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2023年04月28日

ちょっと気になる記事・話題(90)

■過去の事故に学ぶ:

4月に発生した事故で生々しく記憶に残っているのは、①2005年4月25日に兵庫県尼崎市で発生したJR福知山線脱線事故、②昨年4月23日に北海道・知床沖で発生した遊覧船沈没事故です。改めて事故で犠牲になった方々に心よりご冥福をお祈りいたします。
①の事故現場は拙宅から徒歩で15分くらいのところでした。107人の犠牲者の中には、親しい知人の子弟も含まれており他人事とは思えませんでした。また、②の事故では乗客乗員26人のうち20人がなくなり6人が未だ行方不明です。
いずれの事故も「未然に防げたのではないか」と悔いが残る事故でした。
私は前職時代、何度か重大事故の報告を受けました。その経験を基に感じたことは、「事故の発生にはほぼ100%ヒューマン・エラーが何らかの形で絡んでいる」ことです。そしてそれを更に突き詰めると「慢心」と「油断・マンネリ」に行き着きます。「ここは危険」と表示されているところでは事故はまず発生しません。ところが天気がよく見通しのよい直線道路でなぜか追突事故が起こるのです。
安全管理者にとっての教訓に「ハインリッヒの法則」があります。これは「一つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在する」という経験則です。ともかく「事故につながる小さな兆候を見逃すな」、つまり「KY(危険予知)を徹底する」ことが事故の未然防止につながるということです。
これは犯罪も同じです。かつてニューヨークは全米一の犯罪多発都市とされていました。ところがジュリアーニ市長(在任‐1994~2001年)が、例え軽微な犯罪あっても徹底的に取り締まったことが、凶悪犯罪の撲滅につながり全米で最悪の汚名返上をもたらしました。事故も犯罪も小さな芽(潜在的リスク)のうちに対策を講じることが大事だということです。 

■韓国大統領、国賓として米国訪問:
韓国尹(ユン)大統領が24日から国賓として訪米し、26日(現地時間)に米韓首脳会談が行われました。同大統領は昨年3月の選挙において保守系野党候補として誕生(任期は5年)したばかりですが、その外交姿勢、すなわち対日本、対北朝鮮政策は前任の文(ムン)氏から180度転換という印象です。ここに大統領制と議院内閣制に基づき選出される首相との権限の著しい違いを感じます。現在の韓国の置かれた半島情勢、特に北朝鮮の脅威に鑑み現実主義路線に転換したといえます。私が40年以上にわたり交流のある同い年の韓国の友人は、朝鮮戦争(1950~1953年)が勃発した際、北朝鮮軍が北から侵略し、市民を無慈悲に殺戮したことを目の当たりした体験から、前政権を「北の傀儡」として徹底的にこき下ろしていました。今、何より大事なことは日韓が対北朝鮮、対中国で強固な協力体制を築くことです。たしかに、歴史はどこまで遡って見るかによって全く別の歴史観になります。4年後の選挙で政権が交代すると、政策が変わり元の木阿弥になる恐れがあることから、今大事なことは韓国政府の変化を我が国は尊重し、政治・経済・文化交流といったあらゆる分野で、日韓関係を強固なものにすべきと考えます。 

■「令和臨調のめざすもの」:
4月26日、ある政治評論家が主宰する月例セミナーに出席しました。今回のゲスト・スピーカーは令和国民会議(通称・令和臨調)共同代表 茂木友三郎氏でした、同氏は(公社)日本生産性本部会長、そしてキッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長です。令和臨調は民間が引っ張る形で政治のあり方を変え、この国の立て直しを目指す改革運動です。政治改革への試みとしては1990年代の民間政治臨調、2000年代の21世紀臨調に続く3度目の挑戦です。改革運動を通じて世論を喚起し政党や政治家を突き動かすのが狙いです。今回の臨調は昨年6月19日に発足しました。
メンバーには発足趣旨に賛同する経済界、労働界、学識者など各界有志約100名、いわば国の現状を懸念し改革を目指す民間の「憂国の士」の集まりといえます。そして専門部会として①「統治構造」、②「財政・社会保障」、③「国土構想」が設置されています。本年中に提言をまとめるとされています。
講演後の意見交換の際、私は臨調に期待する観点から次の通り申し上げました。
『臨調は政治家とは別な立場・観点から議論を進め提言をまとめるとのことだが、民間人と政治家の判断基準は全く異なる。政治の方は支持率が上がった・下がったに一喜一憂し、それ次第で選挙の時機を決めようとするのが実情。選挙に弱い議員ほどポピュリズムに走りがち。国の厳しい現状を改革する必要性について、先ずは国民の意識改革を図ることが何より大事と考える。政治家のポピュリズムの壁は極めて厚いが是非頑張っていただきたい』

■小泉 悠氏の講演「ロシア・ウクライナ戦争と日本の安全保障」:
4月27日、クラブ関西(大阪市内の社交クラブ)の昼食会で、東京大学先端科学技術センター専任講師・小泉 悠氏の首題の講演を聞く機会がありました。同氏はこのところ連日のようにテレビを始めマスコミに登場していますが、ロシア・ウクライナ問題についての第一人者とされています。話の中で、「プーチン大統領がウクライナ侵攻を決意した真意は30年後にロシアで公文書が公開されるまで分からない」ことと、「この戦争は誤算続きで長期化することは避けられない」という点が印象的でした。いずれにしてもこの戦争の早い終結を願うばかりです。

 

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