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2023年08月04日

ちょっと気になる記事・話題(102)

瞬く間に7月も過ぎ去りました。今年の7月は日本の観測史上、最も平均気温が高かったことが、気象庁の観測データで明らかになりました。地球温暖化の影響と、7月下旬に太平洋高気圧の勢力が強まって気温が上がったとされています。熱中症による搬送も急増し、総務省消防庁の速報値では、7月3~30日の4週間で、全国の搬送数は3.3万人に達しました。気象庁によると「日本は8月が最も暑く、今年は平年と比べても高温になる」との予報です。
次に、我が国はかつては水産大国と言われましたが、漁業生産量(天然漁獲と養殖の合計)は1984年の1282万トンから2021年には1/3まで減少しています。特にサンマやスルメイカの減少が目立っています。サンマの漁獲量は1990年代以降30万トンで推移していましたが、2010年から減少に転じ、昨年は過去最低の1.8万トンに止まりました。1人当たり魚介類の消費量も、最も大きかった2001年度から直近の2021年度には半分近くまで減少しています。幼い頃のサンマはよく太り、油が乗っていました。シーズン中は七輪で焼いて毎日のように食べました。今では懐かしい思い出です。また、当時は味噌汁に入っている「だしじゃこ」も全部食べるようにいわれました。そのお陰で今も骨密度は標準以上を維持しています。

■■最近目についたことについてコメントします:
■4~6月期GDP成長率:
米国商務省が日本時間7月28日発表した、本年4~6月期の実質国民総生産(GDP)成長率は年率2.4%となり、潜在成長1.8%増を上回りました。また1~3月期のGDP確定値は速報段階の1.1%増が2.0%増に上方修正されました。個人消費や設備投資の持ち直しが寄与しました。1年ほど前は金融引き締めの影響で2023年は前半から景気後退に入ると予測するエコノミストが多かったのですが、目下のところプラス成長を続けています。消費者物価は5月の3.8%上昇から6月は3.0%上昇へと鈍化しています。物価の上昇は鈍化したとはいえ、まだ目標値2%を超えています。
一方、EU(欧州連合)は7月31日、EU加盟27ヵ国のうち20ヵ国が参加するユーロ圏の4~6月期の実質GDPは前期比年率1.1%増でした。ユーロ圏は昨年10~12月期が0.1%減、本年1~3月期がゼロ成長となり、従来の公表値では2期連続のナイナス成長が見込まれていました。重荷になっているのは根強いインフレです。
また、中国は7月17日、国家統計局が4~6月期GDPが実質で前年同期比6.7%増となったと発表しました。1~3月期の4.5%増から拡大したことになります。

ところで日本の本年1~3月期のGDP成長率は2.7%(改定値)でした。4~6月期の民間予測の平均値は3.0%増となっています。しかしながら政府(内閣府)の公式発表は8月15日です。いつものことですが、なぜ我が国では政府のGDP公表が欧米と比べ半月以上遅れるのでしょうか。中国とは1ヵ月近く遅れます。GDPの集計基準は国際的に決まっているはずです。にも拘わらずこれだけ遅れるのは、基礎データのデジタル化が欧米と比較し遅れているのではないかと思います。GDPの動向は景気判断に大きく影響します。少なくとも欧米並みのスピードを達成するため、いっそうのデジタル化を急ぐ必要があるのではないでしょうか。

■ビッグモーター事件について:
またまた世間を揺るがすような企業活動の暗部があぶり出されました。「そこまでやっていたのか」というのが率直な印象です。日本経済・業界の低成長と過当競争が背景にあると思われます。企業をはじめ様々な組織で働く人のほとんどは、通常は性善説に基づく良心を持った人間であり、よき社会人であり家庭人と思います。しかし人は組織の一員となると全く別人に変身し行動することがあります。つまり「赤信号、みんなで渡れば怖くない」といった集団心理に陥ったり、「会社のため」とか「組織を守る」といった状況に置かれると、自分の意志に反することにも従ったり、或いは「悪事に対し見て見ぬふりをする」という、突き詰めれば「保身」に走るのです。
ところが最近、わが国でも内部告発によりパンドラの蓋が開けられるケースが増えています。米国では以前から司法取引やリニエンシー(課徴金減免制度)のような形で真相が明らかになりました。また、我が国は証拠主義で具体的な証拠がなければ立件は出来ませんが、米国では陪審員制度があり状況証拠でも有罪に出来ます。
いずれにせよいかなる組織であれトップの人間性や倫理観がいかに大事かを痛感します。私が現役時代、組織の在り方については「明るく、楽しく、のびのびと、風通しのよい組織を目指せ」が持論でした。それに加え、最近はサイバー空間での仕事やコミュニケーションが占める比率が高まっており、企業理念として「人間性重視」、つまり「人間らしくいきたいなあ」という気持ちを大切にすることが大事だと考えます。
組織の在り方について経営学的には様々な議論がありますが、私は経営者と政治家は分かりやすい、腑に落ちる言葉で語りかけることが必要と考えます。
■2023年度の全国学力テスト:
文科省は「2023年度の全国学力テストで、中学3年の英語の「話す」問題の正答率が12.4%であったと発表しました。4年前の前回調査を18.4ポイント下回っています。自分の考えを英語で表すことが不得意という特徴が表れているとのことです。この背景に日本人固有の「人前で恥をかくな」という躾の影響が大きいように思います。つまり自分より少しでも英語がうまい人がいると、他の人は「貝」になります。この日本人の国民性の見直しと、それを是正するための工夫、例えばAI-チャットGPTのフル活用が必要と思います。もちろん低学年からの教育の在り方も考える必要があります。この点については別の機会に採り上げたいと考えております。

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