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2024年05月17日

ちょっと気になる記事・話題(136)

早いものでも5月も中旬になりました。関西では天候不順が続き、寒暖差の大きい日が多かったせいか、久しぶりに風邪をひきました。初期症状では熱はなかったのですが喉が痛く何となくダルさを感じました。寝込むほどではなかったのですが声が出にくくなったため、掛かりつけの医者に行きました。念のため受けたPCR検査は陰性でしたが、喉が炎症を起こしているとの診断でした。処方してもらった抗生物質と風邪薬を3~4日服用したところ、今ではすっかりよくなりました。改めてクスリの効用を実感した次第です。その後同じような症状を患った人が多いことを知りました。皆様方も十分お気をつけください。
なお、最近は若者の間で風邪薬や咳止めなど、市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)が社会問題になっているようです。「クスリ」を逆から読むと「リスク」となることを自覚し、医師や薬剤師の指示に従い正しい服用が必要です。

■元住友金属工業㈱会長・元関西経済連合会会長 新宮康男様を偲ぶ:
住友金属工業㈱(現日本製鉄㈱)の元・会長、そして関西経済連合会会長や関西経済同友会代表幹事をはじめ、数多くの要職・重責を務められた新宮康男様が去る5月10日ご逝去されました(98歳)。そのご経歴・ご功績については既に新聞等で詳しく報道されていますので省かせていただき、ここでは私がこれまで40年近く賜ったご高誼を通じ、印象に残るお人柄について触れさせていただきます。
私が40歳の時、ニューヨークから大阪にもどり転職した企業(前職)にとって、住金さんは最大の得意先でした。そしてそのトップの地位にあり、しかも関西経済界の重鎮で、年齢的にも17歳年上の新宮さんは、私にとっては「雲の上の人」のような存在でした。仕事でお世話になっている立場上、時にはお会いする機会がありましたが、新宮さんはお酒は嗜まれませんし、新参者の私はどのように接したらよいか戸惑いました。そうこうしているうちに私がマージャンが好きなことを、どこからお聞きになられたか分かりませんが、ある日「辻君、マージャンをやろや」というお声が掛かりました。正に「芸は身を扶(たす)く」でした。最初は緊張していた私に「辻君、遠慮はいらんで」と気配りされる等、身近で接すると心温かく相手の目線に合わせて話をされる方でした。勝負事は性格が表に出ますが、新宮さんは押しが強く非常に強気な雀風でした。1997年に関経連のアジア諸国訪問に随行した際も行く先々でお手合わせしたことや、軽井沢や沖縄等でご一緒したことを懐かしく思い出します。軍隊経験については詳しくお聞きしませんでしたが、マージャンのさなか「褒めて採られる兵隊検査」というようなジョークや、合間にツイートされる言葉の端々から、その時々の世情に対する新宮さんの見方・考え方を随分学ばせていただきました。「たかがマージャン、されどマージャン」です。おそらく新宮さんはあの世でも、先に逝った雀友とさっそく卓を囲んでおられることでしょう。
合理主義的な考えの若い世代にも、以上から何かを学んでいただければと思います。
また、新宮さんは大変几帳面なご性格で、軍隊時代に軍服等を背嚢に隙間なく収納する習慣を身に着けられたせいか、ゴルフ後の衣服をきっちりとたたんでバッグに収められる姿が印象に残っています。そして記憶力・洞察力・数字に強い方でした。なお、私の知る限り読書はあまりされず、もっぱら耳学でおられたように思います。それだけに分け隔てなく人と接することがお好きで、休日は奥様のショッピングに付き合われ、世の中の動きを感知するのが日常のようでした。
こういったお人柄で「村の長(おさ)」のような存在でしたので、関西経済界が直面する様々な問題について調整役を見事に果たされました。なかでも関西空港の2期事業の実現に尽力された結果、2007年8月には2本目の滑走路の供用が始まりました。そして今日、同空港は24時間運用が可能な民間空港として、インバウンド客の増加(2019年は約1680万人)にも十分対応し、関西経済の発展にとってなくてはならない柱となっております。
このように新宮さんとの出会いは私の人生に大きな財産として残っています。ここ数年、コロナ禍に加えご高齢ということもあり、お会いする機会がなかったのが誠に残念です。改めて永年賜ったご厚情に心よりお礼を申し上げますとともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。   合 掌!

■世界的に観られる異常気象:

このところ「異常なのが正常」と思われるくらい、異常気象が世界各地で発生し大きな影響が出ています。東南アジア諸国では熱波が猛威をふるっているようで、同地域の主要各都市の平均気温は軒並み平年値を超え、フィリピン・マニラでは4月末としては1915年以来最高の38.8度に達しました。また、ベトナムやカンボジアでも40度を超える記録的猛暑に見舞われ、さらにミャンマーでは中部で48.2度を記録し、4月の気温としては同国史上最高を更新しました。このため各地で電力不足や農業生産を始め経済に大きな影響が出始めているようです。
この気温上昇は気候変動と、南米ペルー沖の海面水温が高くなるエルニーニョ現象が重なって引き起こされたとされています。この影響による少雨が水不足をもたらし、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の運行にも支障を来しています(通航量は20%以上減)。海運は世界貿易の8割以上を担っています。パナマ運河のう回路となるはずのスエズ運河と紅海も、昨年12月から商船へのイスラム過激組織フーシ派の攻撃が激化しており、多くの船は喜望峰を回るようにしています。そのため米国東海岸やメキシコから日本に向かうには、パナマ運河経由だと約30日のところが喜望峰経由だと、約50日掛かる上に運賃が高騰しています。
なお、地球温暖化に伴い北極海の海氷が減少していることから、もう一つの国際航路として浮上した同航路は、現在西側から経済制裁を受けている沿岸国ロシアの管轄下あります。そして米国はもとより、中国も北極海に近接している「北極近接国」として権益獲得に乗り出しています。以上のことからまだ政治的、経済的に未解決な問題があり、北極海が本格的な国際輸送ルートとして活用には時間がかかりそうです。
いずれにせよ地政学的リスクに加え、気候変動がもたらした異常気象は円滑なサプライチェーンを阻害し、世界貿易に打撃を与えるとともにインフレを引き起こす火種となっています。我が国にとっても大きなリスク要因であり注意深く見守る必要があります。

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