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2022年07月22日

最近のニュースを通じて想うこと(53)

最近のニュースを見聞きして想ったことについて記します。

■「大本営発表」(旧日本軍の最高統帥機関):

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって、間もなく5カ月になろうとしています。戦局についてはお互いに国民に向け「相手方に打撃を与えた」という、都合のよい報道が目立ちます。国威発揚と厭戦気分を抑えるためのプロパガンダです。特にロシアの国営放送は、太平洋戦争における我が国の「大本営発表」を彷彿とさせます。1941年12月8日の真珠湾奇襲攻撃から太平洋戦争が始まりましたが、その僅か6カ月後の1942年6月5日~7日、中部太平洋上のミッドウェー島(米国領)付近で大規模海戦が勃発しました。この海戦で日本軍は「主力4空母と重巡1隻が撃沈され、投入した航空機全290機と多数の熟練パイロットを失う」という、大損害を被りました。一方、米軍側の損害は「空母1隻沈没、航空機150機喪失」に止まりました。明らかに日本軍の惨敗でした。ところがその時の大本営発表は、「米国の空母2隻を撃沈。わが軍は空母1隻沈没、1隻大破」でした。しかし国民は真実を知る由もありませんでした。専制主義国家の言論統制の恐ろしさです。これは現在の中国の国家体制でも、「都合の悪いニュースは報道しない」という点で共通しています。
なお、ミッドウェー海戦での敗北以降、戦局の主導権は完全に米側が握ることになり、日本は戦線から後退を余儀なくされました。ところが戦争はその後3年余続き、最後は広島・長崎への原爆投下という悲惨な結末となり、日本人の戦没者は310万人(うち軍人軍属230万人)に達しました。
今日でも「大本営発表」は権力者、利権者による信用できない情報を揶揄する慣用句として使われますが、まさに国家の最高機関の権威失墜です。背景として「組織上の問題」、「情報を軽視」、「内部対立」が指摘されています。国家のためとかいっても、所詮、「組織防衛」や「自己保身」の域を出ないことが多いのです。現在も大企業において「隠ぺい」や「捏造」といった不祥事が絶えません。組織運営に当たっては、こういった人間が本来持つ「弱さ」に留意する必要があります。 

■プーチン大統領の狂信的な思考:
プーチン大統領をよく知る米国・元駐ロシア大使のインタビュー記事が掲載されていました。その中で同大使は「優しく話しかければプーチン氏は行動を変えてくれるという考えは、信じられないほど甘い。軍事的行動では国益を得られなくなると考えるまで、彼は戦い続けるだろう」と述べています。そして「プーチン氏はロシアは退廃したリベラルな価値観を持つ西側とは、全く別の文明と価値観を持っている。その点をウクライナは歴史的にも共有していなければならず、一心同体でなければならない国と固く信じている。いわば狂信的な考えの持ち主であり、極めて根深い思考が底流にあるようだ」とも述べています。こういった専制君主的な支配者と対峙するには、西側も半端な妥協は禁物で、当然ながら軍事的緊張を伴いますが、強い決意で臨む必要があります。 

■民主主義の弱体化:
スウェーデンの独立機関V-Demが本年3月に公表した調査によると、2021年時点で世界人口の7割にあたる54億人ほどが非民主主義的な体制下にあるとされています。「自由民主主義」と分類される国は2012年に42カ国でしたが、2021年には34カ国まで減少しています。人口ベースでは僅か13%に止まっています。そして中国は一帯一路を提唱した2013年から5年間に、新興国にG7の支援額(6000億ドル)の約7割に相当する資金を拠出しています。こういったことから新興国にすればどちらか一方につくのは得策ではないのです。そのため先進国で構成されるG7がロシアを排除しても、新興国中心のG20は両にらみの姿勢です。結果として民主主義を掲げる先進国が築いた秩序は、瀬戸際にあるといっても過言ではありません。新興国などの中間勢力を引き付けるには経済支援が不可欠であり、そのための強い経済基盤構築が必要です。 

追記: このところ高温多湿で不快指数の高い日々が続いています。その上、しつこいコロナウイルスの第7波(変異株BA.5)来襲により、7月21日には感染者が過去最多の18万人を超えました。今後も増え続けるとの見方が出ています。病床使用率も20都道府県が40%以上に達しています。
また、世界的にも感染が拡大傾向にあり7月21日現在、累計感染者数は約5億6700万人(前日比+約156万人)、累計死者数は638万人(同約+6400人と)なっています。
国内外とも感染拡大が懸念されますが、その割に「コロナ慣れ」なのか、或いは「With Corona」の浸透か、緊張感とか危機感は余り感じられません。果たしてこれでよいのかよく分かりません。ただ当分の間、猛暑にもかかわらずコロナ対策でマスクは外せぬ一方、熱中症予防への備えが必要です。

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