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2023年12月15日

ちょっと気になる記事・話題(117)

師走とはよくいったもので、12月に入り瞬く間に2週間が過ぎました。しかし関西は天候に関してはこの時期とは思えない暖かい日が続いています。
国政の方は10月20日に召集された臨時国会が、55日間の審議日程を終え12月13日に閉幕しました。会期中に政府が提出した新規法案12本は全て成立したとされていますが、実に後味の悪い終わり方でした。閉幕を待つかのように官房長官を含む4閣僚、5副大臣が辞表を提出したほか、国会対策委員長を含め10名を超える議員が政治資金規正法違反(不記載、虚偽記入)容疑で近く強制捜査という、前代未聞の醜聞が拡散しています。正に政治不信の極みといったところです。
最近の岸田内閣支持率を見ていますと、かつて「参議院のドン」と言われた青木幹雄議員(本年8月逝去)の有名な第一法則、「内閣支持率(%)と与党第一党の政党支持率(%)の和が、50ポイントを下回ると政権が倒れる、または政権運営が厳しくなる」が頭に浮かびます。因みにNHKの最近の世論調査(12月11日)では、岸田内閣支持率は23%、自民党支持率は29.5%です。2つの数字を足すと52.5になります。つまり危険水域の一歩手前という状態です。首相が「火の玉になって信頼回復」と言えば「火だるまになって」と言い換えられる始末です。今や受け皿となる野党の不在と、有力な後継候補が見当たらないことが支えというレームダック状態です。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■我が国の「税」と国民負担率:
毎年恒例の「今年の漢字」に「税」が選ばれました。「虎」も有望だったようですが、こちらは今年の流行語大賞を獲得したことで一件落着か、或いはパレードでガス抜きされ現実に戻り、改めて「税」の重みに目が向けられたということでしょうか。
ところで「〇〇税」といわれる日常用語は一体どれくらいあるでしょうか。頭に浮かぶだけでも国税、地方税、直接税、間接税、消費税、法人税、住民税、外形標準課税、所得税、復興特別所得税、分離課税、相続税、贈与税、酒税、たばこ税、ガソリン税、軽油引取税、ふるさと納税、そのほかまだまだ沢山あります。私が前職時代関係していた通関関係では関税があります。今年の税収総額は60兆円くらいかと思われます。こういった税金に社会保障負担(健康保険・介護保険等)を加えた総額を、国民所得で割った数字が国民負担率です。我が国は実績値で2000年度は35.6%でしたが、2021年度は48.1%まで上りました。何と20年間に12.ポイントも増えたのです。保険料の方は法律改正が必要な「税」と異なり、「ステルス値上げ」に近いのです。その一方で「失われた30年」と言われるように、この間我が国はゼロ成長、そして賃金は横ばいが続いたのですから、国民はたまったものではありません。税金の使途についてしっかり監視の目を向けることが大事です。昔から「増税と汚職では選挙は勝てない」とされますが、二つとも揃っている現状では、次期選挙は与党にとって厳しい戦いが予想されます。

■日本とASEANの友好協力50周年と中国の台頭:
私がはじめて東南アジア(フィリピン、インドネシア、マレーシア)を訪れたのは1971年5月でした。今から52年前のことです。貿易研修センターの仲間2人と5月の連休を利用して、5~6日の行程で出掛けました。見るもの聞くものが全てフレッシュで驚いた記憶があります。その後派遣元の会社に復帰後(1971年11月)、1978年6月に米国へ赴任するまでの7年間、石油化学品の輸出を担当していた関係で、中国や東南アジア諸国を年に2~3度出張しました。当時の注意事項はクーデターと火災でした。それくらい国によっては政情が不安定で、ホテルの防火対策も十分ではありませんでした。ベトナムは南北間の戦争のさなか、そして韓国ではホテル火災が発生した際、クーデターと思い込み脱出が遅れ、焼死した日本人ビジネスマンがいました。
しかし現地を何度も訪れるうちに、私は「これからは間違いなくアジアの時代がくる」と確信しました。それに基づき1983年10月に前職に転じた際、総合物流企業を目指す一環として、日本を要として米国西海岸、中国、東南アジア諸国を中心とした、いわゆる「環太平洋経済圏」の中で、きめ細かい物流サービス網を構築しようと考えました。そして直ちに1985年にロサンゼルス、中国(北京・上海)、シンガポール、香港に拠点を開設しました。ベトナム(ホーチミン、ハノイ)には1993年3月、日本の物流事業者として最初に進出、現在ではインドやタイにも現法を設立しています。
ところで1967年にASEAN(東南アジア諸国連合)が設立され、本年は日本ASEAN友好協力50周年に当たります。ASEAN加盟国は当初の5カ国から徐々に増え、現在は10カ国です。域内人口は約6.7億人、名目GDPは約3.3兆円で2030年代には我が国を上回るとされています。
なお、このところ気になるのは日本の存在感の低下と、中国・韓国の台頭が著しいです。特に中国です。外務省がASEAN諸国を対象に実施した2022年の世論調査では「今後の重要なパートナー」として中国を選んだ比率は48%に達し、日本の43%を上回りました。中国は日本の12倍近い人口をバックに、圧倒的な購買力と積極的な投資が指摘されています。現状のままですと、この傾向は今後一段と強くなります。
この点について私なりの留意点を挙げますと次の通りです。
①東南アジアに居住する華僑の数は正確には把握されていませんが、4000万人を超えるとされ、政治・経済への影響力が強く、潜在的には同胞意識が強いことです。一方、我が国は対欧米とは対照的に、アジア諸国に対しては「上から目線」が感じられ一体感に欠けます。今やアジア諸国は決して後進国ではありません。
②日本の自動車産業もEV化の波を転機として、今のままでは家電や携帯電話の二の舞になります。日本は「ものづくり立国」とか「技術立国」を掲げ、「高くても高品質・多機能であれば売れる」と一方的に考えがちに対し、中国・韓国は現地のマーケットを徹底的に調査し、「現地のニーズ・所得レベに合うもの」を製造・販売しシェアを拡大しています。つまり双方向のマーケティング(マーケットイン)です。
それではどうするかとなると、日本の政治家、ビジネスマンは言葉(英語・中国語・現地語)の壁を超える努力をし、アジアとの関係の在り方や歴史について学び、もっと自力を付け、アジア諸国の人々との一体感を醸成し、ともに成長を目指す姿勢が必要です。中でも将来を担う若者の交流を活発化することが効果的と考えます。

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