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2024年01月05日

新春雑感(119)

新年明けましておめでとうございます。2021年7月1日に「辻事業サポート事務所」を設立して3度目のお正月となり、ブログの配信も今回が119号となりました。
お陰様で講演を始め様々な形で、これまで培ってきた知識・経験を後進に伝えるべく微力ながら頑張っています。今後とも可能な限り継続したいと願っておりますので、引き続きご愛顧並びに、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■能登半島地震について:
今年の元旦、近くの神社で恒例の初詣を済ませ、自宅(兵庫県尼崎市)でお屠蘇気分に浸っているさなか、午後4時ころグラグラときました。かなり大きく長かったような気がしました。急いでテレビのスイッチを入れると能登地方を震源地とする巨大地震が発生し、「津波警報」が発令されたとのこと。そして「すぐ避難をするよう」アナウンサーが繰り返し叫んでいました。その後、震源の深さは約16Km、地震の規模を示すマグニチュードは推定7.6で、この地域では記録が残る1885年以降で最大であることが判明しました。振り返りますと、昨年は推定10.5万人の死者・行方不明者をもたらした関東大震災から100年の節目の年、その後この30年に限っても1995年1月17日発生した阪神淡路大震災、2011年3月の東日本大震災、そして今回の能登半島地震を含め、震度7を超える地震が7回発生しました。小規模な地震は毎日のように日本のどこかで起こっています。これからも首都直下型地震や南海トラフ地震等が、「いつ起こってもおかしくない」といった予測もなされています。私は東日本大震災の発災直後に被災地を訪れましたが、自然の力・猛威に呆然としました。今や災害は「忘れたころにやってくる」のではなく「忘れないうちにやってくる」のです。「明日は我が身」かも知れません。日本に住んでいる限り、私たちは常にこういった「大きな自然災害のリスクと隣り合わせで暮らしている」ことを戒めとして忘れてはなりません。 

■羽田空港で日航機と海上保安庁機が衝突事故:
翌日の1月2日、朝からずっと地震に関する報道が続く中、夕方になって突然、羽田空港で日本航空機が着陸直後に海上保安庁の航空機と衝突という、ショッキングなニュースが飛び込んできました。同時に炎に包まれながら滑走する飛行機の映像が映し出されました。今の季節、そして発生時刻からしておそらく満席だろうし、着陸後も停止するまでかなりの距離を走行する(今回は約1500m)ことから、誰しも次の瞬間に最悪の事態を予感したと思います。
結果は日航機の旅客(369人)と乗員(12人)は、けが人は出たものの全員無事脱出。これは正に奇跡でした。その後、多くの乗客から安堵のコメントがありましたが、何といっても客室乗務員の冷静かつ、臨機応変の対応が功を奏したように思います。
一方、海上保安庁機は能登半島地震の被災地に救援物資を届ける任務を遂行中であったとのこと。残念ながら6人の乗務員のうち5人が殉職という痛ましい事故となりました。
この度の事故の原因については今後解明されるでしょうが、警視庁は業務上過失致死を視野に捜査を進めるとしています。それにしても飛行場並びに航空機のオペーレーションはハイテク技術・機器で固められていますが、最終段階での安全確認がアナログ(人間の知覚・判断)頼みでは、「思い込み」、「勘違い」、或いは「恣意的」、「意図的」といった要因が入り込む余地があり、数百名の命が関わっている重大性を考えると看過できない問題です。
なお、元職時代の経験から学んだこととして、様々な事故の背景にはハードが起因する場合ももちろんありますが、ほぼ100%、何らかの形でヒューマンエラーが絡んでいることです。そしてその底には「慢心」、「マンネリ」があります。尽きるところ、人間はそういったことに陥りやすい習性を持った生物であることを前提に、「凡事徹底をどう浸透させるか」が、最大の事故防止策であることです。 

■政府が取り組む大陸棚の再拡大と海底資源探査について:
我が国が今後、不安定さを増す国際情勢の影響を最小限に抑え、国の安定と成長を目指すには経済安全保障が非常に重要です。その中には40%を切る食料自給率の引き上が含まれます。そのほか国内エネルギー供給の約85%(2019年度)を占める石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料への依存度を下げることです。特に石油は地政学リスクの高い中東への依存が9割を越え非常に脆弱です。そのためには原子力に加え、水力発電、太陽光といった再生エネルギーの活用が不可欠です。中でも原子力についての国民のコンセンサスが必要です。
さらにもう一つの課題は、半導体や蓄電池の原料となるレアメタル(希少金属)の確保です。その可能性を秘めた小笠原海台海域の鉱物資源調査を、日本政府が進める方針を示したことは大変結構なことです。政府は2014年に四国海盆、沖大東海嶺南方の2海域に関して延長大陸棚と位置付けています。そして調査のため無人で潜水する国産の「水中ドローン」について、水深7000mに耐えられる国産の機体をつくるプロジェクトが、2025年度の運用を目指して動き出すようです。この深さまで到達できれば日本の排他的経済水域(EEZ)の98%を観測できるとされています。大いに期待しています。 

■18歳新成人、最少106万人:
総務省が昨年末公表した、本年1月1日現在の人口推計によると、2005年年生まれの新成人(18歳)は、前年比6万人減の106万人で過去最少でした。また一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は1.26と、2022年に並ぶ過去最低となりました。少子化が改めて浮き彫りとなっています。
過去にさかのぼりますと、第一次ベビーブーム世代(1947~49年)か成人した直後の1970年に史上最多の236万人に達した後、第二次ベビーブーム(1971~74年生まれ)が成人した90年代前半にも、一時200万人を超えたことがありますが、その後はずっと減少傾向が続いています。何とか少子化の流れを止めたいものです。ちなみに辰年生まれの人口は1005万人、内訳は男性が488万人、女性は517万人です。なお、人口推計は国政調査を基に、出生数や死亡数などから算出。3ヵ月を超えて国内に滞在する外国人も含まれます。

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