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2023年06月09日

ちょっと気になる記事・話題(94)

5月29日、気象庁は九州北部・中国地方・四国地方・近畿地方・東海地方が梅雨入りしたと発表しました。近畿地方は平年より8日、昨年より16日早く、そして5月の梅雨入りは10年ぶりとのことです。既に先週末に記録的豪雨で被害が発生しています。
これから7月にかけ、うっとうしい梅雨空が続きそうです。
ところで5月8日にコロナウイルスが感染法上の分類で5類に移行し、感染対策が緩和されましたが、その一方で、既に初夏という時期にもかかわらず、全国各地の学校で季節性インフルエンザの集団感染による休校や学級閉鎖が相次いでいるとのことです。専門家の話では「コロナ下でインフルエンザワクチンの接種が減り、免疫力が落ちている」とみているようです。3年余にわたる新型コロナウイルス禍はほぼ終息に向かっていますが、世界ではエムポックス(サル痘)や、国内でも麻疹(はしか)の流行が報告されるなど、パンデミックのリスクは常に身近に存在するようです。

■■今週もいろいろな動きがありました。
■雇用情勢と就職活動について考えること:
2024年春に卒業予定の大学生・大学院生の採用選考が6月1日解禁され、大手企業で本格的な採用面接が始まりました。もっともこのルールは形骸化し、多くの企業で採用面接は既に始まっているようです。就職情報会社ティスコの調査によると、5月1日時点の内定率は70.2%と前年同月比5.2ポイント上昇しています。
新型コロナウイルスからの経済回復で各社の採用意欲が高まっており、人手不足は深刻です。リクルート社によると学生の5月15日時点の内定取得企業数は、平均で2.22社と前年に比べ0.04社増えました。売り手市場の様相が強まり、上場企業の55%が人手不足問題を抱えているとされています。

米国では5月の失業率は3.7%となり、半世紀ぶりの水準に並んだ前月を0.3ポイント上回り、市場予想(3.5%)も上回りましたが昨年来の低いレベルで推移しています。金利引き上げにより景気後退が懸念される中でも、企業の求人意欲は衰えてないようです。前号でも記したように、私が5月末ロサンゼルスで訪れたハンバーガショップのドアに「時給19ドルで従業員募集中(ドル=140円で2660円)というステッカーが張り付けてありました。これはわが国における類似業種の時給の約2.6倍の水準です。インフレによる人件費の上昇に加、円安が日米間の価格差を増幅しているようです。

一方、隣国中国の現状は日米とは大きく異なり、若年層の就職難が深刻化しているようです。5月31日の日経新聞記事によると、4月の16~21歳の失業率は20.4%で、比較できる2018年以降では最高を更新し(中国国家統計局)、全体の失業率5.2%との乖離が大きくなっています。特に深刻なのは大卒など高学歴人材の就職難とされています。大卒の3割近くが仕事を探している計算になります。現役学生も苛烈な就職戦線に苦しみ、今夏卒業(中国では6~7月)の学生の内定率は4月中旬時点で50.4%に止まり、コロナ前の75%前後を大きく下回っています。背景に急速な高学歴化という構造的な要因があります。2023年夏の学部卒業生や大学院生は1158万人と、5年前の4割増とのこと。大変な競争社会の様相を呈しています。

かたや我が国では大学は全入時代に近づいており、就職率も95%を超える売り手市場です。また厚労省によると、2019年3月に卒業した大卒就職者の3年以内の離職率は31.5%に達してしいます。こういった状況を通じて感じることは、近隣諸国との温度差です。今、我が国にとって必要なことは若い人に切磋琢磨・チャレンジする機会をどう創り出すかです。このままでは打たれ弱く、逆境や挫折を経験したことのない人材に育つことが危惧されます。今、我が国では競争を排除する平等主義がはびこっています。「結果の平等」を求めては世界の厳しい現実に伍していけません。

自らを振り返り就職について考えることは、今就職先として人気があり、就職希望者が殺到する産業・企業が30~40年先にどうなっているかは誰も分からないことです。今がピークかもしれません。私が約60年前に就職先を考えた時代と現在を比べますと、グローバル化や技術革新、新興国の台頭により、産業地図・構造は大きく変わっています。それとともに必要とされる人材の条件も変わっています。

「人生100年時代」が現実になる時代、若い人達に申し上げたいことは、「人生は人との出会いや縁」という、目に見えない糸で導かれることが多いことです。従って常に「自分を高める努力」を怠らず、後は「人事を尽くして天命を待つ」というか、「運を天に任せる」という開き直りも必要ではないでしょうか。「我慢が必要な時は我慢」し耐えること。チャンスは誰にも必ずやってきます。それを見逃さないことです。

■内閣府、本年1~3月期、GDP改定値を発表:
本年1~3月期、GDP改定値は年率換算+2.3%(前期比+0.7%)で、速報値・年率換算+1.6%を上方修正しました。設備投資と企業の在庫増が主因です。一方、GDPの約6割を占める個人消費は速報段階の+0.6%から+0.5%に下方修正され、物価高に対する国民の生活防衛意識が表れているように思われます。同時に発表された2022年度の実質GDPは前年度比+1.4%となり、速報値+1.2%を上回りました。

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