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2022年11月04日

ちょっと気になる記事・話題(66)

今週から11月に入りました。今年も残すところ2ヵ月。どんどん日は過ぎ去っています。NHKの深夜番組のコメンテーターが「今日という日は二度と戻ってきません」と言っていますが、まさにその通りです。一日一日を出来るだけ有意義に、そして健康的に過ごしたいものです。

今週も気になる記事や出来事をいくつか取り上げてみました。

■■インドから前職時代のビジネス・パートナーが来阪:
■以前、インドで携わった合弁事業があり、主たる業務はニューデリー近郊のグルガオン工場で生産された自動車の鉄道輸送でした。現在も業容拡大中です。インドでは道路の整備状況が悪く、輸送品質に問題があり、トラック輸送(カーキャリア)から鉄道輸送に転換する動きがあります。2017年4月に合弁会社の開業式を挙行しました。その際には、仕立て屋さんに私の寸法に合わせたインドの伝統的な正装を作らせてくれるなど、心のこもったおもてなしを受けました。
今回来阪したのは合弁相手企業のオーナーのご子息二人です。
そして昼食に招くに当たり、私はいろいろ考えた結果、梅田の「回転寿司」に案内しました。インド人は宗教上(ヒンズー)の理由で牛肉は食べません。ベジタリアンも多いのですが寿司は好きなようです。私は外国人を食事に招くにあたっては、高級店より日本の文化とか風土習慣、トレンドに触れるような場所、店を選ぶようにしています。今回はあらかじめ「寿司は好きだ」と確認していたので、今はやりのデジタルをフルに採り入れた回転寿司にした次第です。事前に店のシステムのチェックに行きましたが、店のメニューをスマートフォンにQRコードで取り込み、用意された英語バージョンでそれぞれ注文するのです。これは外国人にとって非常に目新しく喜ばれたように思いました。

■私はこれまでインドを5回訪れました。1回目は約50年前です。インドの人々はビジネスを行う上で、特に交渉については非常にタフです。生まれた国を離れ、外国で根を張り商売にいそしむ人たちについて、中国人は「華僑」、ベトナム人は「越僑」、インド人の場合は「印僑」と称します。因みに日本人は「和僑」です。このうち私の印象では「印僑」が一番手ごわいというか、したたかなように感じます。いずれにせよ海外で事業を起こし軌道に乗せるには、人間的に優れた(信頼できる)現地の人をどう見出し活かすかがキーポイントです。そのためには目利き力が必要です。そして出来るだけ現地化を進めることが肝心です。
■インドは中国と3380Kmにわたって国境を接しており、パキスタンとは3323Kmです。またバングラデッシュとも長い国境や飛び地があります。四囲を海に囲まれた我が国と異なり、地政学的な複雑さが、したたかな外交能力を育んでいるように思います。特に中国、パキスタンとの国境では緊張が続き、防衛面での備えが必要です。そのためGDPに占める比率は2.88%(日本はこれまでは1%)に達しています。そして外交面でも「全方位外交」をとり、BRICS(Brasil、 Russia、 India、 China、 South Africa)を構成すると同時に、QUAD(日米豪印戦略対話)に加わる等、国益中心です。各種協定、採決については是々非々で、旗幟鮮明にはしません。また、経済面では石油は約8割が輸入に頼っているため、少なからず外交政策に影響を与えています。

■内政面ではインドは「世界最大の民主主義国家」と言われます。そのため選挙を意識し、我が国と同じで、国民になかなか「苦い薬」を飲ませられず、古い規制の改革が遅れています。最近では労働法制改革の目玉である中小・中堅企業の解雇規制の緩和です。議会で成立しても施行に至らないのです。それでも人口が2050年には16億人超(国連集計)と、2022年の1.2倍に増える見通しを基に、将来の成長への期待から、このところハイテクや、ベンチャーキャピタルの進出が活発化しています。

≪追記≫ 就任後わずか44日で退陣を表明した英国のトラス首相の後任にスナク元財務相が就任しました。アジア系(アフリカから移住したインド系)では初の首相です。
トラス首相が退陣に追い込まれたのは、大規模な財政拡大政策がバラマキと市場で評され国債価格が急落(金利が急上昇)したためです。因みに英国の債務残高のGDP比は108.5%(2021年)です。翻って我が国の国家・地方合計債務は1200兆円を超え、GDPに対する比率は263%です。その上、日銀は頑なに金融緩和(低金利)を続け円安を加速させ、それによって高騰した原材料価格を政府が補助金で補い、その補助金を赤字国債を発行して賄い、その国債を日銀が買い上げるというもたれあいの構図になっています。何が問題かというと、現代のカネは管理通貨で昔のように「金(きん)」の裏付けがなく、通貨を発行する国家・政府への信用・信頼だけが支えなのです。それが何かの拍子に失われるとたちまち国債価格は暴落し通貨の価値もなくなります。今のところそういった事態を防いでいるのは、外国人の保有比率が13%程度と低い上に、国債発行量の過半数を日銀が保有しているからです。
こういった危ない状況下にも関わらず、日本政府も国民も危機感が薄く、相変わらずバラマキを続け次世代への借金を増やしています。しかも日本経済、企業の構造改革、体質改善にも結び付いていません。英国で今回、財政への不安が政変に繋がったことを他山の石として、国家財政について真剣に考えるべきではないでしょうか。

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