ブログ

2024年07月19日

ちょっと気になる記事・話題 (145)

いつ始まったかよく分からない今年の梅雨ですが間もなく明けるようです。そして猛暑は既にやってきており、各地で熱中症アラートが発せられています。お互いに体調管理に十分気を付けて暑い夏を乗り切りましょう。
さて、歴史でも人生でも日常生活でも、そして野球やゴルフといったスポーツの世界であろうと、私たちには常に「たら・れば」が付いて回ります。極論すればすべての事象について後から振り返ると「こうしていたら」とか、「こうなっていれば」の繰り返しです。ところが「二足のわらじ」は履けません。そして人間は過去の出来事は事実として残りますが、これから先はどうなるかについては何も分かりません。まさに「一寸先は闇」であり、コンピューターやAIを駆使して予想や推測は出来ても断定はできません。まさに「神のみぞ知る」です。すべては「時」の経過とともに既成事実となって積み重ねられ、次の予見できない瞬間へと移行していきます。時間ほど不思議なものはありません。そして時間を止めることは出来ないし、元に戻すこともできません。まさに「後悔先に立たず」です。こう考えると人生の一コマ一コマを大事にしなければなりません。 

■■最近想ったこと・注目したこと:
■トランプ前大統領狙撃事件と今後について:
7月13日(現地時間)、米国ペンシルバニア州バトラーでトランプ前大統領銃撃事件が起こりました。その瞬間、トランプ氏は偶然にも僅か右を向き、頭への直撃を避けられたとのことです。そして耳を負傷しましたが今後の活動にはいささかの支障もないようです。これは奇跡でした。同氏の安否如何で米国のみならず世界の歴史が大きく変ったことは間違いありません。これがこの事件の最初の「たら・れば」です。そして次の「たら・れば」として挙げられるのが、実行犯が①地元に住む20歳の若者で、②白人であったこと、③共和党員として登録していたことです。もし①、②、③のどれか一つでも異なるカテゴリーに属する人物であったら、別の深刻な問題を誘発したでしょう。蛇足ながらトランプ氏は銃規制に極めて消極的で、米国の政治に大きな影響力を持つ全米ライフル協会から絶大な支援を受けています。
なお、この事件が本年11月6日に投票が行われる米国大統領選挙に及ぼす影響が、極めて大きいことは言うまでもありません。現代は映像の時代であり、しかもSNSで瞬時にして拡散します。撃たれた直後にトランプ氏が星条旗をバックに拳を振り上げ、”Fight!、Fight!(戦え!、戦え!)”と叫ぶ姿を目の当たりにして、米国民は同氏に対して「好きだ嫌いだ」を超え、「国を愛する強い人物」というイメージを抱いたと思います。この映像は何万回の演説、無数の言葉より説得力がありました。なお、その後の同氏の発言は、これまでの相手を罵倒する攻撃的な姿勢から一転して抑制気味です。その方が危機に際して米国大統領に求められる「冷静かつ毅然とした人物」として、人気が高まり支持層が拡がるのです。その一方で既にトランプ氏は、大統領選での勝利を前提とした様々な発信をしています。勿論選挙は最後の最後までどういう結果になるか分かりませんが、米国の経済界も諸外国も同氏にすり寄りつつあるのは事実です。
以上、私はトランプ氏に与(くみ)するのではなく、事件を通じての実感を述べました。
他方、バイデン大統領は本年3月8日付の私のブログにも記したように、最大のライバルは当初から「高齢である」ことです。同大統領は私より約1ヵ月若いのですが、本年11月に82歳になります。片やトランプ前大統領も今年6月に78歳になっており、まさに「老々対決」です。因みに米国人の平均寿命は約76歳です(日本人は約84歳)。言うまでもなく米国大統領職は想像以上に責任が重く、その判断は世界に影響します。バイデン氏は何としても「トランプ氏には負けたくない」という気持ちが強いようですが、先日行われたテレビ討論での失点や、頻発する言い違え、そして民主党内での異論等を勘案すると、劣勢に立たされていることは否めません。
一方、日本の国内政治は相変わらずどこに向かっているのか分からぬ漂流状態です。岸田首相の自民党総裁としての任期は本年9月末までです。党則によると総裁選は「任期満了の10日以内」とされていることから、投票日は本年9月20日~29日に設定されます。次期首相に誰が選出されるか現時点ではわかりません。
なお、もしトランプ氏が再選されると、4年前までの在任期間よりさらに保護主義的になると思われます。ウクライナ支援の先行きも楽観できません。日本のみならず欧州(NATO諸国)も今まで通りというわけにはいかないでしょう。因みに米国は世界最大の石油産出国であり食料生産国です。自給自足が可能で例え孤立しても十分やっていける国です。一方、我が国はエネルギーを始めこれといった資源はなく、今日までの経済発展を支えてきたのは「グローバル化」と「自由貿易」です。防衛費についても米国との安全保障条約により守られ、長年にわたりGDPの1%以内に抑えてこれました。こういったことを勘案すると、「米国は日本なしでもやっていけるが、日本は米国なしではやっていけない」のが宿命であり冷徹な現実です。従って良好な日米関係は我が国の存立にとって不可欠です。日本政府はこれまでの4年間、バイデン大統領の人柄のおかげもあり、比較的良好で安定した関係を維持してきました。ところがトランプ氏のように個性が強く独裁者願望の強い人物とうまく付き合うには、”Chemistry”(相性)が極めて大事です。この点で故・安倍首相は、時には諫言するほど強い絆を築きました。日本の次期首相に求められる資質は同氏と「うまく折り合いをつけ、我が国の立ち位置と政策への理解を得る」手腕と知恵ではないでしょうか。
■厳しい状況が続く中国経済:
中国共産党は今月15~18日に重要会議である第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)を北京で開催しました。この会議は中長期の視点に立った経済政策を議論する場です。中国経済は目下、不動産不況に伴う内需不振(節約志向)が長期化する一方、少子高齢化など構造問題が顕在化しています。15日に公表された本年4~6月の実質GDPは前年同期比4.7%となり、伸び率は1~3月の5.3%増より縮小しました。因みに日本の4~6月実質GDPは未発表ですが、1~3月(改定値)は年率0.7%減でした。これと比べると中国経済は一見好調ですが、2010年の10.61%をピークとして成長率は低下傾向を辿っています。そして4~6月期のGDP実質成長率の中身は、生産と輸出がけん引したものの内需は不振で、過剰生産による余剰製品(EV、鉄鋼製品、太陽光パネル等)のダンピング輸出となり欧米諸国の警戒心が高まっています。また、1~6月の消費者物価指数は前年同期比0.1%増に止まり、日本が長年苦しんだデフレ懸念が払拭できない状況に陥っています。

その他のブログ