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2022年11月25日

ちょっと気になる記事・話題(69)

今回は11月としては最終の配信です。あと数日で12月、いよいよ師走。先日、ソウルでは残念ながら悲惨な事故で多数の若者が亡くなりましたが、ハローウィンで仮装したかと思えば、もう今度はクリスマス。それとともに、我が国だけではありませんが、最近は一年中、次から次へと目先を変えセール(特売)が行われます。米国では11月末に一年中で個人消費のピークとなる「ブラックフライデー」があります。先行してセールを実施する業者もいます。中国でも11月11日は「独身の日」(光棍節)と称して、アリババ等が通販を柱に大セールを行い、通常の年は1日で5兆円の売り上げがあったとされています。ところが今年はゼロ・コロナ政策の影響で不振だったのか、取引総額が公表されませんでした。このあたりにも都合の悪い情報は流さない・流させない、中国政府の専制的な意向が働いているようです。
なお、米国で一年を通して最も人の往来が多いとされるのは感謝祭(毎年11月第4木曜日、今年は11月24日)の前後です。この祝日は日本ではクリスマスほどには話題になりません。米国ではこの日、家族、友人が集まって七面鳥とカボチャのパイを食するのがならわしです。私も米国在任中、何度かこの日を経験しましたが、日本では七面鳥を食べる習慣は余り聞かないし、それに甘ったるいソースも手伝って、日本人の口に合わないような気がします。

■■今回も最近の出来事で心に残ったことを記します。
■サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本、ドイツを破る:
何といってもこれでしょう。久しぶりに日本中が沸いた明るいニュースでした。私はサッカーにさほど精通していませんが、印象として森保監督の緻密な作戦と、起用に応えた選手の活躍、それにドイツ選手にとって「負けられない」というプレッシャーが強すぎたことでしょう。また私は、日本人はラグビーもそうですが、やはり個人競技より団体競技の方が力を発揮するように思います。もともと日本人は農耕民族であり、個々の人間の体力や腕力でかなわなくても、みんなで力を合わせ、協力し合って事を成し遂げようとするのが国民性のように思います。
そういった点を考えると会社の雇用形態についても、長年馴染み、目下のところ支配的である「メンバーシップ型(年功序列・終身雇用)」から「ジョブ型」(しいて言えば狩猟民族型)に、一挙に変えることはリスクが多いように考えます。もちろん時代は変わり価値観も多様化していることから移行は必要と考えますが、激変緩和として二つの雇用形態を併存させる、「ハイブリッド型」から始めるのがよいように思います。

■NHKラジオ第一放送、「昼の憩い」、放送開始して70周年:
11月23日(水・勤労感謝の日)の昼、12時20分、聞きなれたテーマ曲とともに「ひるのいこい」の70周年記念放送が始まりました。この番組は年末・年始を除く月曜日から土曜日放送されます。最近は「聞き逃しサービス」もありますが、私は可能な限り欠かさずこの放送に聞き入っています。テーマ音楽の作曲はあの歴史に残る古関裕而さん。
この番組が始まったのは私が10歳のころ、初めてこの曲を聞いたのはいつだったか記憶にありませんが、他に例を見ない長寿番組です。私は今もこのメロディを聞くと昔懐かしい田園風景や、今は亡き両親のことが目に浮かびます。放送が始まったのは太平洋戦争で敗戦国となって7~8年後。日本は今では考えられないくらい貧しく食べ物も不足していました。もちろんテレビもスマホもなかったし、学習塾もなかった。 私のような男の子は朝から晩まで外でチャンバラごっこや、近くの小川で魚を釣ったり、ザリガニを取っていました。当時は身の回りに小動物がわんさと共生していました。
今は「暖衣飽食」と言われるように物質的には豊かになりました。そして「人生100年」といわれる長寿社会にもなりました。また、スマホやパソコン、ドローンといったハイテク製品の登場に加え、交通機関の発達により生活が便利になりました。しかし、それでどれだけの人達が心を満たされているでしょうか。ICTやIOTを用いたハイテクが日常生活を支配するようになればなるほど、企業においても「人間らしく生きたいなあ」という、社員の気持ちを大切にしたいものです。

≪追記≫ ロシア軍がウクライナに侵攻して9ヵ月が経ちました。当初、プーチン大統領は数日中にキーウを制圧し、ウクライナのゼレンスキー政権を崩壊させ、クリミヤと同様、事実上の併合を既成事実化しようと目論んだようです。ところがこの思惑は外れ、今や東部の橋頭堡的な占領地を如何に死守するかまで追い詰められています。かかる事態となった最大の理由は「兵站」(Logistics)、つまり食料・武器・弾薬の補給が十分でないことです。いくらミサイルを撃ち込んでも「点」に打撃を与えるに過ぎません。占拠・占領には地上部隊による制圧が必要です。そのためには「兵站」が不可欠です。ところが補給線が分断されたこともあり、これが十分でなかったのです。
我が国でも戦国時代から太平洋戦争に至るまで、戦(いくさ)では「武士は食わねど高楊枝」とか、「足りない分は大和魂で補え」、「神風が吹く」といったような精神論が強調されました。上層部はそれで済むかも知れませんが、最前線で戦う兵士は食料も弾薬もなく、先の大戦で戦死した兵士の7割が餓死という悲惨な結果を招きました。これに対し米軍はLogisticsを最重要視します。今、米国は感謝祭の休暇中ですが、例えば感謝祭の時は最前線の兵士にまで七面鳥が届けられたと聞きました。
最近はビジネスでも「物流を制する者は商流を制す」とか、BCP(危機における事業継続計画)の観点から、Logisticsの重要性についてSCM(サプライチェーン・マネジメント)として再認識されています。長年物流業界に身を置いた経験から、いずれこの点について改めて触れたいと思います。

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