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2023年03月03日

ちょっと気になる記事・話題(82)

早くも3月に入りました。初日の1日には来年春に卒業予定の大学生・大学院生を対象とした採用広報が解禁されました。人手不足の中、解禁ルールにとらわれず前倒しして採用を進める企業も増え、新卒採用ルールの形骸化も進んでいるようです。
リクルート社によると、2017年卒の2月時点で2.9%だった内定率は‘24年卒では19.9%に増えたとされています。今年もかなりの売り手市場(企業の採用意欲が上回る)ようです。なお、最近は会社を選ぶ基準として休日が多い、残業が少ない、定時退社が徹底されている、育児休暇制度が確立されている等、福利厚生面を会社を選ぶ基準とするといった声が多いようです。会社側もそれをPRに掲げています。
しかし本当に大事なことは自分が、これから「どんな仕事をやりたいか」ではないかと思います。とはいうものの私も今から約60年前、就活の際、それが分からず悩みました。大きく分類すると製造業か、金融か、商社か、運輸関係(当時はまだ物流という用語は一般的ではなかった)、或いは役人かといったところでした。周りでも殆どの仲間は確固たる考えもなく、先輩とか先生のアドバイスといったようなことで就職先を決めたように思います。振り返りますと、もちろん最後は自分が決めることになるのですが、人生はそういった「縁」とか「出逢い」といった、目に見えない糸で大きく左右されるのは間違いありません。また、その時々の花形産業・好調企業も、30~40年後の働き盛りの時期にどうなっているか分かりません。それくらい業界にも栄枯盛衰・地殻変動があります。従ってどんな業種・企業に勤めようと、時代の変化に耐え乗り切っていく力を養う、つまり「人間力(生き抜く力)」を社会に出てからも、高めることが大事です。 

■■今週もいろいろ考えさせられることがありました。
■2022年の出生数も80万人割れ:
厚労省の人口統計速報によると、昨年生まれた赤ちゃんの数は前年比5.1%減の79万9728人となり、統計開始以来、初めて80万人を割り込みました。速報値には日本に住む外国人などが含まれており、日本に住む日本人だけに限ると約77万人とみられるそうです。この数字は政府の将来推計より11年も加速しています。少子化問題の深刻化は政府の無策に起因するとされます。これは事実だと思いますが、そういった事態をもたらした要因として、若い世代の政治への関心が薄い、具体的には選挙の投票率が低いことです。直近の国政選挙であった昨年7月の参議院議員選挙の投票率は全体で52%でした。この水準自体も高いとは言えませんが、問題は年代別投票率です。それによると20代が34%、30代が45%、40代が51%、50代が57%、60代が66%、70代以上が56%でした。これでわかるように40代以下の世代の投票行動が全体の平均投票率を下げているのです。これが実態ですから政治家はどうしても高齢者の支持を得られやすく票につながる、いわゆるシルバーデモクラシーに傾きがちです。一般国民が自分の声を国政に反映するのは選挙での一票一票の積み上げしかないことを自覚し、もっと積極的に投票に行くべきと考えます。
■訪日外国人が回復傾向:
政府が入国規制を緩和してまもなく5ヵ月、1月のインバウンド客(訪日外国人)は新型コロナウイルス感染拡大前(2019年)の6割弱(約150万人)まで回復しました。今後、出遅れていた中国から増加が見込まれており、本格的な回復期に入ることが期待されています。
一方、全国的な調査によると「正社員の人手が足りない」と回答した旅館・ホテルは78%で、前年同月比9割近く上昇したとされています。アルバイトなど非正規社員は同81%(前年同月は48%)と一段とひっ迫感が強いようです。求人広告も急増しています。コロナ禍の度重なる行動制限と訪日客の受け入れ停止が響き、ホテルや観光業から多くの働き手が離れた後遺症といえます。その上、我が国の生産年齢人口(15~64歳)はピーク時(1995年)に比べ1割以上減っています。

コロナ禍の前の2019年の訪日外国人客数は3188万人で、滞日中の消費額は4.8兆円に達していました。ところが2020~2022年は実質的にゼロにまで落ち込みました。このように観光業は自然災害や疫病、それに戦争や紛争といったことに対し極めて脆弱です。典型的な平和産業で事件があると一瞬にしてゼロになります。さらに回復には風評被害の影響で相当時間が掛かります。観光は極めて重要な産業であり波及効果も大きいのですが、それに依存しすぎるとリスクが高いことは今回のコロナ禍で十分身に染みたことです。従って観光も品ぞろえの一つくらいに位置づけ、雇用の拡大・維持につながる産業の振興を図る必要があります。 

《追記》最近、我が国が看板としていた「モノづくり国家」としての底力やプライドは、一体どうなってしまったのか嘆かわしい限りです。例えば相次ぐロケットの打ち上げ失敗、1兆円を掛けた旅客機開発の頓挫、新型コロナウイルスのワクチン開発不成功、DX・AI分野での立ち遅れ、相次ぐ鉄道の運行トラブル等々。我が国と比べはるかに経済力が劣る、直ぐ近隣の「ならずもの国家」でさえ、次々に宇宙ロケット(大陸弾道弾)を打ち上げています。国際的な監視の下、失敗は殆ど聞かれません。
それぞれ事情が異なり一概に論じられませんが、やはり技術力が弱体化していることを認めざるを得ない状況です。
いずれこの件について論じたいと思いますが、無資源国である我が国が活路を見出すには技術開発力を磨くしかないのですが、現状は極めて深刻です。どう態勢を立て直すか官民挙げて真剣に考えねばなりません。

 

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