12月に入り忘年会シーズンになりました。今年はコロナ禍へのリベンジ需要が顕在化し、街の飲食店の予約は好調なようです。ただし二次会の場を代表するカラオケ店にはあまり恩恵は及んでいないみたいです。なお、先日の新聞に「残業代出るなら出よう忘年会」というのがありました。Z世代の一面を象徴しているように感じます。
今年の流行語大賞が発表されましたが、「あれ」しかないだろうと思っていたら、やはり「A・R・E」でした。因みに昨年の流行語大賞は「村神様」でしたが、今年のヤクルトスワローズは一転して「厄病神」のようなシーズンで終わりました。
世界気象機関(WMO)は今年が史上最も暑い1年になるとの見通しを発表しました。10月末までの記録では、産業革命(18世紀後半から19世紀後半)よりも世界の平均気温は1.4度上昇しており、約12万5千年前以来としています。国連気候変動枠組条約の第28回締約国会議(COP28)が、UAEのドバイで11月30日~12月12日の会期で開催されています。各国の立場や思惑はさまざまで、果たしてどういった形で合意がなされるのでしょうか。
■■最近想ったこと・注目したこと:
■キッシンジャー元米国務長官死去:
米国の元国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏が11月29日死去しました。100歳でした。同氏はニクソン大統領政権(1969年1月20日~1974年8月9日)の下、1970年代の米国の外交を主導し、徹底的な現実主義で米中関係の正常化や、ベトナム戦争の終結等で大きな役割を果たした人物です。ベトナム和平の実現によりノーベル平和賞受賞しました。1923年にドイツでユダヤ人の家系に生まれ、ナチス・ドイツの迫害から逃れるため、1938年に米国に渡ったそうです。
米中関係は朝鮮戦争(1950年6月25日~1953年7月27日休戦)以来冷え込んだままでしたが、1971年3月に名古屋市で開催された第31回世界卓球選手権を機に米中間の卓球を通じた交流が始まりました。いわゆる「ピンポン外交」です。トム・ハンクス主演の映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」の1シーンに登場します。その後キッシンジャー氏は1971年7月に、日本政府に事前に通知することなく極秘裡に中国を訪れ(頭越し外交)、ニクソン大統領の訪中(1972年2月)を演出し世界を驚かせました。日本政府はいわば床板を外されメンツを潰された形となりました。
私はキッシンジャー氏の極秘訪中のニュースに接した当時は、貿易研修センター(静岡県富士宮市)にて、様々な業界・企業から派遣された研修生(120人)の1人でした。たまたまその直後、当時の駐日米国大使がヘリで研修センターに飛来され、講演の中で”One swallow doesn’t mean the coming of the spring!” (燕が一羽飛んだからといって本格的な春が来たとは言えない)という例え話が頭に残っています。しかしその後の中国の発展を見ると、キッシンジャー氏は中国が大国化への道を歩む扉を開いたと言えます。こういった一連の外交の背景にあったのは、当時のソ連への警戒心という点で米中の利害が一致したからです。
■日本の英語力、過去最低の87位:
この記事はショックなことで「何をやってんだ」と思いました。世界的な語学学校運営企業のEFエデュケーション・ファースト(スイス)がこのほど発表した、113ヵ国・地域を対象とする、2023年の「英語能力指数」ランキングによると、日本は過去最低の87位に転落しました。特に若い世代の英語の低下が目立つとしています。首位はオランダ、2位はシンガポール、3位はオーストリアとなっています。我が国では最近は小学校低学年でも英語を教科として採り入れ、中・高合わせ6年以上英語教育を受けています。にも拘わらず日本人の英語力は韓国やベトナム、中国などを下回り、アジア23ヵ国・地域でも15位となっています。
コロナ感染拡大が海外留学や国際交流などの妨げになったことは事実です。それに加え我が国の英語力の弱さの理由として、①、「話す」というコミュニケーション上で最も大事なことより、文法を重視し過ぎること、②人前で恥をかくことを避けたがる国民性、があります。これらを是正、或いは克服する必要があります。米国へ行けば幼児でも英語を話します。移民の多くは「読み」「書き」は出来ずとも、ブロークンでも「話せる」ことから、多くがタクシードライバーの職についています。外国語を学ぶには王道はありません。毎日例え5分でも積み上げる以外に上達の手段はありません。
若い世代の内向き傾向も気になります。調査結果によると若い世代を中心に転勤は敬遠されがちで、転勤がある企業は就職先に選ばれにくくなっているようです。無論、人によっては親の介護といった事情もあるかと思います。しかし、皆が内向き志向では国も企業も活力を失い、個人個人も狭い範囲でまとまってしまい、「人生100年時代」を生きる「人間力」を養う上でマイナスではないでしょうか。
内向き志向は必然的に外国への関心も弱めます。中国やインドといった国々の若者と対照的です。因みに日本人の海外留学生は2021年度は1万人。コロナ禍の影響がありましたが、2019年度の1割に止まっています。政府は2033年までに日本人留学を50万人送り出す計画を立て、留学制度の拡充を目指すとしています。これが「笛吹けど踊らず」にならなければよいのですが。
■ハマスのテロ攻撃の前にイスラエル株の空売りが急増:
10月7日のイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃する数日前に、イスラエル株の「空売り」が急増したそうです。「空売り」は株を借りて売却し、一定期間内に買い戻す取引で、買い戻し時の株価が売却時より下がっていれば利益、逆に「空売り」価格より値上がりしていれば損失が発生します。正常な市場取引なら問題はありませんが、何らか手段による市場操作、例えばインサイダー取引や風説の流布は禁じられています。今回はハマスの攻撃開始の5日前の10月2日に空売りが急増したとのことです。仕掛け人として考えられるのは、テロ攻撃によるイスラエル株の下落を予め知っていたハマス自身か、北朝鮮、イラン、ロシアといったハマスと通じているグループのインサイダー取引が疑われます。こういった「濡れ手に粟」を許すと「正直者が馬鹿をみる」ことになり、株取引への不信感を醸成します。イスラエル当局が捜査に乗り出したのは当然のことです。