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2024年06月21日

ちょっと気になる記事・話題(141)

日本郵便は10月1日から手紙や葉書の郵便料金を約3割値上げします。葉書は63円→85円、封書(25g以下の定形郵便)が84円→110円となります。消費税を除く一斉値上げは、1994年以来30年ぶりのことです。郵便物は2001年度の262億通をピークとして減り続け2022年度は約144億通、率にして約45%減少しています。今後もメールやSNSへの移行が進み、郵便物は2028年度には115億通に落ち込むと予想されています。ゆうパックも苦戦しているようです。郵便はユニバーサルサービスで、全国どこでも同じ料金で郵便物を届けることが決められています。この制度を維持することは年々難しくなりつつありますが、現在全国に約2.4万局の郵便局と約17.5万本のポストがあり、郵便や貯金など重要な生活インフラとなっています。今回の値上げによる赤字補填効果も一時的と考えざるを得ません。
話題は変わりますが、「2023年度版・水産白書」によると、2022年度における日本人の食用魚介類の1人当たり消費量は過去最低の22.0kgでした。2001年度の40.2kgをピークにほぼ半減しています。一方、肉類は増加傾向にあります(34.0kg)。肉類に比し魚介類をあまり購入しない理由(複数回答)として、①肉類を家族が求める(45.9%)、②魚介類は価格が高い(42.1%、)、③調理が面倒(38.0%)といったことが挙げられています。
私などは居酒屋でバイ貝を爪楊枝で完全な姿でほじくり出し、日本酒を飲むのが大好きです。ゲソの塩焼きもいいですね。なお、私は魚介類も肉類も大好きな人間です。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■国際機関による本年の「世界経済見通し」:
世界銀行はこのほど2024年の世界全体の経済成長率(実質)が、2.6%になるとの見通しを発表しました。前回(1月時点)の予測から0.2ポイントの上方修正です。内訳は米国が2.5%、中国が4.8%、ユーロ圏ならびに日本は0.7%としています。
米国経済はやや陰りが出てきているようですが、依然としてハイテク企業がけん引する形で底堅く推移しています。
また、低所得国の本年経済成長見通しは5.0%とし、前回の予測から0.5ポイント引き下げました。その要因として公的債務の返済で財政余力が乏しい中、紛争の拡大などが重荷になっているとしています。
今後の世界経済の足かせとなるのが国家債務の増加です。国際金融協会(IIF)の集計によると、3月末時点の残高は315超ドル(約4兆8000億円)と、過去最大レベルに達しています。新興国や米国、日本における債務増加が全体を押し上げています。ADB(アジア開発銀行)によると、特に途上国では米欧の利上げが続いたことによる金利上昇で、債務負担が膨張しています。
そして世界経済の最大の攪乱要因は中国です。相変わらず同国GDPの約3割を占める住宅業界は販売不振に喘いでいます。景気を支えているのはもっぱら国から手厚い支援を受けている国営企業で、民間企業は厳しい状態にあります。国内需要は落ち込んでいるにも関わらず鉄鋼製品やEVを増産し、欧米からの批判にもお構いなしでデフレ輸出を拡大しています。今や中国からの車の輸出台数は日本を上回っており、今後更に欧米の高関税により、行き場を失ったEVの販路を拡大すると思われます。中でもアジア地域は日本のメーカ―がこれまで圧倒的シェアを維持してきましたが、我が国はEVについては中国に大きく遅れを取っています。車は我が国にとって稼ぎ頭の製品ですが先行きが懸念されます。因みに三菱自動車は中国から撤退し、スズキ、スバルはタイから撤退しました。いずれも中国勢の安値攻勢によるものです。
世界銀行による我が国の経済見通しは、昨年の成長率は1.9%でしたが、今年は前回から0.2ポイント下方修正し0.7%としています。インバウンド需要が安定的に推移する一方、内需の低迷や輸出の鈍化が指摘されています。因みに実質賃金は4月まで25カ月減少が続いています。なお、岸田政権肝入りの特別減税の効果については触れられていません。
■混沌とする世界情勢:
欧州議会選挙でフランスの与党連合は極右政党「国民連合」に大差で敗れました。この結果をみてロシアのプーチンは「国民を犠牲にしてウクライナを支援したから負けたんだ」とあざ笑いました。ドイツでも9月に行われる州議会選挙で極右政党が議席を伸ばすとの見方が出ています。このように欧州各国では移民問題を争点に極右の台頭が著しくなっており、ウクライナ支援ついても大きな影響が懸念されます。
そういった中、6月13~15日、イタリアで先進7カ国首脳会議が開催され、ロシアや中国に対抗することで一定の成果を上げました。その会議に先立って、10~11日、ロシアはインドやブラジルが参加するBRICSの外相会議を西部の町で開催し、さらにタイやトルコなど12の新興国を含む拡大会議を開催しグローバルサウスの国々の取り込みを目論みました。その後プーチン大統領は6月18日、24年ぶりに国賓として北朝鮮を訪問し戦略条約に署名するとされています。このように民意が選挙で揺れ動く民主主義国家と、選挙の心配がない独裁国家間の駆け引きが激しくなっています。そしてもう一つの懸念材料が米国大統領選挙です。今のところバイデン、トランフ゜のどちらが選ばれるか混沌としていますが、その争点は移民やインフレ、中絶といった内政問題で、米国民はウクライナを始め国際問題には余り関心はないのです。ただ中国に対しては「職を奪っている」という強硬姿勢で一体的です。この内向き志向は特にトランプ氏が際立っており、欧州諸国は警戒しています。
私はウクライナ侵攻問題の帰結次第で世界は大変な混乱状態に陥ると懸念しています。西側諸国が政治的に混乱する中で、ロシアが目に見える形で勝利すれば中国は台湾に侵攻することが考えられます。中国では2025年に3隻目の空母「福建」を就役させ、更に4隻目も建造中で着々と軍事力を強化しています。ウクライナの場合は明らかにロシアが主権国家を侵略しているのですが、中国にとって台湾は内政問題であり、世界のほとんどの国が「一つの中国」を承認しています。ただ武力による統一には反対の立場なのです。また、ロシアを後ろ盾にした北朝鮮の韓国侵攻も十分あり得ます。両国とも内部矛盾のマグマ高まると、外部に向かってガス抜きを考えることは十分あり得るし、独裁者にはそういった共通点があります。「人類の歴史は即ち戦争の歴史」であり、そして人類は愚かにも過去から学ばず「歴史は繰り返す」のです。また、いずれの国も「正義」(Justice)を掲げ、「勝てば官軍、負ければ賊軍」となります。戦争を防ぐには軍事的パワーバランスを確保することです。これが冷酷な現実です。ところが我が国の現状はまことに心もとないといわざるをえません。

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