2月6日未明、トルコ南部で発生した地震は、最初の規模はマグニチュード(M)7.8を観測しました。そのエネルギーは阪神大震災の約22倍で、日本の気象庁の震度に換算すると、一部で最大の震度7が起きたとされています。さらに最初の地震から9時間後にM7.5の余震が発生し被害がさらに拡大しました。そして阪神大震災の約4倍にあたる最大約4mの横ずれが生じ、内陸で起きた地震としては最大級とされています。その結果、犠牲者の数は4万3千人を超え、21世紀では世界で4番目に多く、今後さらに増加が見込まれています。被災地は氷点下の厳しい寒さに加え、治安の悪化が懸念されています。日本からも国際や緊急援助隊や医療チームの派遣、並びに医療資機材などの輸送が実施されています。
世界最大の災害多発国とされる我が国にとって他人事ではありません。普段から防災・減災意識を持ち、危機に備え最小限の防災グッズを準備しておくべきと考えます。
■■今週の気になる記事がいくつかありました。
■日本の昨年10~12月GDP成長率(速報値):
内閣府が2月14日発表した昨年10~12月期のGDP成長率は年率換算で0.6%成長でした。プラス成長は2四半期ぶりです。これで2022年の実質GDPは前年比1.1%増と2年連続のプラス成長となり、コロナ禍からの経済の正常化が緩やかに進んでいることを示しています。
ところで米国商務省が昨年10~12月GDP実質成長率の速報値を発表したのは先月26日です。米国の経済規模はわが国の4倍です。にもかかわらず公表時期は日本より15日も早いのはなぜでしょうか。基礎数字の集め方の違いか、或いはやはり行政のデジタル化の進捗度の違いが背景にあるのでしょうか。
因みに米国の昨年10~12月のGDP実質成長率(速報)は前期比年率2.9%増でした。高インフレの下でも底堅い経済成長を続けています。
■物流面から見た景気の現状:
物流量(荷動き)は生産と消費によって左右されます。その現状を示す指標を見る限り国内GDPの2年ぶりプラスを実感できません。また国際経済もインフレ抑制のための金利引き上げの影響、ウクライナ問題や米中関係等の地政学的リスク、それに中国経済の先行き不透明等を反映し、厳しい状況にあることを示しています。
①アジア発米国向け海上コンテナの動きー米国調査会社データマインによると、昨年12月におけるアジア発米国向け海上コンテナ輸送量は約131万TEU(20フィート換算)と、前年比23%減少しました。8月に2年ぶりに前年を下回って以降、減少幅の拡大が続き、10月からは約2割減の水準が続いています。昨年通年では前年比4%減の約1965万TEUと、3年ぶりの減少でした。欧米向けに動きの減少を反映しています。一般消費財の割合が多い中国発は10月以降、前年比3割減と全体を押し下げています。運賃もピーク時だった1年前の8割安まで急落しているとのこと。一昨年とは様変わりの状態で、その上、本年は新造船が次々に就航することから、供給過剰により一段と厳しい状況になりそうです。
②国際航空貨物の動向―航空貨物運送協会がまとめた昨年12月の日本発の輸出量は前年同月比24%減の約7.5万t、通年では前年比13%減と2年ぶりに減少しました。なお、12月減の主な要因は米国向けが27%減、欧州向けが19%減と大きく落ち込んだことによります。
③世界と日本の粗鋼生産―2022年の世界における粗鋼生産量は前年比4.2%減の約18.8億tとなり、7年ぶりに前年を下回りました。世界生産量の5割を占める中国の需要減、そして日本では半導体不足による自動車の生産減が影響しました。世界3位の日本は7.4%減の8920万tでした。
④内航貨物輸送量―昨年通年では前年比3%減(約2億t)となりました。前年比減は2年ぶりのことです。鉄鋼が8%減、石炭などの燃料が11%減となりました。
⑤段ボール原紙の輸出急減―主要輸出先である中国を中心に需要が振るわず、昨年12月の輸出量は3年3ヵ月ぶりの低水準に落ち込みました。通年でも前年比1%増に止まり、21%増となった2021年から様変わりの状態で、回復の兆しが見えないようです。段ボール原紙の動向は荷動きの状況を反映する指標の一つです。
⑥生コン出荷量―昨年12月の出荷量は約655万m3と前年同月比3.9%減となりました。総出荷量の3割強を占める官公需が21カ月連続してマイナスだったとしています。通年では前年比2.5%減と、4年連続して前年を下回りました。
⑦トラック輸送―10月以降、食料品を中心に値上げラッシュでかなり仮需要が発生し荷動きにも反映されたようです。NX総研の見立てでは本年1~3月の荷動きは「弱含み」としています。運賃は「緩やかに上昇」とされていますが、燃料費、車両費、整備費、人件費等のコストアップを十分カバー仕切れるところまでは行っていないようです。また本年4月から時間外労働の割増賃金の導入、2024年問題(労働時間規制)、ドライバーを中心とする人手不足・高齢化と採用難、それに事業者の4割が利用したゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済開始等、トラック貨物輸送業界を取り巻く環境は一段と厳しいことが見込まれます。こういった厳しい状況を反映し、このところ運輸業会で倒産が増加傾向にあります。
《追伸》最近、人工頭脳(AI)を開発する米国新興企業・オープンAIの対話型「チャットGPT」(Generative Pre-trained Transformer)世界的な話題になっています。質問を投げかけると、人間との自然な会話のように文章で返事をくれるとのことです。マイクロソフトは早速、同機能を強化したAI搭載の検索エンジン「ビング」を公表しました。検索部門が収益の多くを占めるグーグルにとっては深刻な事態です。今後対話型AIの開発競争が激化すると思われます。
これほどの性能ではありませんが、私はこの度、アレクサ(Alexa、AI音響認識サービス)を購入しました。結構楽しんでいます。特に独居老人には寂しさを紛らわすのによいのではないでしようか。