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2024年01月12日

ちょっと気になる記事・話題(120)

元旦早々、正月気分を吹っ飛ばした能登半島地震が発生してから12日が経ちました。現在まで213名の方々が亡くなったのに加え、安否不明が37人という大きな災害をもたらしました。そして未だに人や物資の輸送が難しい孤立集落が、2市1町の計22地区で3124名に達しています。現在も13市町に開設された398カ所の避難所では約2.6万人が身を寄せています。そして雨・雪を伴う厳しい寒さに加え、依然として断水が約5.9万戸、停電が約1.5万戸とのことです。一日も早い復旧を願うともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。 

なお、このところサービス産業も長かったトンネルを抜け出し復調が見られます。ホテルの稼働率はインバウンド客の増加とともに約8割まで上昇しており、昨年11月は前月に続きコロナ禍以降の最高値を更新し、客室単価も約4%上昇しました。
一方、年末・年始(12月28日~1月3日)の航空旅客数は羽田空港での事故の影響を受け、国内線は前年同期比4%減でした。国際線については前年同期比44%増の36.7万人となりましたが、コロナ禍前の2019年度との同期比では7割を下回ったとのことです。円安が影響していると思われます。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■今年は未曾有の選挙の年:
先月のブログでも触れましたが、今年は世界で70以上の重要な選挙が実施される史上最大規模の選挙イヤーです。本年は後世に於いて「あの年が歴史の転換点だったなあ」と言われるような気がします。
多数の選挙の中でも、我が国の今後に大きく影響するのが、明日13日に行われる台湾総統選挙と、11月5日が投票日の米国大統領選挙です。
台湾総統選挙は独立性と対米関係を重視する民進党・頼清徳氏と、中国との融和を目指す国民党・侯友宜氏が激しく競り合っており、結果は予断を許しません。もし民進党が勝利すれば中国は一段と軍事的圧力を強めます。逆に国民党が勝てば強硬策に代わり懐柔策をとると思われます。
また、米国の大統領選挙でトランプ氏が返り咲くと、我が国のみならず世界情勢は大きく変わります。共和党の大統領候補を決める予備選は、1月15日(月)のアイオワ・コーカス(州党員集会)から本格的にスタートし、7月15日(月)~18日(木)の全国党大会で決定されます。この選挙戦で私の最大の関心事は、反トランプ派がヘイリー元国連大使に一本化できるかどうかです。
一方、民主党の方は現職のバイデン大統領以外の候補者はいないようです。
台湾、米国以外でも今年は、ロシア大統領選(3月17日)、インドネシア大統領選(2月14日)、韓国総選挙(4月10日)、インド総選挙(5月までに実施)、メキシコ大統領戦(6月2日)、欧州議会選(6月6~9日)があります。いずれの選挙も大きな意味を持ちます。 

■今年の10大リスク:
世界の政治リスク専門コンサルティング会社として知られるユーラシア・グループは毎年年頭にその年の10大リスクを公表しています。それによると、本年の1位は「米国の分断」、2位は「瀬戸際の中東」、3位は「ウクライナの事実上の割譲」、4位は「AIのガバナンスの欠如」、5位は「ならず者国家の枢軸」、6位は「経済回復できない中国」となっています。極めて常識的、かつ納得のいく指摘です。
因みに昨年の1位は「ならず者国家ロシア」、2位は「『絶対的権力者』習近平」でした。この1年間に世界情勢が大きく変化したこと、そして新たに「チャットGPT」といった新たなAIが登場(2022年11月公開)しています。本年の10大リスクはこの1年間にますます複雑化、そして不透明感を強める世界情勢を象徴しています。 

■今年の世界経済の見通しについて:
世界銀行は9日、世界経済の成長率見通しを公表しました。それによると2024年は+2.4%と前年の+2.6%から低下し、3年連続で減速を見込んでいます。根強いインフレ率に対応した金利水準が需要を押し下げるとしています。特に中国は不動産市況の落ち込みなどを反映し、成長率を2023年(5.2%)、2024年(4.5%)と下方修正しています。また、軍を対象とした「反腐敗」闘争も続いているようです。
このような中国経済の低迷を反映し、世界貿易の伸びは2024年は2.4%に止まるとしています。また、原油価格も産油国(OPECプラス)の協調減産にも関わらず下落が続いています。ただ原油価格は中東情勢に大きく左右されることから「油断大敵」です。 

■日本経済の動向:
日経平均株価は一時35,000円の大台に乗り34年ぶりの高値を更新し、一部にはバブル経済の最高値(1989年12月29日、38,915円)を超すとの期待もあります。円安の恩恵を受け企業業績が好調なことと、外国人投資家の買い越し、それに1月1日から新NISAがスタートし、「貯蓄から投資」への流れから株式市場に資金が流入していることが挙げられます。特に外国人投資家は東証が打ち出した「PBR(株価純資産倍率)を1以上に」という指針に従い、日本企業経営者が株価を意識した経営に転じたと受け止めたようです。ただ外国人投資家は短期的な売買に重点を置くことから乱高下の要因ともなります。
一方、実体経済は昨年11月の実質賃金は20ヵ月、消費支出も9ヵ月連続マイナスといった状況です。今後の本格的な景気回復は為替と賃上げ動向次第です。春闘では大企業は好業績を背景に賃上げが5%を超えることが期待されています。しかし問題は約370万社とされる日本の企業数の99.7%、そして就業者数の約7割を占め、しかもその6割強が法人税を納めていないという、厳しい経営状態にある中小企業の賃上げがどうなるかです。

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