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2022年12月09日

ちょっと気になる記事・話題(71)

今年の話題になった言葉を選ぶ「2022年ユーキャン新語・流行語大賞」が12月1日に発表され、史上最年少で三冠王となったヤクルトスワローズ村上宗隆選手の活躍ぶりを表した「村神様」が選ばれました。トップ10には「国葬儀」ゃ「宗教2世」、それに「キーウ」などが入っています。ただ、「候補30」が発表されたのは11月4日でしたが、もし12月上旬であったら、サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会での日本チームの活躍の中で、長友選手が連呼した「ブラボー」(「優れた・立派な」という意味)が、選ばれたのではないかという声もあります。
なお、毎年恒例の「今年の漢字」への応募は12月5日締め切られ、12月12日、京都・清水寺で発表されます。
また、米国タイム誌が1927年から続けている「今年の人」に、ウクライナのゼレンスキー大統領と「ウクライナの精神」が選ばれました。これはほぼ万人が認めるところでしょう。因みに昨年はテスラのCEO イーロン・マスク氏でしたが、「今年の人」というより「騒がしい人」と言うべきでしょう。 

■■今週も何かと話題の多い一週間でした
■日本の農業・水産物について:
日本からの本年1~10月における農林水産物・食品の輸出額が、1兆1218億円(前年同期比+45.3%)に達しました。初めて1兆円を超えた前年より1ヵ月早く1兆円を超えました。品目別ではホタテ貝やブリなどが好調だったほか、日本酒・ウイスキーのほか、イチゴやモモなどの果物も前年同期を大きく上回りました。仕向け地別では中国向けが2293億円(+24.5%)、米国向けが1655億円(+20.8%)と好調でした。政府は輸出額の目標を2025年に2兆円、30年に5兆円としています。
日本の農業従事者数は2016年に158万人でしたが、2021年には130万人まで減少し、その上65歳以上が約7割を占め、高齢化が進んでいます。一方、20歳代以下は1%に過ぎず、農業の担い手不足が今後、一層深刻化することが避けられません。
こういった状況から、我が国では農地面積が減少の一途です。農水省の調査では、2015年時点では富山県の面積に匹敵する42.3万㌶が耕作放棄地となりました。もちろんITやロボットを活用した「スマート農業」の導入も進められています。ただ費用面のハードルが高い上にも日本の農地の約4割を中山間地域や小規模な農地であることから、自動化には限界があるとされています。私は3年前、農業の改革拠点として国家戦略特区に指定されている、兵庫県北部に位置する養父市(やぶ)を訪問し、ドローンによる農薬散布や無人草刈り機等、「スマート農業」の実態を感じることができました。
日本の農業はオランダから学ぶべきだとされています。両国は国土がそれほど広くなく、気候が厳しくない等も共通点があります。オランダの農産品輸出額は2020年に1009億ドルと日本の10倍以上です。米国の1479億円には及びませんが世界2位です。稼ぐ力は日米の150倍とされています。最初から農業輸出大国であったわけではなく、利益率の高い農産品に絞り込んだことが大きいとされています。我が国も農家を守る保護策だけではなく、同時に農業を輸出産業に育てる攻めの政策が求められます。 

■思い切った政策実行が必要:
我が国は国政の根幹にかかわる施策の実施・実行になぜこれだけ時間が掛かるのでしょうか。例えばマイナンバーカードを全国民に行き渡らせること。交付開始以来、来年1月で丸7年。しかし11月27日現在、未だ60%。米国ではこのナンバーに相当するものとして社会保障番号(Social Security No.)があります。プライバシーに厳しい同国で制度が発足したのが今から86年前。今では米国在住者はこの番号を取得しないと電気・ガスから銀行口座開設、運転免許証も取得できず社会生活ができません。国民の背番号化により行政手続きと実施が極めて迅速です。マイナンバーカードの導入は日本にとっても最大の行政改革です。その他の政策でもいったん決めた実施日や期限の延長や、先送りが目立ちます。政府は時には国民に苦いクスリも厭わない覚悟で政策を進めないと、世界の潮流からどんどん置いて行かれます。
かくいう私が身を置く経済界も「断捨離」が苦手と言わざるを得ません。我が国は政治も経済も「内科療法」に重きを置くのに対し、米国は「外科手術」が主。急速に成長を遂げたハイテク企業も、目下、思い切ったレイオフを実施しています。それだけに回復が早い。もちろん日米間では文化の違いがありますが、我が国は雇調金等、補助金で支援。それにより見掛けの失業や倒産件数は低く抑えられています。ところが一方では政府への依存体質が強まり、ゾンビ企業も温存されたまま。そのため再編・淘汰による新陳代謝が進まない。つまり自由主義・市場経済のメカニズムは機能不全に陥り、生産性は先進国で最低。国家債務は増える一方。これらが積み重なって国力・企業力の低下・弱体化をきたしているのではないでしょうか。

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