3月9日(木)、待ちに待ったWBC(World Baseball Classic)が開幕しました。初戦の対中国戦をテレビ観戦しましたが、先ず日本チーム「侍ジャパン」のスターティング・メンバーの豪華さに驚きました。そして大谷選手。観ているとプレッシャーをむしろ楽しんでいるようで、さすがにメジャーでも抜きんでる存在であることを実感しました。類いまれな素質に加え並外れた努力がマインドコントロールに繋がっていることは間違いないでしょう。彼の投打にわたる活躍で日本に勝利をもたらしました。よかった、よかった!
次は次元の低い話題ですが、昨年7月の参院選で当選後、一度も登院していないNHK党のガーシー参議院議員。「本会議場での陳謝」という参院の議決も無視。除名処分は当然のことながら、これまで受け取った歳費や期末手当をすべて国へ返金すべきです。なお、こんな人物を国会議員に選んだのは国民であり、そのことにマスコミは焦点を当てるべきで、ガーシー氏本人に踊らされているように見えるのは私だけでしょうか。
■■今週も気になる話題がいくつかありました。
■ロシアのウクライナ侵攻:
侵攻開始以来1年が過ぎましたが、東部では激しい攻防が繰り広げられ、休戦の糸口は全く見えず長期化の様相を呈しています。ロシアは西側諸国の国民の厭戦気分を高め、結束の分断を狙っているのは間違いないでしょう。攪乱戦術として近隣国であるジョージアやモルドバでも世論工作を画策しているようです。何となくロシアのペースに引きずりこまれているようで、西側がここで怯むと第二次世界大戦前のナチス・ドイツが横暴になり、侵略を拡大したようなことになりかねません。そしてロシアが勢いを増し「侵攻が成功」すると、中国も戦前の日本が日・独・伊三国同盟を結び太平洋戦争に突入したように、ロシアと手を組み、台湾への強硬策、並びに海洋進出を活発化させることが懸念されます。今、人類は歴史の大きな転換点に立っています。何としてもウクライナを負けさせるわけにはいきません。
■大型ロケット「H3」の失敗と技術力の低下:
3月7日大型ロケット「H3」は残念ながら失敗しました。打ち上げ直後は「成功」と報じられたのが14分後に「失敗」。「えっ、まさか」と思いました。昨年10月の小型ロケット「イプシロン」6号機に続く失敗です。無資源国である我が国が活路を見出すには技術開発力を磨くしかないのですが、現状は極めて深刻です。
素人目から申し上げると、日本の技術開発の世界は非常に閉鎖的で、女性の参画・活躍も少なく、体質的に柔軟性やきめの細かさに欠けるのではないかと感じます。因みに、日本でSTEM(科学・技術・工学・数学)分野を目指す女性の割合はOECDの比較可能な国の中で最下位です。我が国では「女性は理系に向いていない」というバイアス(固定観念)が強いようです。
また、日本の1社当たり平均の研究開発投資は過去10年間に25%減少したのに対し、米国は2.3倍に拡大。中国は34%増やしたとのこと。そして経産省によると、日本企業の人材への投資(OJT以外)はGDP比(2010~2014年)で0.1%であったのに対し、比較期間は違いますが米国やフランスは約2%、その差は大きく開いています。こういった状態をどう立て直すか官民挙げて真剣に考えねばなりません。
■楽観できぬ日本経済:
このところ木材や鋼材など建設資材の流通在庫がだぶついているとされています。昨年10~12月の実質GDP(改定値)は前期比横ばいで年率0.1%となりました。速報値の0.6%増から下方修正された背景として、個人消費の下振れが指摘されており、改めて日本経済の回復力の弱さが浮き彫りになりました。
内閣府は昨年10~12月日本経済の「需給ギャップ」(需要と供給の差)をマイナス1.9%、金額にすると11兆円の需要不足と推計しています。また、供給力を示す潜在的なGDPの伸び率(潜在成長率)は前期比年率で0.5%でした。
このような経済情勢から東京商工リサーチによると、2月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は前年同月比25.7%増の577件と、11カ月連続で前年を上回りました。これは13年10カ月ぶりのことです。実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済が本格化し、息切れ型の倒産が増えているようです。産業別では増加率が最大の運輸業が2.3倍の36件、燃料価格の高止まりや人手不足が影響したようです。
これからの景気上昇のカギは賃上げの動向で、大企業では大幅アップや満額回答が目立ちます。問題は全企業の99.7%を占め、全就業者数の約7割を占める中小企業の賃上げ動向です。12月の企業物価指数は10.2%上昇しましたが、消費者物価は4.0%に止まっています。これは大企業段階ではコスト転嫁が進んでいますが、中小レベルでは不十分という見方が出来ます。欧米では企業物価と消費者物価がほぼ同時に連動しており、日本の産業構造の問題点が浮かび上がってきます。
《追記》2022年の生活保護の申請件数が22.7万件と、前年比約0.8%増、3年連続の増加となりました。2019年までは減少傾向でしたが、コロナの感染が拡大した2020年から前年を上回っています。政府はコロナ対策として77兆円つぎ込んできており、その使途と効果を検証する必要があります。そのほかいろいろな形態の犯罪やいじめも増えています。何となく日本という国があてどなく漂っているような気がしてなりません。