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2024年07月12日

ちょっと気になる記事・話題(144)

近畿地方では遅れていた梅雨がやっと到来し、うっとうしい日が続いています。
一方、先週は各地で暑さが本格化し、35度を超える猛暑日が観測されました。世界でも平均気温が過去最高を更新し続けています。地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」では、産業革命(1750~1850年)以前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げています。しかし現在はこの目標を上回る勢いで気温が上昇しています。ドイツのグーテンベルク大学は2023年の北半球の夏が過去2000年間強で最も暑かったという研究成果を発表しました。温暖化対策にもっと本気で取り組まないと、人間の生活にとって不可欠な農業や漁業といった食料への影響のみならず、干ばつや洪水による被害が世界的にますます深刻化します。

■■最近想ったこと・注目したこと:
■ロシアのウクライナ侵攻等、重大時に際しての米国大統領の決断:
ロシアによるウクライナ侵攻(2022年2月24日)が始まって以来、間もなく2年半になりますが戦況は一進一退の膠着状態です。プーチン大統領は短期日で決着がつくという思惑が外れ、事態をどう収拾するか悩んでいると思います。ウクライナ側にとっても一般市民の犠牲者がどんどん増えていますが、これまでの経緯からして簡単に和平とはいきません。正に「戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは容易ではない」のです。このような状態に陥った背景として、今から思えばロシアの軍事侵攻が始まって以降、米国バイデン大統領は戦闘が拡大し核戦争にまで発展することを懸念し、ウクライナへの軍事支援(武器の供与)を小出しにしたことが指摘されています。この慎重というか腰の引けた戦略が結果的に、プーチン大統領を冗長させたようです。そして、もし米国でトランプ氏が大統領に返り咲き、公約通りウクライナ支援を止めると、2021年8月のアフガンからからの撤退(バイデン政権下)といった前例と相俟って、「米国は最後まで守らない・守ってくれない」という見方が拡がり、中国の台湾侵攻が一段と現実的になります。これはわが国の安全保障にとって重大な問題です。
なお、バイデン大統領の政治姿勢と対称的に思い出すのが、今から62年前の1962年10月に発生した「キューバ危機」の際、米国ジョン・F・ケネディ大統領(当時45歳)の敢然とした決断でした。この危機の発端はソ連(今のロシアが中核)がいわば米国の裏庭というか、喉元に当たるキューバ共和国(共産党が一党支配)に核ミサイルを持ち込もうと企てたことです。これに対し同大統領が海上臨検の実施に踏み切ったことから、米ソ間で核戦争の一歩手前まで緊張が高まりました。しかしこの大統領の決断が、ソ連のフルシチョフ首相(当時68歳)に計画を断念させる結果をもたらしたのです。まさに瀬戸際外交、伸るか反るかの俗にいうChicken Raceでしたが、米国大統領に求められる重要な資質は、こういった危機に際しての毅然とした姿勢なのです。この点でバイデン大統領は果たしてどうでしょうか。なお、ケネディ大統領は残念ながら在任中の1963年11月22日、テキサス州ダラスで暗殺されました(当時46歳)。
さて、もう一つ米国大統領の決断に関することです。間もなく広島、長崎に原爆が投下され20万人を超える市民が犠牲になって79年になります。これについて私を含め日本国民が「無慈悲・無差別な大量殺戮」と受け止めているのは当然です。しかし米政府並びに国民の間では、「トルーマン大統領の下した決断により100万人の米兵の命を救った」という見方が根強いのです。確かに当時の日本は既に沖縄戦で敗れ追い詰められ、主要都市は空襲により焦土化し誰が見ても敗戦は明らかでした。それでも日本の軍閥は本土決戦・1億玉砕を主張し、米軍の本土上陸に備え、国民に「竹槍で迎え撃つ」訓練をさせる等、徹底抗戦の構えでした。それが広島・長崎に原爆が投下されたことにより、「無条件降伏」を受け容れざるを得ない事態になったことは否定できません。ただ、原爆の犠牲となったのが戦争を仕掛けた直接の責任者ではなく、無辜(むこ)の一般市民だったことや、なぜ広島・長崎だったのかという点で、日本人の心に理不尽な思いとして残っているのではないでしょうか。
なお仮説ですが、逆にナチス・ドイツや日本が米国より先に原爆を完成させていたら、それを使用しなかったと言い切れるでしょうか。戦争とは人類をとことん狂気に追い込みます。第二次世界大戦以降、戦争は一般市民を無差別に巻き添えにする殺戮の場となりました。今、ウクライナで起こっていることもまったく同じです。
私は人類が初めて月に降り立ち(1969年7月20日)、そこから遥か宇宙の空間に浮かぶちっぽけな地球を観た時、国家観や人生観が変わり、人種や宗教、領土を巡る戦争がなくなることを期待しました。しかし残念なことに現実は「歴史は繰り返す」であり、「人類の歴史、すなわち戦争の歴史」なのです。人類は「過去から学ぶことをしない、愚かな生き物」であることを思い知らされます。
■「日本人の美徳」はどこへ行ったか:
現在の国政は裏金問題に端を発し、どこへ向かっているのか分からぬ漂流状態にあります。そして低支持率に喘ぐ政府並びに落選を恐れる議員は、国の根幹に関わる憲法改正やエネルギー自立のための原発、医療・社会保障改革といった問題についての本格的な議論は先送りし、政策の中心は給付金や定額減税、それに酷暑対策と名前を変えた電気・ガス料金の負担軽減策(本年8月使用分から3カ月)といった、対処療法に止まっています。
また、海上自衛隊のトップが辞任する事態に発展した「特定秘密」の違法運用は、日本の機密保持に対する意識の低さ・ずさんな管理体制を露呈し、日米関係はもとより他の同盟国との信頼関係・連携強化にも影響を及ぼす懸念が出てきています。その他にも手当不正受給やセクハラ、パワハラといった問題も相次いでいます。
そして民間部門でも日本を代表する大企業や名門企業で、次々と不正や下請けいじめといった法律違反が発覚しています。
こういった不祥事に酷暑も加わり、もううんざりといった気持ちになります。日本人が古来受け継いできた「規則を守る」、「礼儀正しい」、「恥を知る」といった美徳はどこへ行ってしまったのかと嘆かわしい限りです。私たちは生来、一人一人を取り上げるとほとんどの場合、よき社会人・家庭人、そして常識人だと思います。しかし、なぜか「個人」という立場から「組織人」(組織内の一人)になると、「組織(会社)を守る」ためという名目ですが、実際は「組織内での保身」や、「仲間外れにされたくない(仲間意識)」、或いは「バレなきゃいい」という心理・思考に支配されるようです。こういった人間の持つ弱さ・性癖を心理学的に理解・把握し、現実の組織運営に活かす能力が、優れた組織管理者・会社経営者には必要です。

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