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2024年06月14日

「ちょっと気になる記事・話題」(140)

6月中旬になりアジサイ(紫陽花)と、時たま見かけるジャカランダが美しい季節です。
近畿地方の梅雨入りは平年6月6日とされていますが、目下のところ大幅に遅れ暑い晴れの日が続いています。
さて、コーヒー豆が天候不良による不作と、アジア圏の需要拡大、それに円安が追い打ちをかけ、コーヒーチェーンやコンビニ、それにインスタントコーヒーまで値上がりしています。その他の食品も値上がりが目立ち、駅弁も最近は1000円以下はあまり見かけません。主因の一つ、「円安」について一般消費者を対象にしたアンケートによると、9割が「望ましくない」とし、理由として「食品の値上がり」を挙げています。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■M&A、MBO、TOBについて:
最近、我が国でもM&A-Merger and Acquisition(合併・買収)、MBO-Management Buyout(経営陣による自社買収)、TOB-Takeover Bid(株式公開買付)といった言葉を頻繁かつ身近で聞くようになりました。目下、その渦中にある方々もおられると思います。
これらの企業戦略は、既に米国では私がニューヨークにて勤務していた1980年前後、経済専門紙Wall Street Journalを見開きしますと、毎日のように目にしました。同時にWhite Knight(直訳では「白馬の騎士」、買収防衛策の一つ)、Poison Pill(同「毒薬条項」、敵対的買収に対する防衛策)も日常的なビジネス用語でした。
一方、我が国では最近まで買収(M&A)という言葉には「乗っ取る」というようなイメージがありました。ところが米国ではずっと以前から、特に株式上場企業は常にM&A、つまり「売り買い」の対象であり、重要な企業経営戦略です。これにより米国の資本主義市場経済はダイナミズムをキープし、企業の新陳代謝が進んだのです。
なお、我が国では企業全体、もしくは一部門、或いは子会社を売却するといった事業戦略、いわば「断捨離」は最近まで一般的ではありませんでした。これが日本企業の低い利益率とゾンビ企業の増加を招いたと言えます。そして経営者は安定株主としてのメインバンクや取引先との「株式持合い」(政策保有)にあぐらをかき、緊張感を欠く保身的な経営を続けてきたのが実態です。
ところがこういった日本的経営から脱皮するきっかけというか、黒船の来襲のようなことになったのが、①10年前に金融庁が策定した「日本版スチュワードシップ・コード」と、②東証が3年前に定めた、「コーポレートガバナンスコード」、③同じく東証が昨年3月公表した、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」、それに、④経産省が昨年8月策定した「企業買収における行動指針」です。
これらの施策により、国内外の「物言う株主」(アクティビスト)が次から次へと表舞台に現われ、株主提案もどんどん増えています。今や株主総会は、以前のように「質問が一つもなかった」ことに安堵しているようでは時代遅れで、株主と経営側が真剣に企業価値の向上を目指して意見交換する場に変わりつつあります。また変えていかなければなりません。この変化が米国をはじめとする海外市場と比べ、はるかかに出遅れていた日本の株式市場の活性化と、株価上昇をもたらしたことは間違いありません。

■気候変動、ラニーニャ現象の可能性
世界気象機関(WMO)は今月5日、2024~2028年の平均気温は産業革命時(18世紀後半から19世紀前半)より1.1~1.9度高くなるとの報告書を発表しました。温暖化の影響は北極周辺のオホーツクやベーリング海でも海氷の減少が進むとしています。2015年に採択された温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温を産業革命前と比べて「1.5度」以内に抑える目標を掲げています。国連のグテーレス事務総長は「気象変動は危機的状態。今こそ行動を起こし結果を出す時」と警告しています。
同時にWMOは2023年春から続いた「エルニーニョ現象」が終息し、夏以降は「ラニーニャ現象」に移行する可能性が高いとしています。この現象では南米ペルー沖の海面水温が平年より低くなります。そして小麦やトウモロコシ、大豆、など主食向け穀物の収穫に影響を及ぼす傾向が指摘されています。これらに加え小麦の輸出国ロシアで発生した霜害も穀物供給をおびやかします。一方、原油市場はこのところ落ち着いていますが、気候変動がこれからのキーワードとなります。

■受け入れ病院が逼迫し、心臓移植を断念したケースが発生:
報道によると脳死者から提供された心臓の受け入れを断念した事例が2023年に計16件あったとのこと。複数の臓器受け入れ要請があるなどして移植手術の実施態勢が整わなかったことが原因とされています。そして移植の機会が見送られた患者16人のうち6人は、今なお移植を受けられず待機中とのことです。
実は私は今から18年前、心臓が何らかの原因でウイルスに侵され、4つの弁膜のうち左側の2つの弁―僧帽弁と大動脈弁が機能不全、つまり弁の開け閉めが出来ないため、血液を前に送れず逆流する病気に罹りました。そのままでは確実に死に至る状態でした。そのため観音開きのように開胸し、心臓を仮死状態にして人工心肺によって生命を維持しながら、機能不全になった2枚の弁膜をチタン製の人工弁に置換する手術を受けました。45日間の入院生活でしたが、その間リハビリにも一生懸命取り組みました。おかげで今も全く異常を感じることなく、ゴルフや酒も嗜み普通の人と変わらぬ日常生活を過ごしています。近代医学と執刀していただいた名医に感謝の念を忘れることはありません。
なお、入院していた病院内に磨(す)りガラスで仕切られたスペースがありました。そこは心臓移植を待つ患者さんの病棟と聞きました。人工心臓を装着しながら提供者が現れるのを待つのです。病院関係者から「皆さん(他人の死を待つのですから)複雑な思いのようです」といったことを聞きました。日本臓器移植ネットワーク(JOT)によると、5月末現在、心臓移植を待つ患者は842人いるとのことです。我が国は欧米諸国と比べ臓器提供者が少ないとされ、移植を受けられる機会が限られています。せっかく提供された臓器が適切かつ有効活用されるよう、移植に携わる人材を育成するとともに、移植施設を増やしてもらいたいものです。

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