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2023年10月13日

ちょっと気になる記事・話題(109)

10月8日(日)、夜8時(日本時間)、ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で、2大会連続の8強を目指す日本とアルゼンチンの試合が行われ、私はテレビ観戦しました。試合は正に手に汗を握る攻防でしたが、結果は27対39での敗退となりました。日本チームは最後まで粘り、持てる力を出し切りましたが、敢えて言えば何となくサモア戦と比べやや精彩を欠き、終始相手側に主導権を取られていた印象です。しかしチームとしては悔いのない闘いをしたという、すがすがしい気持ちだったと思います。そして試合が終れば No Side! やっぱりスポーツはいいですね。

さて、9日、本年のノーベル経済学賞に米国ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授が選ばれました。男女間に賃金格差が生じる要因を解明した研究が評価されたとのことです。会見では、日本の女性の労働参加率(2021年、81%)は米国(75%)を上回っていますが、「労働時間が短い」ことを指摘したそうです。背景に我が国ではパートタイムで働く女性の比率が54%と高いことと、子育てに時間を取られることや、106万円、130万円といった「年収の壁」があるように思います。

■■最近気になっていること:
■ハマスとイスラエルの武力衝突:
7日朝、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃に端を発し、全面的な衝突へ発展する様相を呈しています。1948年のイスラエルの建国以来繰り返されてきたことですが、いろいろ解説者の話を聞いても、結局は当事者でないとその苦しみや憎しみは理解出来ないように感じます。歴史はどこまで遡るか、どこを起点として考えるかで、正当性についてのお互いの解釈は全く異なり嚙み合いません。従って、恒久的な妥協点を見出すのは極めて困難のように感じます。
今後紛争がイランも含め、周辺の中東諸国を巻き込む事態に発展する危険性もあります。既に原油市場は地政学的リスクに反応し価格は上昇しています。残念ながら我が国に紛争の解決を仲介する力はなく、ただひたすら50年前(1973年10月)の第一次オイルショックが再来しないことを願うばかりです。我が国は中東原油への依存度が高い(通常95%前後)ことが、安全保障上の致命的な弱点です。こういったエネルギー面のリスクマネジメントを考えると、2011年3月の東日本大震災では福島第一原発でひどい事故が起こり、今もその後遺症に悩まされていますが、それでもなお再生エネルギーに加え原子力発電の比率を上げることは、我が国にとって不可避的な選択肢ではないでしょうか。

■世界経済の見通し:
IMFはこのほど、四半期に一度の経済見通しを公表しました。中国やユーロ圏の減速を反映し、2024年の世界の実質成長率を2.9%としました。7月の予測から0.1ポイントの下方修正です。こういった予測にこの度、新たにハマスによるイスラエル攻撃が生じました。そして米国でも民主党と共和党の亀裂や、共和党の内紛により新年度予算の見通しが立たず、ウクライナへの支援もどうなるか分からないという混迷した政治情勢に陥っています。
こういったことから世界情勢の先行きは一段と不透明になりました。私は来年以降の世界経済、そしてその影響が避けられない日本経済は、かなり慎重にみておく必要があるように思います。 

■最近の世相を表す、いくつかの「気になる指標」:
◎いじめ件数、過去最多:全国の小中学校と特別支援学校で2022年度に認知されたいじめの件数が、前年度から1割増の68.2万件に上り、過去最多となりました。いじめによる重大事態も217件増え、過去最多の923件が報告されています。「いじめ防止対策推進法」の施行から10年経過し、重大な被害を防ぎきれていない現状が浮かび上がっています。
◎不登校・問題行動の小中高生数、過去最多:2022年度の不登校の小中学生は過去最多の約29.9万人(前年度比+22.1%)と大幅増となりました。うち小学生が10.5万人、中学校が19.3万人でした。また、小中高校での暴力行為は95,426件と過去最多となりました(前年度比+18,985件)。いずれの年代も増加傾向で、特に小学校では10年前の7.4倍に急増しました。
◎自殺者数増加:2022年の自殺者数は21,881人と2年ぶりに増加しました。男性が14,746人 (前年比+807人)、女性が7,135人(同+67人)。人口10万人あたりを示す「自殺死亡率」は全体で17.5となり前年より+0.8ポイントとなりました。原因や動機は「健康問題」、「家庭問題」、「経済・生活問題」の順となっています。
なお、小中高校生の自殺者数は1980年の統計開始以来最多の514人となりました。原因や動機としては「学校問題」が最多で、具体的には「学業不振」、「進路に関する悩み」、「学友との不和」。また、「家族関係」、「家族からのしつけ・叱責」に苦しんだ子も多いようです。
◎ひきこもりの人数、146万人:内閣府によると、自宅にいる15~64歳のひきこもりの人は146万人との推計値を公表しました。ひきこもりとは半年以上、家族以外と殆ど会話をしないなどの人と定義されています。2割以上がそうなった理由として「コロナ拡大」ことが主たる理由としています。 

以上のような社会現象から感じることは、我が国は経済的には豊かになりました。しかし1776年10月の建国以来、民主主義を自問自答し育んできた米国と異なり、我が国が敗戦により民主主義に転じて80年弱、未だ試行錯誤の状態にあるような気がします。そしてハイテク技術で確かに生活は便利になりましたが、代償として失った「温かさ」とか「やさしさ」といった「人間性」の大切さを痛感させられます。今後、チャットGPT等によるメカニカルというか機械的な会話や文章が、生産性・効率性の向上という名目の下、私たちの日常生活を支配すると考えると、「もういい加減にしてほしい」という気持ちになるのは、人生の8割を昭和時代に生きた世代のノスタルジアでしょうか。

 

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