今週もいろいろ考えさせられることがありました。
■不透明感を増す世界の政治・経済情勢:
世界の政治・経済情勢はますます混沌としてきました。世界地図を見ているとまるでモザイク模様です。手を組んだり離れたり。それぞれの国益や元首の信条・思惑で動いているので、ガラガラポンの結果、何が出てくるか全く予測がつきません。憂慮すべき事項として以下が挙げられます。
①ロシアのウクライナ侵攻がどういう結末を迎えるのかはプーチン次第です。太平洋戦争もベトナム戦争の終結もそうだったように、戦争は始めるより、どう終えるかの方がはるかに難しい。もしロシアが核兵器を利用した場合の具体的な対応策について、NATO (北大西洋条約機構)では、検討が進められているようです。
②イギリス首相が就任後わずか45日で退任し、イタリアでは戦後もっとも右よりのポピュリスト政権が誕生する等、欧州の政治情勢に流動化が見られます。
③1カ月後に迫った米国中間選挙。もし予想通り民主党が議席の過半数を失うと、バイデン政権の残り2年間はレイムダック化(機能不全)し、国際政治にも大きな影響が出ます。そして米国内の分断は一層深刻化します。
④米国のインフレ対策である金利引き上げによる新興国の債務負担増大。既に事実上デフォルト(債務不履行)宣言を行ったスリランカを始め、債務超過に陥っている国がアフリカを中心に16カ国もあります。金融市場の波乱要因です。
⑤中国は世界のGDPの14%を占め、米国(同20%)に次ぐ世界2位です。その中国経済が現在、深刻な不況に陥っています。背景に長年経済発展を支えてきた不動産市場の低迷が挙げられます。そのほか国内で様々な矛盾が生じています。
そのため台湾の統一を含め、対外的により強硬に転じることが懸念されます。
⑥世界的に貧富の差が拡大しています。本来格差はないはずの中国でも上位1%の富裕層が「富」の30%を占めています。その上、都市と農村の所得格差が拡大し、国民の不満が高まっています。一方、米国でも上位10%の富裕層が所得全体の46%、資産全体の71%を握っています。下位60%の貧困層・中間層のシェアはそれぞれ13%、2%に過ぎないとの調査報告があります。
日本国内でも貧困問題(持てる者と持たざる者)が深刻化しています。
■漂流する日本の政治:
日本の政治も漂っています。例えば6年前に始まった「マイナンバー制度」の狙いは行政の効率化、迅速化による生産性の向上です。これは最大の行政改革です。プライバシーにうるさい米国でさえ、86年前からデジタル化(社会保障番号)を導入し、全国民並びに米国在住者全員に9桁の番号が付されます。これがないと生活は出来ません。我が国では6年かけて未だに普及率は50%前後です。このためコロナ対応の給付金の支給についても余計な時間と手間が掛かりました。その他分野でもDX化が遅れています。そのため日米では行政システムのスピードが違います。政府は国の在り方について、一体、どこに軸足をおいて政策を進めているのか分かりません。民主主義のマイナス面を露呈し、解熱剤による一時的な治癒の繰り返しで根治療法とはなってないのが実態です。これといった資源を持たない我が国が、こんな非効率な行政システムでこれからやっていけるのでしょうか。国の体質改善のため、時には国民に苦いクスリを飲ませるくらいの強い信念でやってもらいたいものです。
■海外留学について
入国管理庁によると、外国人留学生数は2019年5月に過去最多の約31.2万人に達しましたが、2021年5月には約24.2万人に減りました。政府は今年3月に留学生の入国を再開し、8月末までに留学の在資格で約12.2万人が入国しました。文部科学省は留学生の数を2027年までにコロナ前の水準に回復させる目標を掲げています。日本は留学生の受け入れ再開で他国に出遅れ、一部の留学生が留学先を他国に変更する動きも見られました。また、残念ながら様々な理由により、日本は高度人材に選ばれる国になっていないという声も聞かれます。
一方、日本人大学生の海外留学についてはコロナ以前は増加傾向で2018年度は過去最高の約11.5万人に達しました。感染が拡大した2020年度は2019年比98.6%減の1487人まで減少しました。また、2017年度に約4.7万人が留学した高校生も激減しています。政府も様々な支援策を講じ、2027年までにコロナ禍前の10万人への回復を目指しています。日本の若人には是非若いうちから、例え借金してでも海外との交流を深めていただきたいものです。
≪追記≫早いもので10月も下旬に入り、いよいよ秋が深まってきました。それとともに先日までは「暑い、暑い」といっていたのが、一転して「寒い、寒い」と冷え込みを感じるようになりました。季節の変わり目は体調にも影響します。くれぐれもご自愛のほど。