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2023年11月17日

ちょっと気になる記事・話題(113)

このところ天候が不順で、11月とは思えないような暖かい日が続いたと思うと、急に寒くなったりで、外出時にコートを着たり脱いだりの日々でした。しかし来週あたりから本格的な寒さがやってきそうです。そんな天候不順のせいか、目下、季節性インフルエンザの感染拡大が止まらないようです。この流行は例年より約3ヵ月早く、小児用治療薬の一部が不足する事態に陥っていると聞きます。また、専門家によると冬場になるとさらに大きな感染の波が来る恐れがあるとされています。感染予防には早めのワクチン接種、マスク着用、手洗いの徹底のほか、こまめな換気を勧めています。
一方、アジアではデング熱の感染が急増しているようです。症状は急激な発熱と頭痛、吐き気で、通常は2~7日で解熱するようですが、海外では多数の死者が出ています。これまで主に熱帯・亜熱帯で流行する風土病とされてきましたが、近年は地球温暖化を背景に日本を含む広範囲な地域で感染が確認されています。今年はウイルスを媒介する蚊が異常気象で繁殖していることが感染拡大の原因のようです。
ところで理由は分かりませんが、今年は身近なところでカメムシをやたらと見ました。こんなことは初めてです。自宅のガラス戸にへばりついていたり、足元に転がっていたりです。多くの方々から同じようなことを聞きました。踏みつけると悪臭を放つとのことで、足元にいると避けて通りました。これも気候変動の身近な実例でしょうか。 

■■最近想ったこと:
■国連大学が公表した「人類にとっての6つのリスク」:
報告書によると①耐え難い猛暑、②氷河の融解、③保険のない未来、④生物種の絶滅の加速、⑤スペースデブリ(宇宙ゴミ)、⑥地下水の枯渇を、6つのリスクとして取り上げ、早期の対策を促しました。
例えば、①、猛暑により世界で年約50万人が死亡、⑤、宇宙ゴミでは、1mm~1cm程度のものまで含めると1億3000万個が地球軌道上を高速で漂っており、衝突が連鎖すると、軌道上で人工衛星などが使えなくなるとしています。そして現在はこうしたリスクに対して事態を遅らせる対策に注力しがちだが、根本原因を解決する変革が必要としています。残念ながら今の世界情勢では、これらの問題の解決に向けイニシアティブを取る国は見当たらず、このままでは「タイタニック号」と同じで、皆がリスクに気が付いていながら、悪い方向へ一直線に進んで向かっているような気がします。
■米中首脳会談:
中国・習近平国家主席は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席のため6年半ぶりに米国を訪問しました。そしてこれに合わせ1年ぶりに米中首脳会談がサンフランシスコ近郊で行われました。会談は両国関係をこれ以上悪化させぬことへの配慮からか、はれ物に触るようなイメージで、台湾海峡や中国の南シナ海での海洋進出、貿易摩擦といった問題についての突っ込んだ議論はなかったようです。「お互いが会うこと自体に意義を見出した」といった印象でした。しかし両首脳間並びに軍のトップ同士の対話の再開が確認されたことは大きな成果だったと思います。
中国は現在、国内景気が極めて悪く、7~9月期の実質GDPは前年同期比4.9%成長に止まったとされていますが、実態はもっと深刻なようです。従って今回の首脳会談は中国にとっては、国民に自国の国際的な存在感を示す意味で渡りに船といったところでした。しかし今回の会談をもって中国が台湾問題で譲歩するとか、南シナ海での軍事拠点強化をストップするとは考えられません。米国大統領の任期は4年・2期までで、選挙の結果次第で政策が大きく変わる可能性があります。ところが中国は国家主席の任期に制限はありません。そして国政レベルの選挙もなく共産党の一党支配で、党が決めた原理・原則は絶対に譲ることはありません。バイデン大統領が「独裁者」と呼び、「うす笑い」以外に喜怒哀楽を表情に出さない習近平国家主席が、内心何を考えているか、今後とも十分注視する必要があります。 

■迫りくるトラック業界の「2024年問題」について:
今週、ある協会で「物流業界の現状と2024年問題」と題して講師を務めました。来週も別の団体から依頼されています。
この問題の肝は来年4月からトラックドライバーの「時間外労働の上限960時間」という規制が適用されることです。なお、この規制は2018年に成立した「働き方改革関連法」に基づき、一般職については大企業は2019年度から、そして中小企業は2020年度から、「年間上限720時間」が既に適用されています。しかしトラック貨物輸送業、建設業界、医療従事者については、業務の特殊性から適用に5年間の猶予(準備期間)が与えられたのです。その期限がいよいよ4ヵ月半後に迫ってきました。
我が国は急速に少子高齢化が進むとともに人口減少社会に転じており、労働力不足が一段と深刻化しています。帝国データバンクによると、本年1~10月における人手不足を理由とする倒産が過去最多(206件、前年比+78%)を記録し、中でも建設業と物流業で5割強を占めています。特に10人以下の零細企業が倒産の75%を占めています。小規模で業歴の長い企業ほど人手不足と、事業継承懸念に直面している実態を表しています。
それでは人手不足が深刻化する中で、なぜ労働時間規制が必要かですが、「年間時間外労働960時間」を単純に12ヵ月で割ると月に「80時間」です。これは世間では「過労死ライン」とされています。中でもトラックドライバーは、全産業平均と比べ「年間労働時間が2割多く、賃金は1割安い」という、いわゆる「3K職場」とされています。そして過労死数が全業種で最も多いという不名誉な記録が続いているのが実態です。これはもはや看過できない社会的、人道的、そして事故防止上の大問題です。
なお、規制違反に対しては労働基準法に基づき、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。従来の行政処分と比べ一段と罰則が強化されます。
一方、もしトラックが2~3日でも目の前から姿を消すと、たちまち私たちの生活は成り立ちません。正に「トラックはくらしと経済を支えるライフライン」なのです。そしてその社会的責務を全うするには、男女を問わず若者の参入を促す方策が是非とも必要です。そのためには賃金をはじめとする労働条件の改善が不可欠であり、その原資となる「適正運賃の収受」が必須です。もちろん業界側としても過当競争体質の改善といった、「構造改革による生産性向上」への弛まぬ努力が求められます。
結論として「2024年問題」は、一部の産業や企業に負担を強いるべき筋合いのものではなく、消費者を含め社会全体が負担を共有することが必要と考えます。

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