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2023年07月21日

ブログ配信100号に当たり想うこと(100)

連日、猛暑が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。気象庁は2007年4月から、それまでの最高気温が30度C以上の「真夏日」に加え、35度C以上の日を「猛暑日」として「予報用語」に加えました。全国13地点の統計によると、1993~2022年の30年間に猛暑日の平均年間日数は1地点あたり2.7日で、1910~1939年に比べ約3.5倍増えたそうです。今や地球温暖化がますます深刻化しつつあります。

さて、私は2021年6月末の株主総会を以て、32年間、会長・社長を務めた鴻池運輸㈱を退任・退社するとともに、物流関係の全役職も辞しました。そして同年7月1日に「辻事業サポート事務所」を開設し、早や2年が経ちました。同時に始めたブログの配信(原則週1回・金曜日)も、本稿で第100回の節目となりました。

そもそも2年前、78歳になる年に「辻 事業サポート事務所」を立ち上げた動機は、これまで50年以上にわたって、国内外でのビジネスの実践を通じ体得した知識・経験、そして人脈から学んだことを若い世代に伝えたいと考えたことです。どの程度この目標が達せられているかわかりませんが、目下のところ健康にも恵まれ、数社から社外取締役等の役職をお引き受し、そして様々な機会に講師を務めたり、拙文を寄稿する等、自分なりに充実した2年間でした。 

なお、弊事務所のサポート役として鴻池運輸㈱のOBでシニア・アシスタントを務めてくれているS君と、ブログの英訳を担当してくれているI君がいます。

S君は事務所の総務的な仕事を一手に引き受けてくれており、前号で触れたように、一昨年高齢者の仲間入りをしましたが毎年献血を怠らず、今後も有資格(69歳)まで続けるようです。また私が作成したブログの原稿のチェック役をしてくれており、表現や用語について時には喧々諤々の議論をしています。
そしてブログの英訳を引き受けてくれているI君は、銀行員から鴻池運輸㈱に転じ、海外経験も豊富で英語力は抜群です。長年、私の手紙の英訳や要人との通訳、それに11年間務めた在大阪ブータン王国名誉領事の職務をアシストしてくれました。流れるような文章で微妙なニュアンスをうまく伝えてくれます。私なら一日中、悪戦苦闘するブログの英訳をまたたく間に済ませてくれます。今は自由の身で東京に住み、テレワークの形で協力してくれています。 

さて、この2年間を振り返りますと、私たちは「100年に一度」あるかどうかの大事件を2つ経験しました。それは申し上げるまでもなく、新型コロナウイルスの感染拡大と、ロシアによるウクライナ侵略です。
コロナ禍への対応については各国間で違いが際立ちました。そして我が国ではデジタル化の遅れという弱点を露呈しました。この問題は未だ後遺症として引きずっており、「失敗に厳しい国民性」と相俟って、内閣支持率にも影響を及ぼし、行政改革の根幹ともいえるマイナンバー制度の本格導入を妨げています。少子高齢化と労働力不足という問題に直面し、生産性向上が必須の中で極めて憂慮すべきことです。 

そしてロシアの一方的なウクライナ侵攻も衝撃的でした。この事件は「水と安全はタダ」という「一国平和主義」に耽っていた日本人にとって、地政学的に他人事とは思えない、正に「黒船の来襲」にも似た衝撃でした。ロシアは永久に人類の歴史に汚点を残すことに間違いありません。かつてのナチス・ドイツのヒトラーと同様、今の時代でもプーチンのような狂人的なファシストが現れるリスク、つまり「歴史は繰り返す」ことと、「それに対する備えが不可欠」であるという戒めを私たちに与えました。
また、ロシアによる侵略は東西冷戦構造より深刻な「分断」を世界経済・社会にもたらしました。世界は多極化し、専制主義国家の占める比率が民主主義国家を凌駕しつつあります。そして、過去において調整役を担ってきた国連は機能不全に陥っています。一方、グローバル化を背景に発展を遂げてきた世界経済は停滞し、保護主義が台頭しつつあります。また、地球環境問題も深刻化しつつあり、世界各地で異常気象が報じられています。 

私は1969年、人類が初めて月面に降り立ち、宇宙に浮かぶ地球の姿をテレビ画面で見たとき、これで人類の世界観が変わり、ちっぽけな地球上でつまらぬ争いはなくなると本気で思いました。ところが依然として国家体制、人種、宗教、領土を巡る紛争は無くなっていません。私はその根底には、先人の教え・戒めを守らず、いつの間にか「傲慢・慢心」に陥る人間の「習性」があるように思います。 

一方、日本の現状は「失われた30年」と揶揄される低成長から抜け出せず、少子高齢化とともに老大国化し、社会全体に閉塞感が漲っています。そして国際機関が公表している指標によると、世界における我が国の地位・競争力は著しく低下しています。こういった事態を打開し復権を図るにはどうすべきか。私は「国民の意識改革」、「政府の行政・制度改革」、そして「経済・産業界の構造改革」が必要と考えます。変革するための特効薬はなく、「敗戦後80年かけて出来上がった体質の転換には、同じ程度の年数が掛かる」くらいの、長期的な取り組み(ビジョン)が不可欠です。そしてこれといった資源を有しない我が国にとって、国力を生み出す根源は「人材」であり、そのための「人づくり」、即ち「教育」が極めて重要と考えます。 

弊事務所はまだまだ試行錯誤の段階ですが、引き続き頑張ってまいります。皆様方には今日まで大変お世話になったことに厚くお礼を申し上げますとともに、今後ともご指導ご鞭撻、そしてご叱声を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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