままでは日本も折角の円安を生かしきれず、不況に入りかねません。

一方、米国では人種間の対立という以前からの問題に加え、移民政策、銃規制、それに最近連邦裁判所による人工妊娠中絶の合憲性の否定等、国論の分断が一段と強くなっています。そして本年11月の中間選挙ではバイデン大統領の苦戦が明白です。もし与党・民主党が過半数を失うと、政権側が提出するほとんどの法案は成立の目途がたたず、大統領の残り約2年の在任期間はレームダック(死に体)化します。さらに、次の大統領選挙(2024年11月)で、根強いトランプ氏の再選となると、すべてが予見できない世界とになります。これは我が国にとっても大きなリスク誘因です。
ただ、目下のところウクライナ支援については、同国民が戦う姿勢を持ち続ける限り援助を続けるという政策で米国議会は超党派で賛同しています。いざとなると団結して「民主主義を何としても守る」という、米国の真髄を信じたいところです。

これから当分の間、厳しい暑さが続きます。お互いに体調に十分注意し乗り切りましょう!

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