3週間ぶりのブログ発信となりますが、瞬く間に今日から9月。それにしても暑い夏でした。先日の新聞に「地球沸騰」という見出しがありましたが、世界の7月の気温は観測史上最高だったそうです。日本もこの100年あまりで最も暑かったとされています。今や異常気象が日常となっており、世界の気候はAbnormal(異常)がNew Normal(新常態)といった状態に入ったように感じます。
こういった気候変動により世界中で、輸送の遅れや物流費の上昇につながり、ビジネスの足かせになりつつあります。例えば、8月中旬、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河で、130隻もの船が通航待ちを強いられたそうです。理由として運河に水を供給する湖の水位が7月下旬に2015年6月以来の低水準になり、運河の水が不足しているためとされています。この影響で8月第2週時点に中国の上海発米国東岸向けスポット運賃が3月末比5割超も上昇しました。
また世界各地で干ばつにより穀物などの不作が相次ぎ、オリーブ油は最高値を付けました。そしてインドでは逆にモンスーンによる大雨で穀物が被害を受けたため、同国政府はコメの輸出制限に踏み切りました。同国は世界最大のコメの輸出国です。インドの今回の措置が輸出第3位のタイに飛び火し、価格の高騰や買い占めが生じています。原油市場は一時に比べると落ち着きがみられますが、次は食料インフレへの懸念が増大しており、日本への影響が懸念されます。このように異常気象の悪影響が世界中で顕在化しています。
■■今月もいろいろなことがありました。
■中国、日本からの水産物の輸入を全面停止:
東京電力は8月24日、福島第一原子力発電所から出た処理水の海洋放出を始めました。これに対し中国政府は即座に、日本産の水産物の輸入を全面停止にしました。
中国は何故ここまで強硬なのか。それは現在、中国の国内事情が経済的にも社会的にも極めて深刻な状況にあり、ガス抜きの矛先を我が国に向けているのです。これは中国共産党の常套手段です。2012年9月には日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化を受けて反日感情が噴出し、抗議デモが各都市で暴徒化しました。日本のみならず韓国に対しても、が2017年7月、同国のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備に対して激しい反韓運動が起こり、韓国への団体旅行を禁止しました。そのため観光地・済州島では閑古鳥が鳴きました。この時は訪韓再開まで2年以上掛かりました。今回、報道では訪日旅行にも影響が出始めているとされていますが、韓国での前例から考え訪日制限に現実性があり、長期化が懸念されます。
中国は全体主義国家で、国政レベルの選挙はなく共産党の一党独裁です。すべては共産党が取り仕切り、厳しい情報・報道規制を行い、都合の悪いことは公表せず、政策の失敗は絶対に認めません。愛国教育も強化しています。共産党の組織は社会の隅々まで浸透し、徹底的な監視社会です。私が関与した中国での合弁事業でも、共産党員のポストを設けることが必須で、職場での思想教育が役割でした。勿論今回の反日の動きも裏で糸を引くのは共産党です。電子商取引最大手・アリババの創業者・馬 雲氏(ジャック・マー)が、栄光の舞台から消えたのは共産党を批判したからです。
共産党の党員数は2022年末時点で前年比132万人増の9804万人に迫り、1億人到達が間近です。入党申請者は前年比33万人増の2096万人だったとのこと。その背景として、若者の失業率は20%を超えていることから、「党員になれば出世や、公務員や国有企業への就職が有利になる」といったことがあるようです。
中国が抱える問題は数多く、かつ深刻です。かつての高度経済成長は過去のものとなり、GDPの約3割を占める不動産バブルの崩壊とデフレ懸念、中央・地方政府の債務拡大、「一人っ子政策」の失敗がもたらした日本より深刻な少子高齢化、海外からの投資減少、共産国家らしからぬ貧富の格差拡大等々。見方によると1989年6月に起こった天安門事件が再発しかねないマグマが蓄積されています。そのため対外的に強硬策をとり、国民の目を外に向けざるを得ないのです。台湾問題についても同様です。正常化には時間が掛かると覚悟せざるをえないでしょう。
私が初めて訪中したのは今から47年前の1976年11月。10年にわたって吹き荒れた文化大革命終結直後でした。それ以来、これまで30回以上訪中し合弁事業にも携わりました。1988年12月には鄧小平国家主席(当時)にも謁見しました。そういった経験を通じ、我々日本人が忘れてはならないことは、飛行機で僅か1~2時間の至近距離に、「中国という異質の国がある」という現実です。
■減少が続く出生数、本年1~6月・人口動態統計:
厚労省がこのほど発表した人口動態統計によると、2023年1~6月の出生数は前年同期比3.6%減の37万1052人(外国人含む速報値)でした。2年連続の40万人割れとなり、2000年以降で最少となりました。出生数の先行指数となる婚姻数も過去最低水準に止まり、出生数の減少が一段と進む可能性があります。
こういった少子化の影響で、今春入学者が定数割れした四年制の私立大は53.3%に当たる320校で、1990年度の調査開始以来、初めて5割を超えました。私立短大も定員割れが92.0%と前年度日6.3ポイント増で過去最高となりました。今後も18歳人口の減少は加速する見込みで、文科省は大学入学者数は2040年に51万人、50年に49万人になるとの推計を示しています。総入学定員が現状のままだと2割分が過剰となります。今や全入時代となり、このままでは学力の低下が懸念されます。
■先日、1週間ほど長野に行っていました。その間、嬬恋村(つまごいむら)に行きました。長野県と群馬県の県境にあり、標高約1000m、温度は20度前後、湿度が低くとても快適でした。そして間近に見える浅間山を背景に見渡す限り特産のキャベツ畑。久しぶりに日本の原風景に触れました。そして村にあるブルワリーは独特の雰囲気があり、またホップの苦みが効いた地ビールは、アンチョビとキャベツのパスタとの相性がとてもよく、おいしくいただきました。