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2022年12月16日

ちょっと気になる記事・話題(72)

12月12日、京都市東山区の清水寺において、恒例の今年の世相を1文字で表す「漢字」として、「戦」が森貫主によって揮毫されました。22万を超える応募の中で最多得票(4.83%)として選ばれたそうです。「戦」が選ばれたのは2001年以来、2度目です。因みに2位は「安」、3位は「楽」でしたが、これらの文字は「戦」とは正反対で、現実より願望を象徴しているようです。
今年も残すところ2週間余り、大晦日が近づくとともに「紅白歌合戦」が話題になります。その出場歌手が過日発表されましたが、年々、私のような世代にとって馴染みのない歌手が増えています。先日の新聞の川柳欄に「高齢者向け紅白が別に要る」とありましたが、まさに「昭和は遠くなりにけり」を実感します。 

■■今週もいろいろありました。
■米国中間選挙結果について:
11月8日に投開票が行われた米国中間選挙に基づき、連邦議会の全議席が12月13日確定しました。下院は野党・共和党が222議席を獲得し、民主党(213議席)に9議席差をつけ4年ぶりに過半数を奪還しました。上院(100議席)は未定であったジョージア州で民主党が勝利し、非改選を含め与党・民主党(51議席)が多数派を維持しました。これで2023年1月から始まる新議会は、上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」となります。ただ外交面、特にウクライナへの支援継続や、中国に対する強硬姿勢という基本政策では超党派で一致しており、大きな変化はないと思われます。
過去を振り返りますと、2016年の大統領選挙ではトランプ氏とクリントン女史が争いました。当時は「女性初の大統領誕生か」が話題になりました。ところが2008年のオバマ氏が大統領選に出馬した際の、「黒人初の大統領を誕生させよう」というような、熱狂的なブームは起こりませんでした。2016年の選挙戦の最中、私はたまたまワシントンを訪問する機会がありましたが、現地で聞いた声は、「トランプは嫌いだけど、クリントンはもっと嫌いだ」(特に女性)でした。敗北の後、クリントン女史は「ガラスの天井があった」と述べましたが、実際は「女性初の大統領」への期待より、クリントン候補自身の資質への拒否反応でした。今回の結果を見ると、「共和党は支持するが、トランプはイヤだ」という民意が現れたように思います。結局、トランプ氏の一人相撲というか、今風に言えばオウンゴールような結果となりました。今回の選挙結果によりトランプ氏の存在感というか影響力は弱体化し、2024年の大統領選への再出馬・再選は厳しくなりました。我が国にとっては幸いと言えますが、有力な後継者とみられるフロリダ州のデサンティス知事は、トランプ氏に似たような人物・政治信条です。個人的にはキャリアの点でペンス・元副大統領がよいように思いますが、目下のところあまり支持率は高くありません。
■世界経済について:
世界的にインフレが進行し、その抑制のため日本を除くほとんどの国で金利を引き上げています。米国では今年に入り4回連続して0.75%引き上げましたが、このところ物価上昇がややスローダウンしたことから、今回(12月14日)は0.5%の引き上げに止めました。株価もインフレの進行と金利政策に左右され乱高下しています。特に相場を引っ張ってきたハイテク株の値下がりが顕著です。
世界的に見ると2月のロシアのウクライナ進行で加速した原油、天然ガス、石炭といった天然資源価格高騰に歯止めがかかり、値下がり傾向がみられます。
背景として世界的に不況色が強まり、需要が落ちていることが挙げられます。小麦価格も輸送協定が発効し安定しています。一方、先進国では人手不足から人件費の上昇が今やインフレの主要因となっています。そのため来年はスタグフレーション(不況下の物価上昇)を懸念する見方が出ています。
■深刻かつ長期化が懸念される中国の経済不況:
世界経済で特に懸念されるのは中国経済です。中国では土地の私有は認められていません。地方政府は地上権の売買をテコに投資資金を集め経済発展につなげてきました。ところが不動産不況により地方の債務は膨れ上がり、その上ゼロコロナ政策の失敗、そして根底に「一人っ子政策」がもたらした少子高齢化により、「未富先老」(豊かになる前に老いる)が現実化しつつあります。そのほか民間企業より国営企業に重点を置く政策による非効率化、ハイテク企業への統制強化、先進国で高まる中国の覇権主義に対する警戒感の高まりと輸出規制の強化等々、中国経済にとってアゲインストの風が強まっています。2020年に予測された、「GDPで2028年に米国を抜く」はとても無理な状況です。中国経済の低迷は世界経済の発展にとってもマイナス要因になります。 

《追記》 我が国ではコロナ対策に伴う規制緩和により非製造業を中心に人手不足が顕在化しています。サービス産業は我が国の就業者全体の約7割を占めています。私が所属していたトラック貨物輸送業界もドライバー不足と高齢化が同時進行です。この業界の10月の有効求人倍率は2.46倍と、今年7月以来4ヵ月連続で上昇が続いています。トラック・ドライバーを始めエッセンシャル・ワーカー(日常生活上、不可欠な労働者)の共通点は、世間水準と比べ労働時間が長いことと賃金が低いことです。そのため若い人から敬遠される職種となっています。荷主の中には未だに「送料無料」を販促に使う時代錯誤が見られます。せめて「運賃込み価格」、「送料当方負担」くらいにすべきです。さもないとドライバーの苦労は浮かばれません。一方、業界としても過当競争体質を改めるための「構造改革」が必要です。

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