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2022年09月16日

最近のニュースを通じて想うこと(60)

■季節雑感:
日中は相変わらず暑い日が続いていますが、朝夕はすっかり秋めいてきました。過日崩御されたエリザベス女王の生涯や現地の様子等が連日、報じられています。報道に目を凝らすと人々の服装は長袖が多いようで英国との気候の違いを感じます。
また、米国東部では秋から初冬の高温のことをインディアン・サマーと言います。語源は不明です。これから秋が深まり、紅葉のシーズンになります。日本各地でもたくさんの名所がありますが、私にとって忘れられない紅葉は、米国在住中に訪れたニューイングランド地方、その中でも大都市ボストンを擁するマサチューセッツ州やニューハンプシャー州、それにバーモント州の紅葉で、見ごろは9月下旬~10月中旬頃です。ニューヨークとボストンの距離は約360Km。便利なシャトル便の航空機を利用すれば約1時間と至近ですが、車で行くと5時間はかかります。しかし、この地方の紅葉の素晴らしい光景は一度見ると一生瞼から消えません。一見の価値大いにありです。ちなみにボストンは米国で最も古い街のひとつで、建設は1630年です。フリーダムトレイルと呼ばれる建国の歴史や独立戦争にまつわる場所を辿る散歩コース(約4Km)があります。東海岸にはボストンのほか、ニューヨークやフィラデルフィアといった古い街がありますが、ヨーロッパ風で道路が放射線状に拡がっている円形交差点も多くあるため、車を運転しているとどこを走っているのか分からなくなることが度々ありました。
なお、ボストンでの食は何といってもシーフードです。ダウンタウンに「ユニオン・オイスターハウス」(開業1826年)という有名な店があります。米国最古のレストランといわれています。2階の18番テーブルは故ジョン・F・ケネディ米国大統領が愛用した席で、その記念パネルが掲示されています。今から40年以上前になりますが、家族で訪れた際、娘がその席に座り、プレートを指さしている姿を今も懐かしく思い出します。もちろん料理の華はロブスターです。大きいのは2Kg以上あり、米国人はバターを溶かしたソースを好みますが、私たちは常に醤油を携行していました。ニューイングランド風クラムチャウダーもお勧めです。是非もう一度訪れたいと思っている店です。日本の秋とともに米国の秋についても思い出が尽きません。

■世界情勢についての懸念材料:
今、世界は猛烈なインフレに襲われています。最大の理由の一つは原油や天然ガス等、原燃料価格の高騰です。以前から資源価格は値上がり傾向にありましたが、火をつけたのはロシアによるウクライナ侵攻です。現在はウクライナ軍が反撃に転じており、本年2月24日のロシア軍侵攻開始以来、奪われた国土をかなり奪還したとされます。しかしプーチン大統領がこれを認め、すんなりと引き下がるとはとても思えません。
プロパガンダの効果で、プーチン大統領の支持率は地方選挙の結果を見ても高く、その上、ナショナリズムに火が付いた国民をなだめることは容易ではないと思います。一方、欧州では、スウェーデン、イタリアのように右派勢力の台頭が目立ち、対ロシア政策についてもこれまでの路線と一線を画し、自国利益優先の傾向が見られます。
これからG7の結束をどう図っていくかが問われます。これが世界政治・経済に大きく影響します。

■日本の景気・経済情勢
日銀によると、8月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は前年同月比9.0%上昇しました。前年同月を上回るのは18カ月連続です。背景に資源価格の高騰と24年ぶりの円安が挙げられます。問題は欧米と比較し企業物価の上昇を消費者物価に転嫁するスピードが遅いことです。日本には約260万の事業者が存在しますが、そのうち99%は中小零細企業で、全就業人口の約7割を占めています。こういった産業構造の下で、大企業レベルでの値上げ分の最終消費者物価への転嫁が進まないのです。これは自由主義市場経済において健全とは言えません。背景として企業間の過当競争がコスト上昇分を消費者、或いは物流業界の場合は荷主への転嫁を阻害していることが指摘されます。それがそのまま事業者の収益力の弱さに表れています。この構造を改善せずに、一時的な補助金や給付金のような塗布策を続けても、解熱効果に過ぎず体質改善にはなりません。そして国の借金は増える一方。是非とも国を挙げての抜本的な構造改革に取り組む必要があります。

≪追伸≫先週受診した人間ドックの報告書が届きました。幸い総合所見は、昨年同様「特記すべきことなし」でした。検査項目はCT(胸部、腹部、心臓)、頭部MRA・MRI、頸部MRI、エコー(腹部、心臓、甲状腺、頸動脈)、胃カメラ、腫瘍マーカー等々。来月には満80歳という年齢を勘案すると「上出来」という評価でした。幸い脳の萎縮もなく、認知症テストも無事クリアしました。これで安心というわけではありませんが、これからも年1回のドック受診は励行することにしています。

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