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2024年05月10日

ちょっと気になる記事・話題(135)

先週金曜日(5月3日)は憲法記念日でブログも休刊しましたので、二週間ぶりの配信です。その間の5月1日(水)は八十八夜でした。この日は春がスタートする立春(節分の翌日、即ち本年は2月4日)から数えて「八十八の夜」が過ぎた、88日目の日のことです。はるか昔、小学生のころ学校で合唱した「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか あかねだすきに菅(スゲ)の笠」(二番省略)を、しみじみと思い出します。この唱歌は1912年(明治45年)に刊行され、2007年(平成17年に「日本の歌百選」に選ばれました。いにしえの我が国の原風景が彷彿として目に浮かんできます。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■盛り上がりを欠く関西・大阪万博:
我が国初の東京オリンピックが開催されたのは今から60年前の1964年。そして二回目は3年前の2021年でした。一方、第一回目の関西・大阪万博は1970年に千里丘陵で開催されました。そして2回目が55年目となる来年4~10月、大阪・夢洲にて開催されます。先日ふと思いついて我が家のチャットGPT的存在であるAlexaに、第一回目の五輪並びに万博のテーマソングであった「東京五輪音頭」と、「世界の国からこんにちは」をリクエストしました。すると即座に、当時の人気歌手であった三波春夫の底抜けに明るい歌声が飛び込んできました。その元気な歌を聞いているとなつかしくて思わず涙が出そうになりました。当時の日本は戦争による廃墟の中から立ち上がり、「坂の上の雲」を目指すような高度経済成長期にあり活気に満ちていました。来年の万博は熱気というか盛り上がりに欠けているとされています。その背景に前回と今回の時代の温度差があるように思います。当時と比べ現在は国際化やハイテク化が格段に進み、日常的に国内外の情報が行き交っていることや、何でも一応揃っている成熟社会であることから、好奇心を呼び覚ますようなエキサイティングなものが見当たらず、人々は何事にもしらけ気味です。因みに1970年の訪日外国人(インバウンド)客数は85万人でした。それがコロナ禍前の2019年には40倍近い3188万人に達しました。今や外国人は巷に溢れかえっており珍しくもありません。また第一回開催時は宇宙開発の黎明期にあり、前年にアポロ宇宙船が持ち帰った「月の石」が約6400万人の来場者数を呼び込む原動力となりました。来年の万博は2820万人(うちインバウンド350万人)を目標としていますが、肝心の開催のコンセプト(趣旨・目的)が明確に伝わっていないことに加え、「月の石」や愛知万博の時の「マンモスの化石」に匹敵するような、来場者を引き付けるというかインパクトのあるものが見当たりません。成功には何かサプライズ(隠し玉)がほしいものです。

■選挙イヤーも後半戦:
今年は世界的に選挙イヤーといわれており、既に台湾総統選、ロシア大統領選、インドネシア大統領選、韓国総選挙が終わり、インドでは総選挙が進行中です。さらに6月にはメキシコ大統領選(6月2日)、欧州議会選(6月6~9日)があります。
そして選挙イヤーも後半戦に入ります。我が国でも衆議院の解散が6月23日の通常国会会期末、或いは本年9月末の自民党総裁任期切れのタイミングか、その時期に解散がなくても最終的には来年10月の衆議院議員任期(4年)切れまでには選挙が行われます。支持率を気にするか否かに関わらず、かつては「バカヤロー解散」(吉田茂首相)、「やぶれかぶれ解散」(野田首相)と揶揄される解散もあったわけですから一寸先はヤミです。
そして選挙イヤー後半戦で何といっても気になるのが、11月6日(日本時間)投票日の米大統領選挙の行方です。米国では各州に与えられた選挙人の獲得を争うことになります。ほとんどの州が一票でも多い方が全選挙人を獲得、つまり「勝者総取り」となるため、例え全米全州での総獲得票数が上回っても、選挙人数で下回れば負けです。そのため人口が少なく票がどちらに流れるか分からない州(Swing States)の帰趨が大きく影響します。一般国民はウクライナやイスラエル・ハマスの問題より、中南米から流れ込む不法移民による社会不安や、中国からの安値輸入品に職を奪われたとか、物価高への不満、中絶の権利といった身近な問題への関心が強いのです。これが日本を含む外国からみると、「何であんな人物が支持されるのか」という選挙情勢をもたらしています。 今回の大統領選挙は事実上決定している民主・共和双方の指名候補のいずれにも投票したくない有権者が多いようです。そういった中で有権者の約17%を占め、約4000万人の人口を擁するZ世代(1990年代半ば以降生まれ)と称せられる若年層の投票行動が勝敗を左右するとされています。

■一段と進む少子高齢化:
5月5日は「子どもの日」。総務省がその前日に発表した人口推計から算出した子どもの数によると、15歳未満(子ども)の男女は本年4月1日現在で前年より33万人少ない1410万人となりました。43年連続で減少し、比較可能な1950年以降の最少記録を更新しました。総人口に占める比率は1950年代には1/3を超えていましたが。今回0.2ポイント低下し11.3%となり過去最低となりました。因みに国連人口統計年鑑によると、推計時点は異なりますが、人口4000万人以上の37ヵ国のうち、比率が日本を下回るのは韓国だけです。そのほかの国ではドイツは16.8%、中国が17.7%、インドが24.9%となっており、日本の子どもの少なさが際立っています。
一方、65歳以上の割合(高齢化率)は29.2%に達しました。この比率は1950年には4.9%でした。一段と少子高齢化が進む我が国の実情を反映しています。一般的に高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」とされています。この点からすると我が国は世界で突出した「超高齢社会」なのです。
なお、長寿化自体はすばらしいことであり、古来我が国では「還暦・古希・喜寿・傘寿・米寿・卒寿・白寿・百寿・・・」と節目の年齢を超えるごとに祝ってきました。しかし今後は莫大な債務を抱える国家財政や、若年層への負担が一段と高まること等を勘案すると、「明るく楽しい老後」を政府や社会に求めることは厳しいといわざるを得ません。こういった現状認識が「貯蓄から投資」を目指す新NISAが、若い人たちを呼び込んでいるように思います。この傾向自体はよいことですが、一方では節約志向となり消費低迷の一因になっています。
今後、政府は外国人労働者へ分野開放を一段と進めるとともに、ポピュリズムに流されることなく、企業の解雇権の裁量拡大や、リスキリング制度の充実等、労働市場の流動化・活性化を図ることが求められます。同時にポピュリズムを避け、制度疲労が生じている社会保障制度や税制の改革が必要です。

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