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2023年02月03日

ちょっと気になる記事・話題(78)

2月に入って最初のブログです。1月はそれなりに1ヵ月の長さを感じますが、2月は28日しかないこともあり「逃げる」、3月は「去る」と言われるように、毎年、瞬く間に過ぎ去るような気がします。一日一日を大切にしたいものです。
今週月曜日、久しぶりのことですが、住友生命いずみホール(大阪城の近く)で催されたクラッシック・コンサート(関西フィルハーモニー管弦楽団)を鑑賞しました。指揮者は藤岡幸夫さん、ピアノは横山幸雄さんで、曲目はモーツアルト:歌劇「後宮からの誘拐」序曲K.384、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op.18、ドボルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界よりOp.45でした。普段は文化・芸術とはあまり縁のない生活をしていますので、当日は素晴らしい演奏に聞き入り、瞬く間に2時間が過ぎました。特に横山幸雄さんのピアノ演奏は圧巻でした。

■■今週もいろいろ考えさせられることが多かった週でした。
■IMF(国際通貨基金)、世界経済の成長を上方修正:
IMFは2023年の世界全体の経済成長率を、昨年10月時点の前年比2.7%増から0.2ポイント引き上げ、2.9%としました。その理由として世界的なインフレの落ち着きや中国経済の回復で、経済の下振れリスクが和らぐことを指摘しています。IMFの専務理事は、中国の成長率が1%上昇するごとに、世界の他の国にも0.3ポイントの波及効果があるとしています。ますます中国の存在感が増しています。
一方、世界銀行が1月10日に示した新たな経済見通しは、2023年の世界全体の経済成長率を前年比1.7%と、昨年6月時点からプラス成長ながら1.3ポイント引き下げました。理由としてインフレや中央銀行の利上げに伴う景気の冷え込みを挙げています。
このようにIMFと世銀で見方が分かれていますが、今後の世界経済に大きく影響するのはインフレと金利動向、それに中国経済の回復次第となります。
ただ、こういった見通しを根底から覆す懸念材料がウクライナ情勢です。西側からの戦車の提供は必然的なことですが、今、ロシア、ウクライナともお互いに譲れず新たなステージに移行したように思います。ウクライナの援助要求は一段とエスカレートしつつあり、まさに瀬戸際のせめぎ合いというかChicken Gameの様相を呈しつつあります。習近平・中国国家主席の仲介を期待する声もありますが、もしその役割を引き受けると、将来、台湾問題について戦略を縛られるというか、フリーハンドを失うことになることから可能性は薄いように思います。
■人手不足と販売価格へのコスト転嫁:
厚労省によると、昨年の平均有効求人倍率は1.28倍となり、2018年以来4年ぶりに前年を上回った としています。また総務省の労働力調査では昨年の平均完全失業率は2.6%と前年比0.2ポイント低下し、4年ぶりに改善しました。とは言え、このところ求人広告は増え、人手不足が目に見えて顕在化しつつあります。
一方、2022年11月のトラックドライバーを含む自動車運転職の有効求人倍率(常用、パート含む)は2.54倍となり7月から5ヵ月連続の上昇となっています。アンケート調査では中小運送事業者の7割がドライバー不足を感じているとされています。トラック輸送業界は燃料費や電力費、パート・アルバイト等、コストアップ要因がひしめいています。それでも帝国データバンクの調査では「全て転嫁できている」は4.1%に止まり「全く転嫁できていない」が15.9%という結果です。コストの転嫁が難しい理由のトップは「取引先から理解が得られ難い」(39.5%)、次いで「自社の交渉力」(20.1%)となっています。東京商工リサーチによると、2022年の「物価高(コスト高)」による倒産は282件で、業種別では「運輸業」が76件と突出し、全体の26%を占めました。こういった実態の底にあるのは事業者数が多すぎることです。この構造的な供給過剰体質を是正しない限り「適正運賃」の収受は「夢のまた夢」です。
これはトラック業界に限ったことではなく、日本の産業界全体の問題です。帝国データバンクによると2021年度の想定される全国の「ゾンビ企業」は約18.8万社。因みに運輸・通信業がそのうち17.2%とされています。
■「東京への一極集中」が再加速:
総務省が30日に公表した2022年の人口移動報告によると、新型コロナウイルスの流行後に弱まった東京への転入が再び活発化したことが明らかになりました。私はかつて関経連の「リニア・北陸新幹線早期接続特別委員会」の委員長を5年間務めました。リニアについてはある機会にJR東海㈱の故・葛西顧問に直訴したことがあります。その主旨は「東京への過度の一極集中は直下型大地震などの自然災害を始め、あらゆるリスクに極めて脆弱だ。わが国の均衡ある発展を目指すためにも、東京-名古屋―大阪の同時開業を是非お願いしたい」ということでした。政治・行政・経済・文化・教育・マスコミの、現在の東京への集中度は世界的にみても突出しています。地方創生は遅々として進んでいません。利便性に流されず、リスク・マネジメントの観点からもっと真剣にこの問題を考えるべきではないでしょうか。

《追伸》先日、日本電産㈱ の永守会長から事実上更迭された、元同社最高経営責任者・関潤氏が台湾・鴻海精密工業のEV部門最高戦略責任者(CSO)に転身するとのこと。鴻海精密工業は日本電産の約13倍の規模の世界的企業です。しかも日本電産にとって大口得意先とのこと。「捨てる神あれば拾う神あり」とはこのことでしょうか。

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