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2024年05月24日

ちょっと気になる記事・話題(137)

21日、気象庁は沖縄と奄美が梅雨入りしたと見られると発表しました。平年と比べ沖縄は11日、奄美は9日遅い梅雨入りです。本州付近はもう少し先のようですが、この先じめじめした日が続きそうです。お互いに体調に気を付けましょう。
■■最近想ったこと・注目したこと:
■「直撃!ニッポン塾」に出席:
今週の水曜日、長年の親しい間柄である政治解説者・篠原文也氏が主宰する、「直撃!ニッポン塾」の月例昼食セミナーに出席しました。この塾は開講以来今年で13年になりますが、私は当初からのメンバーです。毎回、主として政治家や経済人を招いて30分ほど卓話をしていただき、後は篠原氏との対談、そして参加者との質疑応答です。私はこのセミナーには可能な限り出席しています。
これまで一番印象に残っているのは2014年5月28日のJR東海㈱葛西・代表取締役名誉会長(2022年5月ご逝去)との質疑応答です。私は当時、関西経済連合会の「国土・広域基盤委員会 リニア・北陸新幹線担当委員長」を務めていました。
リニア中央新幹線は民間企業であるJR東海が推進するプロジェクトです。当初計画では東京―大阪を67分で結び、開業時期は東京―名古屋間は2027年、そして名古屋から奈良経由、大阪への延伸はその18年後の2045年となっていました。これに対し関経連は、東京-名古屋-大阪の同時開業の必要性を強く主張していました。当日、私もこの点を葛西名誉会長に直接要請しました。この時の質疑応答が私にとって、その後の政府並びに関係省庁との折衝の重要な手掛かりとなりました。そして2016年6月に、当時の安倍総理のご決断による3兆円の財政投融資に結び付きました。東京-名古屋―大阪の同時開業は実現できませんでしたが、大阪への接続が当初計画より8年繰り上がり2037年となりました。ただ、目下、他の要因によりこのスケジュールに大きな狂いが生じているのは誠に残念なことです。
ちなみに今週のセミナーのゲストは遠藤利明・自民党前総務会長で、最近の政治情勢について話されました。私は岸田政権について感想を訊かれたので次の通りコメントしました。
『岸田総理は大変よくやっていただいていると思う。しかし花がないというか、パーフォーマンスが足りないのか、それがあまり伝わっていないように感じる。そして一つ一つの政策が、例えば定額減税や少子化対策のように対症療法に止まっている印象。一方、国の在り方の根幹をなす重要な案件、例えば憲法改正、防衛力、危機的な財政、我が国のエネルギー政策にとって不可欠な原子力発電の増強、社会保障等についての本格的な議論は先送りされている。ともかく政策実行のためには選挙に勝たねばならない。故安倍首相は選挙で連戦連勝したことが求心力に繋がった。ところが岸田政権の支持率は低迷しており、現状では次の選挙での勝利は極めて厳しい。こういった閉塞感が国民の将来不安につながっているように思う』。

■A社の社外取締役を辞するにあたっての挨拶:
私は4年間を前提にお引き受けしたA社(東証プライム上場)の社外取締役を、本年6月の株主総会を以て退きます。先日、最後の取締役会に出席した際、下記の辞任の挨拶をしました。ご参考までに記します。
『本年の株主総会をもって当社の社外取締役を退任させていただくに当たり、一言お礼を申し上げます。
振り返りますと私が当社の社外取締役に就任いたしましたのは、今から4年前の2020年6月の株主総会でした。当時はコロナの感染拡大が深刻な問題となり、4月には全国的に緊急事態宣言が発令されました。結果的には昨年5月の5類への緩和まで3年以上、国内外ともパンデミックに脅かされることになりました。また2年前にはロシアがウクライナに侵攻し原油価格や食料品価格の高騰が世界的なインフレをもたらしました。そしてロシアに対する制裁が契機となり世界経済は分断への道を歩むことになりました。こういった地政学的リスクに対して国連やWTOは機能不全に陥り、グローバル化により順調な発展を遂げてきた世界経済は大きな転換期を迎えています。
また、国内ではコロナ問題や激動する世界情勢に加え、8年間続いた安倍政権が2020年9月に終わり、後継の菅政権は1年1ヵ月の短命に終わりました。そして後を引き継いだ岸田内閣は一昨年7月の安倍首相暗殺事件や、統一教会問題、さらに最近は政治資金の裏金問題に振り回され、内閣支持率は20%台に低迷し政府はまさに漂流状態に陥っています。経済も失われた30年からなかなか抜け出せず、ようやく最近は160円に近い円安効果もあり、企業業績の好調と、株価上昇や賃上げの動きをもたらしています。しかしこれがサステナブルなものかどうかは未知数です。このように企業活動を巡る環境は国内外とも不透明な状態が続いています。
(中略)
このように僅か4年間とは申せ激動の4年間でした。今後も企業経営を取り巻く環境は極めて厳しく「一寸先はヤミ」のような状態が見込まれます。そして東証のPBRやROE等数値面のチェックや、政策保有株解消への動き、M&Aへの備え、アクティビスト対策や増大するIRの重要性、それに持続的な賃上げといった経済的側面に加え、ジェンダーギャップの是正、雇用の延長、さらに環境問題や育児や介護といった社会的側面への企業の責任がますます強まります。
その一方、国内では少子高齢化が一段と進み、国内需要の大きな伸びは期待薄です。こういった事態に対処するには企業は何としても利益を上げねばなりません。さもなければ生き残れません。しかも誰も助けてくれないのです。従ってヒト・モノ・カネという経営資源をフルに活かし、自らの手で活路を見出す以外にありません。
当社はこの厳しい4年間、概ね順調な業績を上げてこられました。全社員並びに経営執行部のご精励に心から敬意を表します。サービス産業は組織を構成する社員一人一人の心の持ち方が業績を大きく左右します。私は前職時代いつも「明るく、楽しく、のびのびと、風通しのよい組織づくりを目指せ」と言い続けました。今もその考えはいささかも変わりません。自由闊達な組織であることが何より大事だと信じています。
(中略)
結びに当社が今後とも、客観情勢の変化に順応されますます発展されること、並びに皆様方のご健勝・ご多幸を心より祈念申し上げ、私の退任にあたっての挨拶とさせていただきます。4年間本当にありがとうございました。

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