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2024年03月22日

ちょっと気になる記事・話題(129)

この一週間ほどはスポーツの話題が豊富でした。
まずはプロ野球、ロサンゼルス・ドジャースの大谷選手、結婚おめでとう! この結婚にがっかりし涙する女性も少なからずいるのではないでしょうか。なお、メジャーの超人気プレイヤーといっても、本質的には肉体労働者。そういう点からすると体がすべてです。生活が乱れると途端に成績は落ち、選手寿命も縮まります。よき伴侶を得て何より。今後の活躍を期待しています。ただ、信頼していた相棒に裏切られたことは本人にとって大変なショックだったことでしょう。
次は競泳の女子100mバタフライでパリ・オリンピック代表の内定を決めた池江璃花子選手。2019年に白血病と診断され、10カ月の療養生活を経て見事復帰し、念願の個人種目で3大会連続の五輪への切符を手にしました。闘病中の人々にも大変な勇気と希望をもたらしています。その不屈の精神力に心から敬意と声援を送ります。
そして次は大相撲で番付が東前頭17枚目(平幕最下位)の尊富士(たけるふじ)の活躍です。11日目まで11連勝と大鵬の記録に並びました。昨日は大関・豊昇龍に敗れ惜しくも記録更新はなりませんでしたが、優勝の可能性は十分あります。これまで劇的なデビューをしながら消えていった力士は大勢います。尊富士はスピード感のある堂々たる取り口です。是非とも大成してほしいと期待しています。
プロのスポーツ、特に個人競技ほど厳しく冷酷な世界はないと思います。私は長年企業経営に携わってきましたが、企業の場合は経営者に弱点があっても組織力でカバーできます。しかしスポーツの場合は衆人の目前で結果は一目瞭然、「親の七光り」で支えるようなごまかしは通用しません。このプレッシャーを乗り越えるのは、類まれな素質・才能に加え、人並み外れた努力と克己心の持ち主だけです。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■3月8日は国連が定めた「国際女性デー」:
我が国における女性の社会進出の現状は、女性の力が十分に発揮されているとはとても言えません。「指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」との目標を、日本政府が最初に掲げたのは2003年でした。当時は「2020年までに」としていましたが、他国が格差是正への取り組みを進める中で、我が国は遅々として進んでいません。そのため2023年のジェンダーギャップ指数は146ヵ国中125位と過去最低に後退し、G7では最下位となりました。特に遅れが目立つのが政治分野です。日本の国会議員(衆院)の女性比率は約10%で、世界186ヵ国中165位でした。G7諸国では米国が29%ですが他の国々は3割を超えています。経済分野ではOECDのデータによると、我が国の女性(25~54歳)の労働参加率は81%(2021年)と2010年比で9ポイント上昇し、米国の75%を上回りました。ところが日本女性の53%が低収入の非正規で、男性の同比率22%を大きく上回っています。そしてフルタイム労働者の男女賃金格差は約21%で、OECDの平均値約12%を大きく上回ります。また、厚労省の調査では女性の管理職比率は12.7%(2022年度)と低い水準にとどまっています。小規模企業が21%に対し大企業は1割を下回っています。因みにスウェーデンや米国では4割を超えています。
日本の社会は「Z世代」は異なるかも知れませんが、中高年世代の根底には未だ「男は仕事、女は子育て」という思想があるように思います。この点が我が国の年金制度に制度疲労を生じさせているのです(第3号被保険者制度)。つまり官民とも「日本の常識は世界の非常識」という状態から抜け切れていません。これが我が国の多様性を妨げ、今日の我が国の地盤沈下をもたらした大きな要因の一つです。今や我が国は先進7ヵ国の中で例外的存在となっています。変革への道は並大抵のことではありません。同一労働・同一賃金の導入や、ジェンダーに関係なく本人の資質、職務への適性で判断する人事や、職場環境の整備等、ファンダメンタルズの整備が必要です。そして女性自身の意識改革が必要なことはいうまでもありません。 

■北陸新幹線、金沢-敦賀間開業:
2012年から建設が進められていた北陸新幹線の金沢から敦賀への延伸工事(125km)がようやく完成し、3月16日開業しました。これで北陸3県が新幹線で結ばれたことになります。
私は2011年から6年間、関西経済連合会の「リニア・北陸新幹線の大阪早期接続」を目指す、特別委員会の委員長を務めました。その間何度か敦賀への早期延伸を目指す決起大会に出席し、芦原温泉の女将さんたちの「着工遅れは死活問題や」という切実な訴えに呼応し、一緒にシュプレヒコールをしたことを懐かしく思い出します。この度の開業は私にとっても感慨深いものがあります。
なお、東京―敦賀間を直通する「かがやき」と「はくたか」は1日計14往復することになっており(所要時間3時間8分)、東京駅―福井駅間はこれまでより36分、敦賀駅間は50分短縮されます。一方、これまで大阪-金沢を「雷鳥」時代を含め、60年間走行していた在来線特急「サンダーバード」は3月15日を以て、敦賀以北から姿を消します。そのため大阪から金沢に行くには敦賀駅で北陸新幹線に乗り変えることになり少し不便になります。所要時間は最速で2時間9分(22分短縮)となります。
日本政策投資銀行では金沢(石川県)―敦賀(福井県)延伸により、両県合わせて年間588億円の経済効果があるとしています。
そして今後はいよいよ敦賀駅から新大阪までの延伸です。南海トラフ地震の発生が危惧される中、東京と大阪を結ぶ新幹線の複線化は重要です。走行ルートについては敦賀・小浜・京都(湖西ルート)か、米原ルートか長年議論が重ねられてきましたが、私が特別委員会委員長を務めていた2016年に「小浜・京都ルート」で決着しました。その際の想定では2031年着工、2047年大阪開業でした。ところが自然破壊への懸念から一部地域で反対運動が起きており、目下のところ着工時期すら決まっていません。今の状況では北陸の関西離れが一段と進むことが懸念されます。
北陸新幹線は1973年に整備計画が策定されました。起点は東京、最終地は大阪です。運行は東京-上越妙高(新潟県)間をJR東日本、上越妙高―敦賀間をJR西が担います。これまでを振り返りますと、1997年(長野冬季五輪の前年)に東京-長野間が「長野新幹線」として先行開業し、その後2015年に長野-金沢間が開業しました。それから9年の歳月を経て、敦賀まで接続されたことになり、東京から起算しますと何と51年を要したことになります。そして2016年の想定通りいったとしても、大阪への接続は今から22年先の2046年。ますます東京一極集中が進むと同時に、災害に対して極めて脆弱な国の形が続きます。その上、工事が長引いたり遅れたりすればするほど建設資金はどんどん膨張します。これではとても中国のスピードに太刀打ちできません。

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