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2023年06月30日

ちょっと気になる記事・話題(97)

2年後の2025年4月から6カ月間、大阪市夢洲(ゆめしま)で開催される2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)(目標来場者2820万人)の入場料が様々な議論を経て、大人7500円で決着しました。過去の主な万博とテーマパークの入場料と比較すると、1970年・大阪万博800円(来場者数6421万人)、2005年・愛知万博4600円(同2205万人)、2022年・ドバイ万博約3000円(同2410万人)でした。地元から「高い」という声もありますが、時代の変遷による物価水準の上昇と、最近の世相から警備への費用等の増加を反映せざるを得なかったということでしょう。
因みに東京ディズニーは本年10月から繁忙期の入場料を1500円上げ10900円に、そして大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンも、8月中旬の1日券の大人価格を、これまでの最高値から600円値上げし10400円にすると発表しました。
思うに500円の弁当でも中身が不満足なら高いと思うし、10000円の料理でも中身が伴えば納得します。要は価格に対するCS(Customer Satisfaction、顧客満足度)が高いかどうかです。それが高ければリピーターも期待できます。

このところ一流とされる企業の不正・不祥事が目立ちます。極めて残念かつ憂慮すべきことです。例えば五輪関連・保険業界・電力業界の談合問題、銀行・証券の仕組み債の販売、コロナ関連委託事業の過大請求、自動車業界の不正認証等々。その中で談合に関しては、わが国でもリニエンシー制度(課徴金減免制度)が導入され、課徴金に加え刑事罰も適用される等、強化されたにも関わらず後を絶たないのは驚きとともに、依然として談合に対する意識の低さを感じます。なお、米国は独禁法(談合等)については自由主義経済において、資本のダイナミズムを阻害する犯罪として、我が国よりはるか以前から極めて厳しい罰則が適用されています。米国在任中の約40年前、「昨年は延べ〇〇名の経営者が収監された」といったことが既に公表されていました。

■■今週もいろいろな出来事がありました。
■インド・モディ首相、米国を訪問:
6月22日、インド・モディ首相は米国から国賓待遇で招待されました。米国と防衛協力で合意し、自国の産業振興への協力と国連安全保障理事会の常任理事国入りへの支持を取り付けたとされています。バイデン大統領は「米印のパートナーシップは世界で最も重要だ」と記者会見で語りました。それにしてもインドの全方位外交というか、モディ首相の個性というより、インド人固有のしたたかさに驚きます。米国の戦略的パートナーでありながら西側諸国に不信感を抱き、米国と正式な同盟関係を築くことはまずないと見られています。一方、インドは中ロが主導する上海協力機構(SCO)や、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国)の一員でもあります。これからもインドは国益優先で立ち位置を旗幟鮮明にせず、西側は振り回される覚悟が必要でしょう。
もう一つの特色は同国は非自由主義的な民主主義であることです。現政権はヒンズー教至上主義で、国内に約2億人いるイスラム教徒への弾圧を強めています。
なお、インドは「ゼロ」を発見した国とされているだけあって、そのソフトパワーは世界を動かしています。現在、世界130カ国には「印僑」(インド人海外移住者)が約2500万人いるとされています。そのうち約400万人が米国に居住とされており、アルファベット(グーグルの親会社)、IBM、マイクロソフトの経営者は全員インド系で、さらに米ビジネススクールのトップ5のうち3校がインド系で占めています。
私はこれまでインドを含め数多くの国を相手にビジネスを行いましたが、印僑の厳しさ・粘り強さは華僑(中国系)や越僑(ベトナム)を上回るように思います。インドや中国のように多数の国と国境を接する国・国民は、四囲を海に囲まれている日本と異なり、生まれながらに「したたかさ」を身に着ける環境にあり、これが外交やビジネス面にも表れているように思います。
同国の経済規模は世界5位ですが、2028年までに日本やドイツを追い越すと予想されています。IMFによると一人当たりGDPでは、2023年は2600ドル(日本は3.54万ドル、中国1.37万ドル)に止まりますが、2025年は3000ドルを超すと予想しています。因みに日本との人口比は12倍。そして、最近の中国の地政学リスクにより、米国企業だけでなく欧州や日本の企業も、インドへの投資を増やしています。同国でビジネスを行うには他国と同様、徹底した現地調査とタイミング、そして現地のよきパートナーを見出すことが必須です。一度契約を締結すると既得権益化することから相手選定には慎重を要します。そして華々しい進出が報じられる中で、ひっそりと引き上げる企業が多いのも事実です。
■株主総会開催のピークを迎える3月期決算企業:
3月期決算の上場企業約2300の株主総会が6月に開催され、ピークとなる29日にはその26%(595社)が集中するとされています。集中度が96%と過去最高だった1995年以降、分散化が進んでいるものの2022年をわずかに下回り、前年に続き過去最低の集中率となったようです。
三菱UFJ信託銀行によると、株主提案数は6月14日時点で90社、344議案にのぼり、過去最高だった2022年の77社、292議案を上回りました。主提案をテーマ別に見ると、気候変動関連が引き続き高水準のようです。そして例年以上に関心が高いのは株主還元で、東証が企業に低PBRや資本効率などの改善要請を出したことで、アクティビストや個人株主が積極的に増配や自社株買いを要求しています。
過去においては株主総会で話題になったのは総会屋対策でした。ところが2010年に英国が「スチュワードシップ・コード」を策定したことから、我が国もこれを参考に金融庁が2014年2月に「責任ある機関投資家の在り方」を策定しました。法的拘束力のない自主規制ですが、「開かれた株主総会」として受け容れられつつあります。
以前は総務担当の総会時の役割は、「いかに総会をスムーズに終わらせるか」で、「質問なしに終了」すると「よくやった」とされていたようですが、今や「質問があって当然」と変わってきており、株主の積極的な発言・提案が企業側に緊張感をもたらし、企業改革にもたすプラス面が見直されつつあります。

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